私は小学校低学年の頃には夕飯の準備ができるようになった。それを知った同級生Aのママ「娘さんを貸して！」

近所に泥棒が入ったのを、実家の母に話したら教えてくれた昔の話。

うちは自営業だったが、さらに母が外で働いていた。
昔だったのと地方だったせいか、幼稚園への送り迎えが不要だったので
私は幼稚園の時点で鍵っ子。
ある日母がおやつの用意を忘れていて、おなかがすいた私は
勝手に冷蔵庫を開け、母の真似をしてかまぼこを包丁で切り取って食べた。
それを知った母は、私に包丁の使い方や料理を教えてくれて、
しっかり注意を受けてコンロも使わせてもらえるようになった。
父が敷地内で仕事をしていたので、緊急時に駆け付けられるというのもあった。

母は私専用にぺティナイフを買ってくれたり、ノートにレシピを書いたり
フライパンや鍋も私が使いやすい小さくて軽い物を買ってくれたりした。
おかげで小学校低学年の頃には夕飯の準備ができるようになり、
そのうち自分でクッキーやケーキなんかも作るようになった。

それを知った同級生Aのママが、うちにやってきて「娘さんを貸して」と言ったらしい。

Aママが言うには、姑が来るのでAが作ったことにしてご飯を食べさせたい。
自分が作るといつも文句を言うが、Aが作ったなら文句言わないだろう。
でもAは不器用で料理ができないから、私が作ってAの料理だと言って食べさせる。
Aママも褒められてすべて丸くおさまる、という説明をされ、母はもちろん断った。
そんなことしたらAのプライドがぼろぼろになる、逆にかわいそうだと諭したが、
共稼ぎ家庭に対するいろいろな暴言を吐いたのでドアを閉めたそうだ。

しかしその後、我が家に泥棒が入った。
泥は台所の窓ガラスを割って侵入し、シチューの入った鍋を盗んで行った。
そんなもん盗む心当たりは一つしか無いと、母が警察に行く前にA宅へ。

Aママはもちろん否認したが、じゃあ警察に届け出ると言ったところ逆ギレ。
鍋を持って来て玄関にぶちまけて「返すわよー！」と怒鳴った。
他にもいろいろ罵られたらしいが、その内容ははぐらかされた。

冷静に考えたら、自分が作ってAが作ったことにすればいいじゃんねぇという話。

後日談だが、私はそれまでAとそこそこ仲が良く一緒に遊んだりしてたのだが、
ある頃から突然いじわるをされるようになり、わけがわからないうちにいじめに発展した。
Aはスポーツが得意で身体も大きく、Aを怖がっていじめに加担した子が多かったので
けっこうないじめになり、学校にばれていろいろ問題になった。
問題になった後、今度はAがハブられて、授業中にいきなり暴れたりするようになった。
その後はクラスも離れ、私も引っ越したのでAの現在はわからない。

母の話と擦り合わせると、私の料理の件でAママがAに何か言ったんじゃないかなと思う。
Aが毒親と離れてまっとうに育っていればいいが。