トイレのカレンダーを見たら、7月と8月分が同時に載っているカレンダーの8月部分だけがちぎり取られていた。誰が？なぜ？と思っていると…

数年前の8月のこと。
休日の朝、目覚めてすぐに2階の自室を出てWCへ向かった。
洋式便座に腰掛け、ふと正面のカレンダーを見る。
7月・8月分が同時に載っているカレンダー（上部に風景の写真）の
8月部分だけがない。よく見ると、手でちぎったような乱雑な破き方。
間違えてカレンダー一枚をめくるならともかく、どうして8月だけ？
しかもまだ8月の途中だ。切り取る必要などない。誰が？なぜ？
WCから出てリビングへ入ると、家族が「WCのカレンダーの8月が！」と
話していた。家族全員心当たりなしという結論に至り、気味の悪いまま
朝ご飯にしようか……と席を立った。

私は着替えのため一旦2階の自室へと戻った。
足元に丸めた紙くずが落ちている。拾って広げると、そこにはさっきの8月が…。
そこで全てを思い出した。

夜中にWCへ行った。便座に座った。カレンダーを見た。
ごく普通に「あ、8月を破かなくちゃ」と思った。
寝ぼけた頭と覚束ない手で不器用に8月だけを破いた。
手に持って部屋へ戻る。丸めて足元に捨て、またベッドへ戻る。

ここまでがまるで連続写真かパラパラマンガのように脳裏に蘇ってきた。
なぜ私がこんな奇行を？と頭を殴られたような衝撃でした。
私は夢遊病なのだろうかとしばらく不安だったけれど、奇行はその時だけ（多分）。
一つ心当たりがあるとすれば、私はその数日前、辛かった5年の結婚生活を終えた
ばかりだったということ。
「8月を忘れたかったんだね」という家族の言葉に涙が出ました。