ある日大学から帰宅したら台所に大きなケージがあって、そこから異臭が漂ってて、小動物の腐乱死体のようなものがタオルにくるまれてそこにいた
よく見るとそれは毛が抜けて皮膚が膿み、顔も目ヤニや膿だらけでがりがりに痩せこけたゾンビじみた子猫だった
唖然としてたらそばにいた母が「可愛いでしょ?」とニコニコしながら言ってきた
なにこれと聞いたら買い物に行った帰りに車道に子猫が寝てて、そのままだと危ないなと思って拾ってみたところ、病気みたいだったから獣医さんのところに連れて行き、さらに飼育器具一式を買ってきて連れて帰ったとのこと
飼うのかと聞くと
「しょうがないじゃない!ほっといたらこの子死んじゃうわよ絶対!」とのこと
すでに死んでるんじゃないの?と思ったけどよく見ると胸が上下してるし、話声が聞こえたのかわずかに顔を動かして痙攣しながら口を小さく広げた(鳴き声を上げようとしたんだと思うけど全然音は出なかった)
それからが大変だった
獣医さんによると寄生虫に寄生され、皮膚病やその他の病気にも感染してる
しかし現状では栄養失調で体力がないために薬を与えると副作用で確実に死ぬ
皮膚が膿だらけだけど体を濡らすのも厳禁なので洗うこともできない
できることは栄養剤をスポイトで飲ませつつ体温が下がらないように保温し続けるしかない
なので電気アンカをタオルで巻いてその上に子猫を寝かせてさらに上物のタオルを布団にして、温度が下がったり上がりすぎないように温度計を一緒に入れて保温しつつ、水や栄養剤を飲ませて下半身にはペーパータオルを巻いて糞尿をしたら交換して、タオルも膿で汚れるから定期的に交換して、というのをずっと続けることになった
恥ずかしながらそれまでは家事は多少の手伝いはしてたもののほぼ母にまかせっきりの一家だったけどそうなると猫の面倒が見れないということで俺や兄弟(休日は父も)で家事をやったり猫の世話も手伝ったりした
ずっと母が猫を見てると夜眠れなくて母が体調を崩すだろうからと夜は若い俺や兄が交代で様子を見たりした
母がその子猫にすっかり感情移入しちゃってるから一応俺たちも一緒に世話をしてたけど正直、四足で立ち上がることも鳴き声を上げることもできない状態だったからとても助かるとは思えなかった
なので、死んじゃったら母さんすごくショック受けるだろうな、と兄弟で心配してた
最初の一週間は体重は横ばいで回復の予兆もなくてもうだめかなって思ってたんだけど、それから段々体重が増え初めて少しずつ自力で動けるようになってきた
さらに皮膚病が治り始めて抜けてた毛も生えはじめた
そして体力が戻って来たので寄生虫の虫下し等の投薬治療をすると急速に元気になり皮膚病も完治して毛も完全に生えそろい、獣医さんのところで全身を洗浄してもらったおかげで顔にこびりついた目ヤニも除去された結果、臭いもなくなり活発に走り回るぱっちりお目々の可愛らしい茶トラの子猫になった
正直なところ俺たちは皮膚病の猫は臭いし糞尿や膿が汚いしでしかめっ面で嫌々世話をしてたのに母だけは全然嫌そうなそぶりもなく優しく世話をしてて、どうしてそんな風に世話ができたのかと聞くと
母曰く「あんたらだって赤ちゃんのころはあんなもんだったのよ。今さら子供の病気や糞くらいで怯んでられないわよ」とのことだった
母は強い、と実感した
最初にみんなで世話をしたせいか猫は甘えん坊で人間にくっつくのが大好きな性格になった
よく猫はベタベタ溺愛されるのを嫌がるというけど、うちの猫は逆に一日にそれなりの時間ベタベタ溺愛しないと怒る子になった
抱きしめられたり撫でまわされたり膝の上に乗るのが大好きで人間との接触を全然嫌がらない
トイレもすぐ覚えたし、人間のご飯に手を出さないいい子だった
俺が就職して家を出てから一年ぶりに帰省した時、もしかしたら猫に忘れられてるかもと思ったけど猫は昔のように一目俺を見た瞬間に駆け寄ってきてゴロゴロと甘えてきた
家族以外のお客さんには警戒して近寄らないんで、確かに俺を覚えてたんだと感動してしまった
そして母はよく猫を抱いて
「この子が死んじゃったら悲しくて新しく飼うのは無理かも」と言ってたんだけど猫は元気いっぱいだったのにその母が数年後に癌で急死してしまった
母の葬儀後、猫は数日ほど分離不安のような状態になって、元々甘えん坊だったのに普段以上に誰かとべったりくっついてけして離れようとしない状態になってしまった
俺の会社は親族が亡くなった場合特別有休が出るので葬儀後しばらく実家にいたんだけどずっと俺にくっついてた
父が言うには母が入院中はそんな状態じゃなかったので、母の死の影響というよりは母の死で落ち込んでた俺達の変化を感じ取ってそうなったんだろうということだった
母は亡くなる前の日も俺や兄貴の心配ばかりしてて俺達には弱音ははかなかった
父の前では弱音を吐いたり泣いたりしてたそうだけど俺たちには全然見せなかった
俺はもうすぐ結婚するんだけど、この猫を撫でてると俺は母みたいに子供の面倒を全力で見れる親になれるんだろうか、とかふと思ってしまう
もしも自分の子供がゾンビみたいになっても嫌な顔一つせず愛情込めて精いっぱい世話できるのかなとかまだ実際に子供もできてないし今考えても仕方ないことかもしれないけど別に自分が子供嫌いだとかそういう訳では全然ないんだけど死にそうだった子猫をかいがいしく世話をしてた母の様子を思い出すと親ってすごいなって思う
>>302
それだけ猫の世話を嫌だと思いながらも母が心配だからとやり遂げて猫からも愛情を返してもらえてるんだから大丈夫だよw
普通、出来ないよ。
そんな嫌だけど何だかんだで病気の人間じゃなくて動物の世話なんて…
その母の血が流れてるんだら自信持ちな
>>303
ありがとうございます
健康になった猫が俺に懐いているのを見ると
「ごめん。実は俺は薄情で病気だったころのお前の世話は嫌々やってただけなんだよ」と思うこともあります
それを思うと介護職の方とかほんとにすごいですね
子猫ですら家族と手分けしても自分は心が折れそうだったのに
でも少なくとも今この子が生きてて俺に懐いていることは確かだし、それを自信に思いたいと思います
>>305
おーぷんで画像を貼るのは初めてなので上手く貼れてるか分からないですが
すいません
写真も癒されました。
>>301-302なのですが、とあるまとめブログのコメントで母が嫌がる家族に無理やり猫の世話を押し付けたと誤解している方がいたようなので追記しますと、連れてきたのは母でも皆で世話をすると決めたのは自分たちの意志です(母は最初は自分1人で全部するつもりだったし、たぶん家族が本気で嫌がれば泣く泣く諦めたと思います。あまり強引な性格ではないので)
私も含めて家族みんな子猫には同情的でしたし、もし最初に見つけたのが私だとしても思わず連れて帰ったかもしれません
(ゾンビじみたインパクトのある外見に初見ではドン引きしたのも事実ですが)
じゃあなぜ自分でやると決めたことなのにそんなに嫌々だったのかというと単純に、予想していたよりも実際は遥かに大変だったから、というだけの話だったりします
「案ずるより産むが易し」ならぬ「案ずるより産むが難し」だったという訳です
なので自分の見通しが甘かっただけで、身勝手な母に無理やりやらされたわけではないということだけは明記しておきます
もしそう感じた方がいたとすればそれは私の文章力の悪さのせいです
一応本人証明として猫の画像を付けておきます
>>332
まとめなんか好き勝手言ってるだけだから気にすんな
良い家族に拾われてよかったねぇ
もちろん332の茶トラちゃんにも幸あれ。
・友人ふたりが1台の人力車に乗って私(80kg超え)はひとりで乗ろうとしたら、近くにいた車夫が一斉に目を逸らしやがった。
・ずっと肌荒れやニキビに悩まされてたけど、良い皮膚科に巡り会えてかなり改善された。
・【画像】 ダイエットが趣味なんだけど、今このぐらいの体型。キモいとか骨とか言われるけど嫉妬だよね?
・影を入れる系のメイクがどうにも疑問。舞台化粧というか画面越しの絵面としてはとても可愛いけど…
・「犬は一日一食でいいのになんで人間は3回も食べなきゃだめなんだ?面倒くさい!」と思って一日一食生活にした結果がヤバい…
・ジムの4ヶ月ダイエット集中コース(40万)に入会。費用を快く出してくれた夫には相談できないんだけど、トレーナー合わなくて辛くてやめたい。
・自分が痩せるのに比べて、他人を痩せさせるのがこんなに難しいとは…
・35歳超えてアラサーからアラフォーにクラスチェンジした途端に食が細くなった。
・実は、あるキャラクターに憧れて12キロのダイエットに成功した。そのキャラクターが好きすぎて「もうなりたい!」ってなる。
・【画像】 私「バレイヤージュやってみてもいい?」旦那「どんなの?」私「濃いブラウンと白っぽい金髪が半々な感じ」旦那「!?」
・彼女と同棲してるんだけど、せい理前になると彼女が食欲おばけになって戸惑ってる。
・医者「タンパク質が体に足りてない」私「お豆と魚が大好物で毎日食べてるんですけど」→豆や魚だけで摂取する場合の一日に必要な量を見せられビックリ。
・最近、謎の体調不良に悩まされていて、その一因にバナナが関係あるのでは…?と思い始めた。
・脂漏性皮膚炎になったとき、「肌荒れにお悩みの方 無料診断」という看板が出てる店に入ってみた。そこで言われたのは…
引用元: http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/kankon/1514103964/
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