合宿二日目は朝から大変忙しかったのを覚えている
佐倉先生が「昨日はこいつ役に立ってないだろ」と言い始めてたので、俺と佐倉先生が朝食当番になり暗黒物質を作ったり
今日やりたいことを合宿当日に会議したりしたからである
会議の結果午前中は、山道のハイキング、お昼(三チームに分かれてお互いに評価する)
午後は近所の色々体験できるところに行き自作のキャンドルを作る、適当に遊ぶ、晩御飯もチームごとに分かれて作る
そんでもって夜は天文部らしく天体観測という流れであった
佐倉先生との朝食作りはとにかく大変だった
俺は料理なんて目玉焼き程度しか出来なかったし、佐倉先生に至っては味噌汁しかロクに作れなかったからだ
後で聞いた話だが、佐倉先生は実家に住んでいるらしく、当時は家事の大半を母親にお願いしていたらしい
まあ、今もらしいが
結局俺たちは俺が固い目玉焼きと、佐倉先生が薄い味噌汁、二人でキャベツだけサラダを作った
微妙な朝食を済ませると俺たちは早速ハイキングへの準備を始めた
俺は一人だけの自室に戻り今日のコーディネートを考えた、まあ考えるもなにも服に関しては妹の取り説がついていたので組み合わせについては考える必要はなかったのだが
「うーん、少しちがうかなー」
とか一人でファッションショーしてまるで普通の学生みたいなことしてニヤニヤしてた
リビングにいくと女子達が既にキャッキャウフフと盛り上がっていた
どうやらお互いの服について意見し合っていたようだった
今日の服は、吉井がなんかフリフリのスカートで田村さんもワンピースになっていた
残りの二人は普通
なんかこの頃になると俺の心はかなり広くなっていて、なんかもう吉井のフリフリスカートから這い出るボンレスハムみたいな四肢でさえ可愛く思えた
そして、なにを思ったのか俺は朝気まずくなったばかりの田村さんに話しかけていた
「そ、その服可愛いですね」ニヤニヤ
「え、ありがとう」
「に、似合ってますよ」ニヤニヤ
「は、はい」
このように大変短いやり取りを田村さんとしたのを覚えている、今思うと田村さんは気持ち悪がってた気がしてならないが
当時の俺はなぜか「きまった!!」と、お花畑な脳みそで感動していた
佐倉先生は部屋に呼びに行くとまだ服を選んでいた、
「運命の出会いはいつ来るかわからないからな」とか言いながら真剣な顔をして服を選んでいたのが可愛かった
結局俺の意見でスカートを穿いて頂いた
ハイキングは思ったよりも楽しかった
長野は地元より少し涼しいこともあり、のんびり歩く分には気持ちが良かったし自然の中を歩くと自然と心が穏やかになって皆との会話も弾んだ
まあ、俺は荷物持ちで会話にも入ってなかったから「楽しいの?」と聞かれたら答えに困るが人が近くにいて、楽しそうに会話してるのを見るだけで俺もなぜか楽しかった
佐倉先生は最後尾で死にそうになってた
残念ながら佐倉先生の運命の男性は現れることがなく、というか他の人と全く遭遇しないままハイキングは終わった
流石にみんな疲れたのかコテージにつくといっせいにソファーに倒れこんでいた、吉井はジュース飲みに行ったけど佐倉先生はもう死にそうだった、
途中からは立ち止まってしまい中々歩きださなかったくらいだ
今考えるとちっこい先生だから歩幅もちっこくて大変だったんだと思う
当時の俺はそんなことには気がつかずに、
「がんばりましょうねー」とか言っていつもはクールな佐倉先生をいじって遊んでいた
休憩後、皆でお昼を作ることになった
朝の会議でチームに分かれて作ることは決まっていたので、とりあえずチーム分けをした
結果として、俺は死神と組むことになった
他には、先生と吉井、田村さんと内田さんという組み合わせになった
俺たちのチームは死神が以外とできる女だったので結構テキパキと調理が進んだ
といっても、俺がやったのは精々芋の皮むき程度だったのだが他のチームよりも早く調理が終わってしまったので死神とタイマンで会話にも挑戦してみた
俺は終始気持ちが悪かったと思うが死神は案外優しくて俺とも楽しそうに会話してくれた
しばらく死神と会話をしていると他のチームも続々と調理を終えたようであった
「せーの!」でそれぞれの作品を見せ合った
お互いの作品を見て最初に俺が抱いた印象は茶色の一言であった
俺&死神、肉じゃが
先生&吉井、生姜焼き的な何か
田村&内田、煮魚
という感じであった
結果として料理は全部美味しかった
俺たちの肉じゃがも無難な味をしていたし、生姜焼きもいい味だった
特に煮魚は思わず惚れてしまうくらい美味しかった
みんなでお互いの料理に意見したりしながら昼食は楽しく進んだ
佐倉先生は自分の作った料理を自慢げに俺に見せてきたけど、吉井のおかげであって佐倉先生はあんまり関係ないんだろうなと俺は思った
まあ、楽しそうだったから何も言わなかったけど
昼食を終えて少し休憩をはさんでから、俺たちは佐倉先生の運転でキャンドル作りにむかった
キャンドル作りの体験教室に行くと俺たちの他にも子連れの家族やカップルなどが数グループ体験場に集まっていた
それから説明を聞き、少し苦労しながらキャンドルを作った
キャンドルを作っての感想だが、意外だったのだけどキャンドル作りが案外簡単で初心者でも結構綺麗なキャンドルができたことだった
透明な蝋に着色して海みたいにしたり、ビーズを入れたりして俺たちは思い思いのオリジナルキャンドルを作った
佐倉先生を見ると、佐倉先生は欲張ってビーズを入れすぎたので蝋がケースから漏れていた
なんか可哀そうだから手伝ってあげて一緒にもう一つ作ったのも今となっては良い思い出だ
とまぁ、そんな感じで合宿二日目のキャンドル作りは大盛況のうちに終わった
みんな楽しそうにしていたし、形として思い出に残るものができたので俺も嬉しかった
そのあと、コテージに戻った俺たちはすっかり機嫌が良くなった佐倉先生の提案でかくれんぼとかをして晩御飯までの時間を楽しく過ごした
あとオレたちを鬱にしない話しだよな期待
みんないつもの距離感に戻ってしまうんだよな…
先生ぺろぺろ
晩御飯もチームに分かれてつっくた
俺は佐倉先生と組むことになった、結果については言うまでもないと思う
晩御飯を食べ終わるとみんなで第二回の天文部天体観測に出かけた
二日目ということもあり、皆は会話をしながら天体観測を楽しんでいたようであった
天体観測を始めてから一時間ほどが経った頃だっただろうか、佐倉先生が突然
「きもだめしだな」
と意味不明なことを言い始めたので肝試しをすることになった
肝試しといっても特にお化け役がいるわけでもなく、コテージの周りを一周するだけという単純なものであった
二人組で行くことになったけど「お前と女の子を夜道で二人きりにするのは心配」
という佐倉先生の粋な計らいもあり俺は真っ暗な中一人で肝試しをすることになった
他のメンバーは二人組と三人組を組み肝試しに臨んだ
俺は三組中の三番、ラストの出発となった
>>509
お前だけ散歩じゃねーかwww
七、八割は創作だろうがおもしろかった
さくちゃんは多分実在してないんだろうなーなんて思いつつ…
スルッと読めて面白かったな
文才あるな
実に軽妙だ
読みながら自分も当時の高校生活を思い出したよ
正直自分には遠い話でピンと来なかったけど、こういう癖のある人との関係こそ大切にしてみると人生面白くなるのかなって思った
読み物としては面白かった