アル中だったAさんはお酒を絶っていた。B子「アル中なんてどうせ治らないのに、まともになったフリして暮らしてるのが許せない」

コロナ前の話。
中途で入ってきた30代男性のAさんは、あまり要領は良くないけど、真面目にコツコツとやるタイプで、周囲の評判はまあまあ良かったと思う。
ただ、同僚のB子がどこかで「Aさんはアル中で前の職場をクビになり、1年くらい入院してやっと退院したけど無職状態だったのを、うちの社長が気の毒に思って雇った」というのを聞きつけてきた。
B子は父親がアル中で、飲んで暴力を振るう人だったそうで、Aさんのことも
「どうせそのうち、また飲み始めて周りに迷惑をかけるようになる」
と言ってた。
それからしばらくして、Aさんは仕事中にもお酒の匂いをさせるようになり、無断欠勤を繰り返してクビ同然に辞めていった。また入院したという話も聞いた。
やっぱり、B子の言った通りだったと、その時は思った。

でも、それはちょっと違った。
Aさんにお酒を飲ませたのはB子だったんだそうだ。
Aさんは禁酒会？みたいなのに入って、同じ経験をしたもの同士、励まし合ってお酒をたっていたらしい。
禁酒がもう何日続いた、というのを支えしてたそうなんだけど、B子はAさんを「ご飯に行こう」と誘い、ウーロン茶を間違ったふりしてウーロンハイをAさんに飲ませて「せっかく何日も頑張ってきたのに、ゼロになっちゃいましたねw」みたいに煽ったんだそうだ。
「1回目はそれでも持ち直そうとしてたんだけど、謝りたいからって言って誘ってもう1回やったら終わりだったw」
と、最近になってB子の口から聞いた。
「アル中なんてどうせ治らないのに、まともになったふりして暮らしてるのが許せない」
「どうせこうなることがわかってたし、早めに本性が出たのは会社にとってもよかった」
とも言っていた。
なんか、同じように家族がアル中で苦しんだ人たちと一緒に、禁酒会をネットで調べて、そこに出入りする人たちの社会復帰を邪魔することを前からやっていたんだそうだ。
B子的には、アルコール中毒に対する復讐なんだそう。
ちなみに自分は、B子と3年ちょっと付き合って、そろそろ結婚を考えていた。
今、どうやってB子とうまく別れようか考えているんだけど、職場恋愛なので角が立たないようにするのが難しい。