何らかの障害を持っている高齢女性Aは不定期に町内を歩き、疲れると家に戻るという生活をしていた。自分「いつも誰かと一緒に歩いてますけど兄弟なんですかね？」大家「え…」

昔住んでた地域に、町内を徘徊する老人がいた。
一人は小柄な高齢女性Aで、真夏日でも毛糸の帽子をかぶり、マフラーを巻いていて
もう一人は、その女性の後ろを歩いている、痩せていて背が高く見える高齢男性B。
二人ともただ黙々と歩くだけで何をする訳でもないが
飲み会の帰り、真夏の深夜、ぼやーっとした街灯の下を
とぼとぼ歩いてる二人を見て、一瞬で酔いも冷めたし腰ぬかすかと思った。

子供の頃から時からここに住んでるという大家さんの話よると、地域では有名らしく
Aは何かしらの障害を持っており、何をする訳でもなく不定期に外を歩き、歩き疲れると家に戻るのだとか。
声をかけても黙っているが、立ち入り禁止の場所に入ろうとした時に「そこは入ったらダメだよ」等注意すると
聞き入れてはくれるので、ある程度意思の疎通はできるらしかった。
ある日、「いつも一緒に歩いてますけど、兄弟なんですかね？」と大家さんに尋ねると
怪訝な顔をされ「…誰か一緒にいるの？」と言われた。

私が見かけるのは、Aの後ろをBが同じ歩調で縦列して歩いてる姿なんだけど
大家さん情報によると、両親は既に他界で他に兄弟姉妹はおらず、小さな戸建てに一人暮らしだと言う…。
大家さんにBの特徴を伝えたが、全く心当たりがないらしく、何かあったら大変だから
近所と警察に話しておくと言われた。
私の見間違いかと思って、近所のお店等でその話をしても、店長や店員も見かけるのはAばかりで
後ろを歩くBは見た事がないという。

私が引っ越しする４年の間に、結局そのBの正体はわからずじまいだった。
例えばBも何かしらの障害を持っていて、同じように外を徘徊してるAを仲間認識をして
後ろについて歩いていたのかな？と思わなくもないが
それなら他にも目撃者がいてもいいんだけど、タイミングの問題だったのかな。