すまんな、ちょっと酔いすぎたで
書き溜めてないから、また書き溜めてから投稿させてもらうわ
また書いてどうぞ
ほんで急遽他のポイント探しに出たんやが、親父もワイも山の人間やから土地勘がないねん
そうこうするうち、漁村とおぼしき集落に降りる道を見つけたんやが、妙に明るいんや
よる8時は回ってるはずやから、この辺の夏とはいえもう暗いのに、人もずいぶん多くなった
皆浴衣や作務衣で、いかにも夏祭りの風景が見えた
もともと車一両がやっと、という道の両脇に、次第にたくさんの出店が現れ、行く手はいつしか人で埋め尽くされて車は徐行のような状態になったんや。
ワイは引き返したほうがいいのでは、と言おうと顔を助手席から親父に向けた
親父は険しい顔をして、ブツブツ何かを呟いとった よく聞くとそれは阿弥陀経やった
ワイは親父がおかしくなったんかと思ったが、すぐに合点がいった
この祭りは音がしないんや
いくら冷房のために窓を締め切ってても、すぐ近くで行き交う人々の声や屋台で何かを焼く音とか、おおよそ祭りの喧騒が聞こえてこないんや
消音にしたテレビみたいやな
しかし、人々はワイらの車を不思議そうに避けるだけで、決して迷惑そうにされたり、ドアを叩かれたりすることはなかった
その状態が体感的には50メートルばかり続くと、視界が開けて船着場に出たんや
傍目には巨大なイカ釣り漁船にも見えたが、よく見ると船全体がいろんな色で光ってるのが分かった
帆まで着いとったが、蒸気で動きそうな煙突があったんが印象的やった
祭りの人たちは遠巻きにその船を幸せそうに眺めとって、ワイらはその群衆と船の間に飛び出したような状態やった
見とれていると、不意にタバコの匂いがしたんや 親父が珍しくタバコに火をつけとって、ゆっくり車を出したんや
しばらくするとその集落を抜け、海沿いの暗い道になった なんとなく普通の道に戻ったことが分かったわ
親父は窓を全開にすると、安心したように
「大潮の日にはあぎゃんこつもあっとだろ(ああいうこともあるんだろ)」と言うた
ちなみにその日は全く釣れなかったし、調べても似たような祭りは無かった
ワイらは何を見たんやろうな
これは小学校~高校まで続いた話や
ワイが一人で寝つけない夜、時々遠くで笛と太鼓の祭囃子が聞こえるんや
聞こえるのは数年に一回程度で、決まって夏の夕立後の涼しい夜やった気がする
ひょっとこが踊りだしそうな、割と楽しげな一定のリズムと音階をずっと繰り返すんやけど次第に音は遠くなっていって、ワイはそのうち寝てしまうんや
真っ先に思ったんは実家の裏手にある神社の神楽舞の練習や
今はもう廃れて長いが、その頃は地域の小さな神社にも神楽舞を奉納する風習が残っとった
薪能とも狂言ともつかん、演目の意味も誰も分からなくなったような代物や
氏子の年寄がシテ方、ワキ方(神楽を舞う人)を毎年交代でやり、演奏方は基本的にその息子たちが担った
舞の奉納自体はGW前には終わる
だから夏に聞こえてくる祭囃子は、演奏方のヤツが腕が鈍らんように練習しとんのかなと思ったんや
ワイの家は演者の家ではなかったが、ジッジが昔区長として神楽を取り仕切ったことがあったから、ある日ジッジに聞いてみたんや
ジッジはワイの話を聞くと、目を細めてこう行ったんや。
「もうワシには聴こえんばってん、昔はよう聴こえよった、聴こえよった。こぎゃん音頭やろ?」そういってジッジは、ワイが聞いてたのと同じ囃子を口笛で吹いた
ワイは音痴やからお囃子の音まで伝えてなかったから、心底驚いたで
※補足
「ふきちゃん」に出てきたのは母方のジッジ
いま出てきてるのは父方で、同居してたジッジや
ジッジは「ありゃあ、畑ん神さんの祭りたい。もうワシには聴こえんけん、神さんはおらんごつなったと思うたばってん、まだおるたいなぁ(もう神様は居なくなったと思ったんやが、まだおったんやね)」とニカニカして米焼酎をあおった
神楽の練習は騒音になるからと公民館以外ではやらないらしかった
ちなみに神社の祭神は天神さんやけど、きっとローカルな神さんもおったんやろうな
高校卒業してワイが地元を発つまで、その音はときどき聞こえていた。
最後に聞いたんは大学受験勉強中、やっぱり夕立後の涼しい夜やった
ワイは窓を開けて、楽しげな音色をぼんやりと聞いてたんや その前年にジッジは逝ったから、なんとなくジッジも聞いとるんちゃうか、と思った
ワイは夏に帰省してももう祭囃子は聞こえんくなってしもうたが、地域の若いやつが聞いてたらええな
>>71
なんか自分ええ締め方するやんけ
>>71
これ読み方ははたんかみさんでええの
>>99
ジッジは「はたけんかみさん」と呼んどったけど、固有名詞やなくて「トイレの神様」みたいな一般名詞やで わかりづらくてすまんな
>>115
ジッジの呼び方が知りたかったからええんやで三月
ちょっと中断。飲みすぎたで
>>74
秘密やで
小4の春、ワイは一時期だけ叔父の家に住んどった
家庭的な事情は割愛するが、実家から離れた県庁所在地にある叔父一家のマンションにお世話になってたんやな
叔父の息子(ワイから見たら従兄弟やね)はよくしてくれて、マンションの子らとワイを引き合わせてくれて、皆でマンションの中庭でよく遊んどった
中庭で「だるまさんがころんだ」をやる時のルールがあったんや
『アパートの子が来たら解散』
マンションの裏手に藪があって、その奥に小さな木造アパートがあったらしい
そこの子が、「だるまさんがころんだ」にいつの間にか混ざることがあるんやと
まぁ今だから言えるが、アパートとの経済的格差を意識して、マンションの親たちが代々言い聞かせたことが受け継がれただけかもしれん
そして混ざるのは生きた子じゃないことも、マンションの子供たちには暗黙の了解として認知されとった
従兄弟含めマンションの子が6人くらいおった気がするわ
何回目かの「だるまさんがころんだ!」の掛け声で振り返ったとき、中庭の隅っこに知らん男の子がおったような気がした
背の低い髪の短い子やった
身なりは普通で、幽霊めいた所はなかったように思うんやが、中庭に入るにはオートロックで仕切られたマンションの通路を通らなあかんし、知らんマンションの子が入ってきたら普通は誰か気づく筈や
ワイはブルッと来たが確証が無かったため、とりあえずだるまさんを継続することにした
ところが振り返るたびに、その子が近づいてくるんや
庭木の陰、分電盤の下、すぐ目の前の排水管の陰…
ワイは「この子にタッチされたらどうなるんや?」と思った、そしたらめちゃめちゃ怖くなった
そして「だるまさんが…」と言った時、肩をぽん、と叩かれた
その中にあの男の子はおらんやった
その後、従兄弟含め皆がが鬼をやって、別の遊びもして夕方には解散した
帰りのエレベーターの中で、従兄弟がワイに「男の子だったど?」と突然言った
「一人混じっとった男の子。見たど?」
聞けば従兄弟か鬼のときも知らん男の子か混じっていたらしい。
ワイはさらに肝が冷えたが、実はこれは初めてでは無いらしい
だるまさんがころんだだけでなく、例えばゲームボーイを持ち寄って中庭で遊んでいるときも、不思議そうに覗き込む男の子の視線を幾度も感じてたらしいんや
ワイはルール通り解散しなくて良かったんか聞いたと思うが、従兄弟が何と答えたか覚えとらん
多分実害がないからほっといてるとか言われたと思うんやが従兄弟はだれでも遊びに混ぜてくれるような優しいやつなんやなぁ、って感心した覚えがある
その後叔父の家から実家に戻って、ワイはあのマンションに一度も行ってないわ
次の盆に従兄弟とあったらあのときのことを改めて聞いてみようと思っとる
人吉行きたいなぁ(唐突)
ワイもお囃子は今でもたまに聞こえるんやがあれお宮からやと思っとったんやがよく考えてみたら結構距離あるよな…
でも住宅地で田んぼも畑もないしな…
神様だったら面白いわ
>>92
ネットで検索しても祭囃子が聞こえる人はそれなりにおるやで
柳田國男も似たような事を書いてた気がするわ
7(捕)お客さん
また母方のジッジの家での話や
ちょうどふきちゃんと遊んでたのと同じタイミング、つまりワイが預けられてた時のことや
ジッジは勤め人だったんやけど生家はいわゆるなんでも屋みたいな物を代々営んどったらしく、離れはその店舗跡やった
なんでも屋と言えば聞こえはいいんやが金物屋に毛が生えたような物で、お菓子や生活雑貨なんかを揃えてたらしい
先代(ジッジの父)が長く切り盛りしとったが、70年代で店はやめたらしいわ
HGのズゴックと、たしかゼータガンダムを戦わせとったと思うわ
縁側はちょうど西向きやって、夕焼けが強くてカーテンを閉めるか迷っとったような、そんな妙なことを覚えとるわ
ゼータとズゴックの戦いが佳境の時、「もし」と声をかけられた
ワイはびっくりして顔をあげると、いつからそこにおったんか、ガラスのサッシを挟んで男の人が庭に立っとった
西日が強すぎて男の顔は全然見えんやったけど、両足をそろえてぴんと気をつけをしとって、えらい姿勢が良かった
ワイはジッジの知り合いが来たと思って、寝そべったままやと失礼やから体を起こし、サッシを開けようとした
よう見るとその人は、うなじが隠れる日避けつきのボロボロの帽子を被っとって、足にはゲートルを巻いて腰に鉄でできた丸い水筒を下げてうつむいとった
ジッジの蔵書の戦争資料集の写真で見た、兵隊の格好と同じや、と思った
今思えば、あれは陸軍の制服やったんやね
床が高いせいで、ワイが立ち上がるとその人と同じくらいの身長になった、つまりガラスを隔てて目の前にお客さんの顔があるはずやのに、やっぱり夕日で影になって顔は見えないんや
ワイはそのお客さんが人間なんか分からんくて立ち尽くした
「こちらに飯塚圭一様はおいでですか!」
お客さんは突然ワイに話しかけた
妙なんは、ガラス越しの筈やのに聞き取り辛かった覚えがない
キビキビした、妙に楽しげな明るい声やった気がするわ
飯塚はジッジの、つまりこの家の名字やったが、名前に聞き覚えは無かった
ワイはどう答えたか覚えとらん、怖くて何も言えんかったかもしれんし、何かを話したかもしれん
ただ、「こちらに飯塚圭一様は、おいでですか!」
男はさっきと寸分違わぬ調子で、突然もう一回聞いてきた
ワイは表情の見えない男と、まっかっかな庭とがめちゃめちゃ恐ろしゅうなった
「こちらに飯塚圭一様は、おいでですか!」
ワイの涙腺と股間は臨界した
ワイのなき声を聞いて、バッバがかけつけたと思う
バッバにはその男は見えとらんやったと思うわ。
ワイはバッバに手を引かれて台所へ向かった
ふり返ると、やっぱりというか、案の定男は消えとった
ただ置き去りのゼータとズゴックが、縁側に長い影を作っとったんを覚えとるわ
バッバの葬式の時、健在だったジッジにその話をした
戦後すぐの頃、そうして幾人かの帰還兵が訪ねてきたことがあった、とジッジは話し出したんや
ジッジの長兄の圭一氏は陸軍軍人で、南の島で行方不明になっとる
終戦後、無事に帰ってこれた人たちが兄の消息を訪ねに来ては、まだ帰らない兄を思うジッジとジッジの父を励ましてくれた事が何度かあったんやと
「それは戦友が訪ねて来なはったとばい」と言って、祖父は仏壇をずいぶん長いこと眺めとった
ちなみにワイはいまもガノタやが、シャア専用ズゴックだけは無理になってもうた
害与えてこんのやったら別にええんやけどなぁ
>>113
最近になってほん怖に似たような話があると知ったで
先祖が訪ねてきて「訪ねてきました」を玄関先で連呼する話やったけど、その霊も悪意は無かったとかなんとか
奴らは口下手やねんな
8(遊)ヤマセミさん
この話は短いで
高校時代、12キロの山道をチャリで往復すんのに辟易したワイはとうとう原付に手を出した
バイトした金を元に中古のスクーター買って、高校近くの親戚の家の軒先でチャリに乗り換えて通学する生活を送っとった
高2の夏が秋、土曜の真っ昼間や
バイクで部活から帰ってるとき川の土手を走る区間があるんやが、対岸の畑の上を白い鳥みたいなんがワイと並行して走ってるんが見えた
対岸までは多分20メートルくらいあるし、普通鳥の姿形までは見えへんのに、あきらかに鳥にしてはでかすぎるんや、ゆうにワイの身長くらいはあった
姿形は図鑑で見たことのあるヤマセミやった
えぇ…と思ってバイクを停めると、ヤマセミは対岸の山の方へ行ってしまって見えなくなった
ワイの地域にヤマセミはおらんのやけどな
迷鳥のコンドルか何かを見間違えたんかと思ったが、まあ今もワイはヤマセミさんやと思っとる
9(投)バッバ
同居してた父方のバッバの話や
ワイはバッバが大好きやった いつも優しくて、音痴なワイにつきあって一生懸命歌を教えてくれた
ワイは両親が共働きであんまり家におらんかったからバッバが親みたいなもんやった
夕飯はいつもバッバが作ってた
食い物には厳しくて、庭で育てた野菜は絶対残したらあかんかった
昔の人やからほとんど和食中心やったけど、それはそれは美味かったで
バッバはワイが小6のとき交通事故で死んだ
バッバは前日から体調が良くなかったが、それを押して、町で1つだけのスーパーに夕食の買い物に行ったんや
その帰り、これも町で1つだけの信号を赤で渡ってしまったんやな
先生の車で学校から病院に駆けつけたとき、もうバッバは息をしとらんかった
親父がベッドにすがりついて泣くのを見たのは最初で最後やった
ジッジはバッバの手を握っとったが、救命活動をやってくれてた医者に
「どげんもならんとですかな、わかりました。もうよかですばい」と毅然と言った
程なくして医者は時間を告げて、バッバは本当に死んでしまった
叔父や伯母、親戚たちがすぐに病院に集まってきた 10人が10通りの驚きや悲しみ方をしたが、ワイは実感というものが全く湧かなくて、救急救命室って大したことないんやなとか、従兄弟と会うんは久しぶりやなとか思っとった
だって朝ワイを笑顔で学校に送り出した人間が、目の前で頭を包帯で巻かれて横たわっとるこの人と同じとは思えへんかった
頭じゃわかってても感情が追いつかないんやな
そっから通夜やら葬式やら慌ただしくて、依然としてバッバが死んだ実感が湧かないまま、とうとう火葬場まで来てしまった
ここに横たわって安らかな顔をしている冷たい人はバッバ?ほんまに?ほんまにバッバなんか?
逡巡しているうち、棺桶が炉に入れられた
泣きっぱなしの叔母たちををジッジが叱り飛ばしても、みんなで干瓢巻きを食って思い出話をしても、真っ白で小さくなったバッバの骨が帰ってきても、ワイは泣けんやったんや
終わらせるで
そのまま鬱屈としてひと月ほど過ごし、お盆に差し掛かった頃やったと思う
親父から町の図書館に本を返してくるように言われた
バッバが借りたままの本があることに遺品整理中に気づいたんやろう
数冊の本が入ったトートバッグを生返事で受け取り、ワイは徒歩で図書館に向かった
めちゃめちゃ暑い中、両脇に田んぼが青々とした道を突っ切ると15分くらいで町営図書館に着く
図書館のおばちゃんはトートバッグから本を取り出すと、貸出カードとワイを不審そうに見比べとった
そらそうやな、カタカナ2文字の名前のガキなんてそうおらんわ
ワイはどう説明するか迷ったが、祖母が亡くなったこと、代わりに返しに来たことを素直に話した
おばちゃんは短く驚くと畏まったお悔やみの言葉を言ってくれて、奥に引っ込んでどっかに電話を掛けとった
多分役場にバッバのことを確認したんやろうな
おばちゃんは戻ってくるとき、カウンターの上の回転棚から一枚カードを抜き出すと、ワイに渡した
「これ、あなたのおばあちゃんの。いらなければこちらで処分するけれど、どうする?」
ワイはまぁ、とか はぁ、とか言ったと思うわ、とにかくカードを受け取って図書館を後にした
今でこそ図書館はどこもバーコードやicタグ管理やが、当時は手書きのカード管理やった
その図書館では利用申請をすると個人用カードが渡されて、本を借りるときはタイトル、貸出日を書いて本と引き換えにカウンターに預ける仕組みやったんやな
延滞されとる本はカードで分かるって仕組みや
画像みたいな感じやな
ワイは蒸し暑い田んぼ道を家へと歩きながら、何気なくそのカードを眺めた
バッバの貸出カードはずいぶん埋まっとった
「竜馬がゆく」とか歴史ものが多くかったが、その下の方、つまり最近借りた本に目が止まった
『洋食の基本 ハンバーグステーキ』
目の前が何だかぐるぐるするのが分かった、うるさいセミの声も、カンカン照りの日差しもすこし遠くなったような気がした
祖母はワイのために慣れない洋食を作ろうとしてたんや
そのとき、祖母のハンバーグはおろか、大根の照り焼きやミョウガの天ぷらに二度とありつけないことが、はっきりと実感を伴ってわかった
喉の奥が苦しくなって、眉間に痛いほど力を入れたがぼろぼろ泣けてきた
ワイは初めてバッバが死んだことが理解できたんやね
そのときやった 後ろから音もなくえんじ色の自転車がワイを追い越していった
目が霞んでよく見えなかったが、あの日、軽自動車の下でぐちゃぐちゃになった自転車のそれと同じ色やった
パーマをかけたちょっと猫背のその人は、いつも畑に出るときの格好で自転車に跨り、実家の方へ曲がって見えなくなった はっきりと覚えてないが、ペダルは動かしてなかったんちゃうかな
ワイはダッシュで後を追ったが、バッバを見つけることは出来んやった
やっぱり実家には誰も来とらんし、仏壇には真新しい位牌が据えてあった、あぁやっぱりバッバは死んだんや、もういないんや、そう思うとまた少し涙が出た
取り返しつかないことした感じ
それっきり祖母は現れなかった。
夢に見ることはあっても、あの夏のようにはっきりと姿を見せたことは一度もないんや
今でもこのことを思い出すと、あれは祖母が自分の死をワイに分からせるために仕掛けたイベントだったんじゃないかと思う
ワイはと言えば、それから幾度となく祖母の料理を再現しようと試みたがてんで駄目やった
祖母の好きだった本を読んだり、若い頃の足跡を追ったりもした
図書カードは実家の机に大事にしまってある
おばあちゃんコンプレックス上等と豪語しとったが、やっぱり最近になって恥ずかしく思えてきて、祖母に申し訳ないと思うようになった
今年の夏行われる13回忌で祖母に関する法要は全て終わる。
あの図書館も、この3月いっぱいで閉じられたと聞いた
今年帰ったら、あの時と同じ道を歩いてみようと思うんや
多分祖母は出てきてくれんやろうが、なんとなくワイはそれで満足する気がする。
やっと一区切りつく気がするんや
ワイが遭遇した話は以上やで
長々とすまんかったな
当時は不思議とも思っとらんかったんやが
ただ帰還兵はパンチあるなチビルで
>>142
じゃあ
(補欠)勝手口の影
(補欠)足袋
許してくれるならかくで
おねがい
ホンマ見せて
あるだけ出してや
(補欠)勝手口の影
中二の夏の話や
ワイの地元の中学は同級生20人しかおらんが、その中で特にのいいやつ、大山と小笹と手嶋ってやつがおっていっぺん4人で廃墟探検に行ったんや
ワイの家から神楽舞のある神社へ歩くには、その神社の鎮守の杜を抜けなあかん
廃墟はその森に隠れるようにして建っとる平屋の家やった
なんでも廃墟にはかつて娘一人と両親が住んどったが、ある日父親が仕事の事故で亡くなって母と娘が夜逃げしたとか、いろいろ言われとったがどれも眉唾やった
まあとにかく、その家に侵入することを思い立ったんやな
すまん、これ高1のときに中学の友達と集まった時の話やわ
ワイらの中で携帯を持っとったんは小笹だけやったし、ヤツの携帯でムービーを撮ったら何か映るんちゃうか、という期待があった
ちょうどほん怖とか流行りだした頃やったかな
幸いトイレの窓が開いとったから、ワイらは壁に飛びかかるようにして窓に飛びつき家に入り込んだ
部屋の中は雑然としとった
家財道具はほとんど残っとって、シンクの上で皿が乾かしてあったりして、いかにも夜逃げしました、という風やった
壁のカレンダーは2000年の4月で止まっとったから、当時にしてもそれなりに時間が立ってた
怖いけど裏山C
この平屋の中は割と広くて、ダイニング、キッチン、洋室が2つくらいと子供部屋があったが、その全部を小笹の携帯のムービーに収めた
一回に付き30秒しか撮れないとかでえらく騒いどったな
子供部屋なんかは、なぜか大量に散乱したタオルの山に紛れてランドセルが落ちとったりして雰囲気があった
日が高いうちの事やったが、森の中だからか日は差し込まず全体的に薄暗く、カビと埃臭さで目が回りそうやった
それなりに汚い家ってだけで別に御札まみれとかじゃなく、要するに拍子抜けしたんやな
最後に玄関を映して、ワイらはまた便所から這い出した
それからワイの家に戻って、皆で菓子を食いながらムービーを確認した
キッチンを写したものを再生したとき、村上が「ん?」と何かに気付いたんや
「勝手口にいま、誰か写っとったど?」
もう一度確認すると、たしかにキッチンの勝手口の外、すりガラスの向こう側に人影がある
300万画素だかの、たかが知れた画質だがらクリアではないが、それははっきりと人の形だとわかった
女だ。ピンクの長いスカートを履いているような、背の高い女に見える。
ワイらは恐怖よりも
「うおおおお!!映っとるー!!!やべー!!」と騒ぎ立てた
次、また次、と再生して行く。ダイニングの窓。
ここはすりガラスではないが、特におかしな様子はない。
窓の外は雑木林がちらりと映っとるだけやった
洋室のほうのムービーにもおかしなところはない。
子供部屋も同様や
段々冷静になったワイらは、いやあアレは光の都合でああ見えただけやろ、じゃあお前確かめてこいや、ノーサンキューやですまんなええんやでとか言いながら、最後のムービーを見ることにしたんや
最後のムービーはたしか子供部屋を出た直後から始まって、玄関を10秒くらい写したもんやったと思う
この玄関もすりガラスで、縦にアルミの桟が何本か走っとる横開きのタイプや
開けたら「カラカラカラ…」って音がするやつやな
屋内が薄暗いから、すりガラス越しの外は程々に明るく映っとった
5秒ほど経ったあと、手嶋の「つまらん、はよ出よか」という音声とともに、カメラは玄関から離れようとした
ちょうどその時やった。
画面の端っこで、玄関に一瞬写ったんは、さっきのスカートの女のシルエットと、青い作業着のようなものを着た男のシルエットやった
すりガラスの向こうに突然2人の影が現れたんや
さらにその後、鍵を開けるような「カチャ」という音が聞こえたあたりでムービーは終わった
ワイらは顔を見合わせた
勝手口ですりガラスに写る女を実際見たやつは誰もおらん 玄関も無論や
鍵が開く音なんてもってのほか、ワイらは極力音を立てず行動しとったから、絶対に気づく筈や
ワイらはひやぁっとした空気に包まれ、小笹は半べそをかいてムービーを全部消した
結局その日は3人ともワイの家に泊まって、朝までFF10やってた
今現在、その廃墟は買い手がついて普通に一家が住んどるらしい
ワイは今もお風呂のすりガラスは苦手やで
高校まではいろんな体験をした
他の人の話もあったら聞かせてくれや
ちょい見つけて全部読ませてもらった
イッチほど色々な体験無いし、いっちみたいにちゃんと文章書けない
すごい面白かったで
おはよう
祖母の供養のつもりで書いたがこんなに反響があるとは思わなんだわ
いくつか思い出した話があるから、また需要があれば書かせてもらうやで
出来るだけ実体験に忠実に書いたが、身バレしんように年代や名前は嘘もあるが許してくれや
みとるで
(補欠)水源の人
ワイが高校卒業した年の話や
県外の人には馴染みがないかもしれんが、ワイの生まれた県には「水源」がいっぱいある
山に降った雨水が火山岩の地層に染み込んで、長い年月をかけて地下水になる
地下水はゆっくりと海の方へ地面の下を流れていくんやけど、地表の近くを流れる所からは水が湧き出すことがあるんやそれが水源で、いわば川の源流やな
ワイの家から20分ほどにある村には5,6の水源があって、観光地化された大きなものから、田んぼの中で人知れずこんこんと湧き続けるものまで様々やった
ワイの実家も井戸があったし、基本的に生活用水は全て井戸水で賄っとったが、それでも水源で汲んだ水は格別やった
例えばコーヒーに、煎茶に、出汁にしても水源の水で作ると、口当たりが柔らかくて角の取れた味になると言われとった
だから月にいっぺんはポリタンクや空のペットボトルを持っての水くみは大切な家族行事やった
山裾の平地に広がる田んぼの間を縫うような小さな川沿い、それを大きな火山を左手に見ながら遡ると、小さな森にぶつかるんや。
そこに石造りの鳥居があって、大きな杉を祀っとる、その根本がN水源や
杉の大木が川に足を突っ込むようにして生えとるところ、水はそこからこんこんと湧き出しとった
言わば川のすみっこでさらに水が湧いてるような感じや
夏休み、受験勉強の息抜きにと水くみを買って出たワイは、カブの荷台にポリタンクを括り付けて久しぶりにここに来た
最後に来たのはその2年くらい前やった気がするわ
その日はよく晴れた夏の割に涼しくて、もう稲穂の形が見えてきた田んぼを、風がざわざわ揺らしとったんを覚えとる
鳥居をくぐって森の中に入ると、頭上の森のお陰で薄暗く、ことさら過ごしやすかった
ワイは杉の根本に座って、自分のすぐ足元からポコポコ湧き出る湧水が、川の流れと混ざって流れてゆくんぼんやり見とった
ワイは近畿の大学に行くことを決めとったから、しばらくここに来ることもないやろうなぁ、春にはもう一度来れるかなぁなんて考えとった
対岸、鬱蒼とした広葉樹から漏れた光が地面に落ちる辺りに、一本の灯籠が立っとった
神社の境内でよく見るような、台形の土台の上にロウソクを入れる函と、その上に屋根の意匠を持たせた、石造りの常夜灯や
ワイはそんなところに灯籠があったかなぁと思いつつ観察しとったが、屋根部分の苔むした具合からするに随分古いものであるように思われ、なんとなくそれが御神体であるような感じがして、立ち上がって灯籠に頭を下げたんや
頭を上げる一瞬、灯籠が女の形をとった気がした
深い緑色の浴衣をまとった、肩で髪を切りそろえた少女がこっちを向いているように思えたんや
ワイはまぁ気のせいやろうと思いつつ水くみを終え、もう一度立ち上がって灯籠に黙礼すると、しばらく見なくなるでであろうこの場所を眺め、鳥居から出た
ポリタンクを原付に括り付けていると、脇の田んぼから爺さんが歩いてきた
草むしりでもしていたのか、長靴は黒く汚れとったんが印象的やった
「あた近所ん人?」と、爺様はにこやかに聞いてきた ワイは隣町から来たこと、この水源には昔からよく来ていたことを話したと思う
爺様はすぐ近くに住み、長年田をやってるらしく、こうして水源の来訪者と話をするのが生きがいだそうだ
この土地の歴史や季節の移ろいなんかを風流に語り、ワイはおおむね興味深く聞いていた。爺様が戦前この辺りにいたと言う化け大だぬきの話をしたものだから、ワイもつい今まで見てきた色々なものの話をして、たいそう盛り上がった
40分位そうして立ち話をした別れ際、
「それであた、あの人には挨拶したとかい?」と爺様はついでの様に聞いた
「なんべんか来とんなら、会うたこともあっど?水ば守っとらすたい。ワシも時々見ゆる」
爺様はちょっと恥ずかしげに少年のように声を潜めて言うた
爺様はそれがどんな姿形かは言わなかった、ただなんとなくあの人が誰かワイにも分かっていた
はっきりと何と答えたかはまったく覚えとらん、ただ「また来ます」と言って、ワイは水源を後にした
暫く走ると、カブの荷台でポリタンクがちゃぷんちゃぷんかわいい音を立てるもんやからワイはロープを確かめるべくバイクを停めた
随分と遠くで爺様が鳥居に向かって一礼し、また畑に戻っていくのが見えた
終わりにするで!
見てくれた人サンガツ
ホンマ最近おばけ系のスレ見れんかったしほんま最高や
すごい感激したで
イッチサンガツ!
・嫁「その代り俺さんの車出して下さいね?」俺「その代わり変なとこ連れてっても知りませんよ!」嫁「いいですよぉ?責任取って下さるんでしたらね!」
・【ドン引き】お兄ちゃんと腕組んで買い物してたら友達にばったり会った。友「彼氏?」私「お兄ちゃんだよー」友「そ、そうなんだー…じゃぁね」私「?」
・【辛い】嫁が昔飲み屋で働いていて、そこで出会ったおっさん達と未だにメールの連絡しあってる。俺「やめて欲しい」嫁「女々しい!」
・【サプライズ】新婦が内緒で新郎がずっと好きだった人Aさんを結婚式に呼んだ。笑い話ですめば良かったんだけど…
・うちの職場にいる派遣社員の成績は化け物レベル。だが、雑用を頼めば成績表を指差して「私忙しいんで」と言う。何でクビにしないのか意味不明…
・【自業自得】夫に浮気がバレてしまい土下座して再構築をお願いし続けた。離婚は保留になったんだけど、もう8ヶ月も無視されてて…|生活|ワロタあんてな
・【変】甥(小2)が私のアイスを勝手に食べたことがきっかけで、両親、姉に絶縁を言い渡して家を出た。さらに両親が離婚してしまい…|生活|ワロタあんてな
・8年前に離婚した元夫に「なんであの頃私のことをあんなに憎んでたの」と聞いてみた。その時の会話を元夫の許可を得て録音してみた。|生活|ワロタあんてな
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・【赤面】入社式で名前、年齢、出身地と「犬のコーギーが好きです」と自己紹介したら一瞬空気が固まった。私「なんか変なこと言った?」その後…
・兄が婚約者を連れて実家に泊まりに来たんだけど、2人で一緒にお風呂に入ってた。私「おかしい!」兄「お前の家じゃないんだから偉そうにするな!」
・【Part①】とにかく生活に役立つ雑学スレ!!
・【報告者が変】帰宅したら妻が寝てたので腹が立って小突いた。妻「食事はできてるからすぐ出す」→結局20分も待たされたんだが…
・【衝撃】近所の子供グループがある不祥事を起こした。被害を被った町会や学校を巻き込んで多大な費用と労力を要した。子供達には反省と弁明の機会が与えられたんだが…
・【自爆】DQNグループのイジメ行為を教師に訴えたが放置され続けた。→ある日、DQNグループに絡まれた俺は病院に運ばれて…
引用元: http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1522595064/
文章上手すぎ
魅せる文章だ
なんか蟲師っぽくてイイ
全然怖くねぇ
引き込まれねぇ
すごく面白ろかったです。
是非また書いて下さい。
ばあちゃんの話で
号泣しました