嫌いな兄が交通事故であっさり死んだ。けど、私は事故の原因を作ったらしき人間を知っている。

もう三十年以上前の話。

私の両親は長男教の毒親で、兄ばかりを可愛がっていた。
そのため兄は調子に乗ってDQNになり、私や弟は兄に良く殴られていた。
そんな兄だけど、高校二年の時に交通事故であっさり死んだ。
学校からの帰宅時、車通りの多い道の脇を自転車で走っているときに
いきなり前輪が脱輪して道に放り出され、後ろから走ってきた車に
跳ね飛ばされて即死だった、らしい。
兄の死後両親は愛玩の対象を弟に変更し
弟は家庭板でいうところの、次男はっちゃけ病を発病。
私は高校卒業後さっさと家から逃げ出し、遠方で結婚して家庭を持って今に至る。
まあ家庭板を見ていれば、特に珍しくもない話だと思う。

でもってこれのどこが黒い過去かというと、実は私は兄の事故の原因を
作ったらしき人間を知っていて、それを誰にも言わず黙っていたこと。
その犯人(推定)は近所に住んでいたK男。
K男は兄と同い年で、小中高と兄と同じ学校だったんだけど、
中学の頃からいじめられっ子になって、兄にもよく殴られていた。
事故が起きた日の前日、私は母親の命令で
日が暮れた後にも関わらず買い物に行かされたんだけど
買い物から戻ってきた時、車庫から何か物音がするのに気付いた。
物陰からそっと中を覗いてみると、誰かが兄の自転車を
懐中電灯か何かで照らしながらいじっていた。
そのまま様子を伺っていると、十五分くらいして車庫からK男が出てきた。
K男は周囲を見回した後、自分の家へと帰っていった。
その時K男が何をしていたのかは、私にはわからない。
でも、その後のK男の様子などから考えると
私はK男が兄の自転車に細工をして、その結果脱輪が発生したのだと思っている。
そして私は、このことを誰にも言わないまま家を出た。

この話を今書き込んでいるのは、K男が現在市会議員をやっていて
しかも将来の市長候補らしいことを、偶然知ってしまったから。
K男が市長になった時に、このことがばれたら大変なことになるだろうと
思わずにやにやしてしまった自分は性格悪いなと思ったので
ここに書き込んで忘れることにする。