私の父方の祖母と母方の祖母は遺伝する難病や障害がある。両親は4人の子どもを設けたが、私だけが見事に色覚異常と2つの遺伝病を引き継いだ…

私の父方の祖母と母方の祖母は遺伝する難病や障害があり、孫が発症する確立はそれぞれ25%以下と言われていたらしい
両親は父が色覚異常だったものの他は発症せず、だから両親は四人子どもをもうけたが、望みに望んでようやく生まれた女の子である私だけが見事に色覚異常と2つの遺伝病を引き継いだ
母は親族に色覚異常はいないからまさかと言っていたが、後に祖母の兄弟に何人かいたことがわかったそうだ
周りからは男の子である兄たちの代わりに私が病気を全て引き受けて生まれてきた忌み子だと言われた
私は失敗作の子孫だと後ろ指刺されるようになった
昔はﾀﾋんでいた病気だけど今は治療法もあり、かなり薬は飲まなければならないけれど、ぱっと見は普通の健康な人と何ら変わりがない
だから家から離れて働くようになったときには、会社には病気を全て伝えたけど他の人には伝えてなかった
伝えたところで何かしら配慮ができるようなものではないし、配慮しようのないものを変に気遣わせたくなかったから
だけどどうしても他人に伝えなければならない事が起きた
28歳のとき、社内で熱心に交際を求めてくる男性が現れた
すごく真面目で誠実な人で、30歳だったけど、他部署の私にも伝わってくるくらいきちんと仕事面でも成果を出している信頼できる人だった
私が恋愛感情抜きにしても男性を好意的にみているのは周りも気づいていて、特に女性からは28歳なんだから早く結婚して子ども産まないとと言われたし、
子育てを終えたようなパートのおばさまたちからも子どもを産み育てることの女の幸せを説かれて背中を押された
会社には託児所があり私が託児された子たちと仲が良く、子どもが好きだったことが知られており、そして子どもと同じくらい子ども関連の仕事が好きだったことを知られてたから
仕事は何歳になってもできるけど、子どもを産める期間はとても短いのよと力説された
皆私が仕事か家庭（子ども）かみたいな、女性特有のそういう問題で交際や結婚を躊躇しているのだと感じていたようだ
そう、真剣な交際であればあるほど子どもの問題はついてまわる
今どきは親ガチャなんて言葉が当たり前に使われるし、植○なんかが出てきてからそいつを名乗って障害者はﾀﾋねなんて言われる世界だ
バリアフリーの世の中になったとはいえネットで見える周りの本音を見れば障害者は前世で犯罪者だった、くらいの知識の頃から何も変わってない人もいれば
むしろ遺伝するものだとわかってからは明確に「障害者を増やした戦犯」扱いしてくるような人もいる
ネットがあるからそういう声は昭和の頃よりもダイレクトに私に届いてくる
だから私は男性に「私は子どもを産む能力はあるが、子どもを作ってはいけない人間である」と説明し、私と結婚するということは子孫を残せないということでもあると伝えた
必ず遺伝するとは限らないが、何かしら問題の遺伝子は子どもに遺伝してしまうし、女の子だと私と同じ病気を発症する確立が跳ね上がる
相手が誠実だったからこそ私も誠実に答えた
男性は相当悩んだようで、自分でも一つ一つ病気や障害のことを調べたらしく、悩んで悩んで周りにもそれを相談したらしい
私のことだと名前は出さなかったが、状況的に私のことだと丸わかりだった
そして自然と私の病気のことが広まった

事実だし、バレたくなくて隠していたわけではないからその情報が広まった事自体はさして問題ではない
ただそれでもどうしようもなく傷ついたのが、私に子どもを産むよう善意で勧めてきた人たちが、私が複数の遺伝する病気や障害があるとわかった途端、
今の時代結婚して子どもを産むことが全てじゃない、親がしてきた苦労を子どもにはさせたくないのが人としての良心、結婚しない生き方もある、
と、遠回しに私に子どもを産まないように諭してこられたこと
ネット上で顔も知らない他人からひどい言葉で子を産む資格がない言われた時は「そんなこと言われなくても中学生で遺伝の勉強した頃にはわかってたさ」と傷つきもしなかった
だけどそれまで普通に接してきてた顔を知ってる他人から言われたら、遠回しに傷つけないように言葉を選んでであっても、酷く尊厳を傷つけられた気になった
心の中の触れられたくない膿んだ部分を守るために作った分厚いかさぶたを無理やりはいで、膿んだ部分をむき出しにさせて、そこをナイフで刺されるくらいの気分だった
病気のある私自身が「子ども？(ヾﾉ･∀･`)ﾑﾘﾑﾘ」って思ってたんだから他人がそう思うのも当然なのに、顔を知ってる他人から言われることがとても苦しかった
男性の返答を待たずに私は男性の交際をお断りした
別に情報が漏れたことで気分を害したとかじゃない
唐突にネットで言われていた「女には理解ある彼くんが現れる」って言葉が響いてきたからだ
私のことを知った上で交際を申し出てくるなら彼はその理解ある彼くんになるんだろう
健康で遺伝子に問題もない、子どもをつくれる彼が私みたいな問題だらけの因子を持つ女と結婚すべきではない
私の幸せと引き換えに私は彼の幸せと可用性を1つ奪うのだと思ったら、彼と交際はできないと思ったし、
子どもを作れないことを知って彼から断りを入れるのは難しいだろうと思ったから私から断ったのだ
男性は酷く自分を責めたようだったけど、私は断った後も以前と変わらぬように接したし、男性も立ち直ってくれた
それから４年後に男性は結婚相談所で出会った８歳年下の女性と結婚し、すぐに一人目に恵まれ、春に二人目も生まれた
子どもが可愛くて可愛くて仕方がないらしく、スマホもパソコンのディスプレイも子どもたちのスタジオアリスで撮った写真が設定されてるそうだ
私は彼と結婚しなくてよかったと思ってる
でもどうしようもなく彼のことが羨ましいと思うし、私も子どもが欲しかった
私のような人でも結婚できて養子をとることはできるし、そうしないのは本気で子どもを欲しくないからだと言われる
その人達は人間の養子を犬か猫の養子だと思ってるのだろうか
私はそう長く健常者のように振る舞うことはできない
だから養子を迎えたとして、その子が巣立つまできちんと育てられるかもわからない
今は自分のことだけしていればいいから生活が成り立っているが、子どもを育てながら維持することはできないだろう
無理をすれば命を削る
一人でﾀﾋぬならいいが、養子をとっておきながら子どもを残してﾀﾋぬなんて無責任なことはできない
子から２度も親を奪うなんてできない
こんな私を自分の人生に組み込んでくれた夫を残してﾀﾋぬなんてできない
子どもや少子化対策のために養子とれって気軽に言う人は、私みたいな人のもとに子どもの頃のあなた自身が養子とて来られるかどうかを考えてから言ったほうが良いと思う