つじつま合わせが面倒なのでフェイクはあまり入れないけれどボカしはする
12千文字超えの自分語り
書けたら続き書く
約10年前の離婚当時、長女12歳、次女10歳
商業高卒で会計オタクだった俺は地元の田舎シティホテルに就職した
フロント業務で夜勤から入ったけど事務員が寿退社する回転率が高すぎて、夜勤と日勤のハイブリッドでシフトに入れられるようになったのが入社半年後
それから半年した1年目で若いのに数字を良く見ているしパートさんのウケも良いと良い良いづくしの評価をされて主任の肩書を頂いた
肩書よりも給料いきなり1.5倍が嬉しくて、職場の人を誘って自腹で昇進祝飲み会を2回したのは夜勤の人いるから一度にみんなで集まれないから
それから更に1年して支配人が同業への転職でやめることになり、本社経由で別の支配人が来ることになっていたけれど、急病で長期療養になり、しばらく俺が支配人代理として支配人の派遣を待つことに
シティホテルでも結婚式場とか無い大きさなので支配人の下が主任、後で知ったのはホテルの支配人は格上のホテル支配人へ転職して年収上げて行くものなのだとか
でも支配人代理って何すればいいのかわからなくて、引き継ぎもマニュアルもなかったので自分なりに売上に貢献してみようとプライベート無くして営業したり接待したりゴルフ覚えたりの日々
業績を認められて入社から4年目で正式な支配人になり、7年目からは25歳なのに年俸1,000万円頂くほど評価され、内訳は半分預金で残りは生活費と接待交際費
交際費を経費にせずポケットマネーで人脈を作り仕事取って来ていたので利益率の点で本社からの評価は自画自賛ながらとても高かったはず
自社システムではなく後に楽天トラベルが吸収した予約サイトで通称旅窓
その導入で関連ホテル全体の売上アップが評価され、東京の本社に来い、27歳で役員は前代未聞の大出世だと言われたけど、俺はベッドメイクのおばちゃんからフロントのやつらもエージェント（旅行代理店）も、地元の横つながりまでみんな大好きだから地元も現場を離れるつもりはないと何度も断った。
ある日、旅窓と競合する予約サイトの営業からメールが来て電話もして、あまりにも熱心なので感心して新幹線乗って会いに行ってみたら、美人とは言わないけれど、若いかわいらしい女の子が上司の課長と同席し、まさか私の方から来ると思わなかったらしくどぎまぎしていて俺のハートは撃ち抜かれた
半年後、初めて彼女の部屋で泊まり、朝飯の味噌汁を飲んだ瞬間「ああ、俺この人と結婚するんだな」って何の根拠もなく確信あり、その3ヶ月後に妊娠発覚、部屋泊の翌日に夜祭で電撃プロポーズしておいたから特に問題はなくデキ婚へ
第一子の長女が生まれて俺は仕事、嫁は家事と子育てで家庭内の分担は完璧、だと思っていたけど、嫁が仕事に口出さないのはいいとしても、あまりにも俺が仕事すぎて子どもをほったらかし、悪く言えば無関心すぎたと後々反省
長女が2歳の時に次女が生まれた
家のことは家事も子どものことも嫁が全部やる、俺は優秀なATMとして、地元の名士や議員やヤバイ人とも交流を深めた
平日は毎晩クラブ（今で言うキャバクラの高級バージョン）で接待したりされたりで午前様、土日は夏だろうと雨が降ろうとクローズにならなければ雪が降ってもゴルフ三昧
でも必ず毎日自宅には帰る、俺は嫁と子どもを愛していると自分に言い聞かせ
子どもとは滅多に遊ばなかったけれど、年に1回は一週間ほどの連休を取って、千葉のテーマパークなどで遊び倒したりはした
USJは当時まだない
そういう生活が30代半ばになるときつくなった
体力も落ちて週二のゴルフがきつい、酒の付き合いも日付変わるまでは厳しい
嫁と二人娘に相談して、豪華な連休はできなくなるけど、仕事変えたい、パパももう少しお前らと遊ぶと言ったら、嫁と娘と俺も大泣きして喜んでくれてホテルをやめた
アラフォーで当時年収600なら生活には困らないし、どうすればもっと売上伸ばせるか考えて計画するのが楽しく、またもや家族より仕事を優先してしまった
長女12、次女10、嫁が浮気した
人脈がらみでの噂で、俺の嫁が若い男と町中を歩いていたと聞いた
後頭部から背中へサーッと冷たいものがはしった
冗談で「噂で聞いたけど、まさか浮気してないよな？」と聞いたら嫁が泣き崩れた
「そんなわけないじゃんｗ」と笑って返してほしかった
そう言ってくれたら「だよねｗゴメン噂に振り回されたｗ」と言って無かったことにしたかった、真偽はどうでもよかった、俺に隠し事は無理で二度としないと自戒してくれるだけでよかった
若い頃の俺なら混乱して嫁へ感情をぶつけ激昂していたかも
でも歳食ったら俺も完璧な人間ではないし悪いところはあったはず
嫁に浮気されたのは俺が原因かも知れないし、だいたい娘らには何も関係ない
本当だと分かってもkwskして俺も反省して終わり、と行かないのが俺の性格で、不倫を認めた事実は消えないし婚姻関係を継続するわけに行かない重大な事由な認識、筋の通らないことは無理
この性格は俺が完璧主義で、それまで働いて来た約20年で失敗したことがない、正確には取り返しのつかない失敗やこの関連会社詰んだなと思っても自力で何とかできてきたので夫婦間のことでもけじめを付けなければ納得できなかった
しかも金の切れ目が～ではないはずで預金は数千万あるはずだから、それでもなお他の男になびくのなら、俺よりもその男の方がいいんだろうと
絨毯の一点を見つめ続け、いつの間にか寝た
「浮気したのは俺、だから離婚されるのも俺、実家にも子どもらにもそう言い通せ、嫁が被害者だってことにしてくれないと俺の格好がつかないし、子育てできる嫁を悪者にするのは子どもらに迷惑だから、そういうことにする」
嫁号泣
子ども部屋まで聞こえていたはずだけど小4と小6だったので空気を読んだか
ごめんなさいと土下座して足首を両手でつかみ泣きじゃくり続ける嫁への対応がわからず立ちすくんだ
弁護士している従兄に本当の事情と建前を伝えつつ、形だけでも嫁側についてもらうことにして、住宅ローンは今までの預貯金から一括返済、財産分与（俺）なし、養育費は2人分16万を各人が成人するまで、もし俺が途中で死んでもその分以上の額が出るよう生命保険の受け取りを子どもとして公正証書にして渡して、その時の嫁の泣く顔は今でも忘れない
離婚成立して何もする気がなくなり仕事行けない、でも会社に迷惑はかけられない、そう思って社長にせめて休職、黒いのOKなら傷病でしばらく休みたいと伝えて傷病給付を頂くことになり社保の金を不正にパクって申し訳ないと思いつつ、これからどうしようと何となく考えていたら、3ヶ月して地元の人づてで声がかかった
ラーメン屋を経営してみないかと
飲食はホテル時代に別部署として関係した程度だし、ラーメン業界なんてレッドオーシャンに素人が出ても勝ち目ないだろうし、老舗ならまだしも増え続けるチェーン店に新規個店が対抗できるとは思えない
俺さんならできる、調理師はもう決めている、俺さんの経営センスに投資したい、ぜひ乗ってほしい、そこまで言われると断れず、当時一回り年下のオーナーに頭を下げて引き受けた
そう、当時なんだ
チェーン店で4年修行した若き店主が好青年で、個人店なのに女性客も増えた、女性客にも好まれるラーメン屋に男性客が来ないわけがなく、女性向けを重視しながら、こってり濃厚を維持した、やりすぎないバランスの店作りを考えるのはとても楽しかった
余談だけどカウンターの仕切りを最初に考えたのは俺、と思っていたけど一蘭さんの方が全然元祖でショックｗ まあ一蘭さんは味集中に対してこっちは女性が一人でも食える、麺すするの見られるのがいやだろうからって目的の違いはあるけど
オープン2周年まであと1ヶ月半の大雨の日、オーナーを乗せた店長の車が国道で正面衝突し2人とも他界
俺が楽しく働きすぎると不幸な人が増えるのか、と怖くなったのを覚えてる
通夜も葬儀も悲しむ暇さえなく、オーナーが持っていた他の飲食やサービス業の帳簿を見て奥さんと税理士の3人で話し合い、不動産や遺産の相続は弁護士従兄へ相談した結果、最適解は俺がオーナーの後を継いで事業継承し、ラーメン屋は一旦閉めるべきとなった
「やっぱそれしかないか」とガッカリした時、何で今俺ガッカリしたんだろうと思い返してみると、答えはすぐ出た「常連さんどうすんだよ」
しかもオーナーが絶対流行ると自信ある麺とスープの組合せと手作メンマとチャーシュー、こだわりのネギ、いずれ店買い取りたいと意気込んでいた店長の思い、これらが完全に消滅してしまうようでいやだった
店はその段階で一時閉店から1ヶ月少々、改装中ってことにしていたけれどさすがにこれ以上は長すぎる、俺は経営や運営ができてラーメンを運べても作ったことない
話を聞けば奥さんに先立たれて店を閉めて今は預貯金崩しながら年金で暮らしている当時67の小柄な親父さん
職人には職人のこだわりがあるはず、うちのスープではやってくれませんよねとダメ元で聞いてみると「わしの店はもう終わった、一時しのぎで良ければ助太刀する」という流れで急いで内装を張り替えて1週間で再開店
問題はスープ、店長とオーナーしか正確なレシピを知らなかったけれど、オーナーが店長を指導する時の写真が残っていたので親父さんに見せると4日で再現してくれた
味見は俺で、自慢だけど自分で料理できないのに嫁の料理の調味料を全部言い当てたり、瓶や缶ビールの鮮度がわかるほど利き舌には自信ある
すぐに常連客が気付いて来てくれて、女性客も戻り口コミが広がり以前と同じ行列ができるラーメン屋が復活した
俺もスタッフとしてホールやってたけど、親父さんが力仕事しんどいから厨房手伝ってくれというので中に入ることが多くなった
数週間して今度は寸胴（スープ取るでかい鍋）が重いというので俺も仕込みに入ることになり、営業中は麺を上げスープを割り、親父さんの助手みたいになってて行った
そして再開店から半年経たないある日、親父さんが嬉しそうな顔で「俺くんよ、もうあんた一人でやれる、楽しかったよ」と言って自分がかぶってた和帽子（寿司職人みたいな白いやつ）を背伸びして俺の頭に載せた
仕込手伝い始めた頃からいつかその日が来ると思っていたし、時々脚が痛そうで見ていてつらかったので、快くはっぴ（寿司職人ry）を脱いでもらった
「こんなにはもらえん」と焦らせるほどの退職金と引き換えに
あれ？これまずくね？と思っていたら別の有名店が逆側にできて二面楚歌
親父さん引退から半年経たずハードラックとダンスっちまった
1ヶ月は稼働率が激減したけれど、すぐに以前の7割くらいまで売上戻せた。でも行列ができなくなり、それから数年かけて常時5人体制だったスタッフが4人、3人、2人と減って行く途中でテーブル席を仕切って壁にしてカウンターだけにした
店広くするどころじゃなくて草
そして2年前の昼ラッシュが終わった15時すぎ
店内は俺だけで夜の部のスープを見ていたら客が入って来たので「いらっしゃーせー」と客を見ると嫁だった、けど偶然かなと思い気付かないふりをして「ご注文お決まりっしたらドーゾー」と水出したら首を横に振り薄っぺらい紙を出して置かれた
長女と次女がダブルスで結婚式をする、その招待が白い封筒らしい
嫁が店を出た後に入れ替わりでパートのマダム（Aさん）が買い物から戻って来て、寿の文字に食らいついた
中には出欠ではなく手書きの便箋で「二人一緒に式するから1回で済んで楽でしょｗご祝儀は半額ずつでいいからお得ｗ絶対来てねﾊｧﾄ」（原文ママ）
不倫で離婚された親父がそんな場所に行けるわけないだろうと、表向きの事情を知っているAさんには苦笑いするしかなかった
仕方ないので昔の嫁のケータイ番号へ電話してみると、えらい若い声の女性が出て、笑いながら俺と同じ名字を返した
すぐに長女とわかった
俺「長女ちゃんだよね？ママから聞いてるよね？俺、結婚式とか出れん」
長女「ええーｗもう私も次女も本当のこと知ってるの知らないの？ｗ」
俺「・・・ちょっと何言ってんのかわかんない」
長女「めっちゃ感動したｗお父さん超かっけえじゃんｗ」
あれ？本当に知ってるの？と、思考が止まり電話持って棒立ちだった
長女「離婚の原因はお母さんなんでしょ」
俺「いやいや違う、俺が浮気して追い出された、そっちこそ知らねーの？」
長女「ほんまかっけえｗ」
俺「いやいやいや俺の有責だから財産分与無しだｓ」
長女「式、絶・対・来・て・ね！お・と・う・さ・ん！」
電話切れた直後に大声で泣いた
そらもうドア閉めてても外に聞こえてるだろってほど大泣きした
Aさんが外の札を外出中にしてくれて10分くらい号泣した
そしてもちろんAさんが根掘り葉掘り聞いて来るので今何があったのかを話すと今度はAさんが大泣きして、俺もつられてまた泣いた
どんなラーメン屋だよ怖いわ
2人同時の場合はバージンロードで娘を両脇に連れて歩くらしく、体育の前ならえの先頭みたいにしていたら式場の人に爆笑されて、両手はおへその辺りでお願いしますと笑いながら突っ込まれた
10年会ってなかったから実感がわかず、二人とも背高くなったなーとか、そういや養育費も来月で終わりだなーとかあんま関係ないことばかり考えてた
披露宴が終わり若い人らは二次会へ行く、その前に控室で二人娘と3人で話した
俺がこの10年どんな生活をしていたのか聞かれたけれど、それ話すと丸2日くらいかかると言えば大笑いされ、娘らに結局どこ卒したのか聞けば長女は九大で次女は洋裁の専門学校、てことは卒業とほぼ同時に嫁入りかーと
長女「お前に娘はやれんっ！とか言いたかったもしかして？ｗ」
俺「なわけねえ、俺と嫁の遺伝子継いだ子どもが人選ミスるわけねえだろ」
二人娘から泣きながら抱きつかれ、20分ほど話して別れ際に長女から分厚い封筒を渡され、中を見ると200万入ってて、何の金だよと唖然とすると「お父さん養育費2年以上多めに払ってるからｗ」と言われて気付いた、長女今22だと
次女成人が俺のゴールだったからね仕方ないね
「じゃあ改めて、ご結婚おめでとう、祝儀もう一本ずつやるよ」と言ったら断られ「じゃあ10年分の小遣いな」と次女に押し付けて帰った
何となく閉店中の店に寄って厨房だけ電気つけてスープの灰汁を取りながら色々なことを思い出した
もう娘2人は手を離れた、俺は家族を守り抜いたし、その家族ももう無くなったと安心して、外の人通りがなくなるまでずっとスープを見ていた
終わり良ければこれで良しだと感慨深かった
でっかく営業時間出しているのに時々こういう人いる
鍵開けてドア開くと嫁が立っていた
カウンター席に座らせて俺は厨房から仕込しながら結婚式良かったとか長女の大学すげえなみたいな話をしていたら、もう一度やり直せないか、復縁しないかと言われて固まった
再婚しなかったのかと聞くと、私にそんな資格はないと答え、嫁さんとして器量いいのにもったいねえと冷やかすと、私は真剣にお願いしています、と
娘がいなくなった開放感からか何かもう面倒になって適当に横にいた「俺Aさんと再婚したんだよね」って言おうと思ったけど、冗談言える空気じゃないなと
Aさんのニヤニヤする気配を感じたので巻き込んでやろうと思っただけで
嫁がバッグから通帳を取り出して開いた、その残高は2千万円弱
何の金か聞くと（長女の200ではない正規の）養育費を全部預金していたらしく、俺に返します、と
金額よりも養育費なしでどうやって親子3人生活していたのか、学費とかどうやって出したのか、そちらの方に疑問がわいて聞くと、嫁は管理栄養士の資格を持っていたので今まで年収300～400万あったそうな
俺が放棄した預金が多分4～5千万、家は俺が買ったやつで田舎なので固定資産税は当時24万だから家賃2万、長女は国立大学、次女は高卒か良くて専門と読んでいたので学資保険も上手くやったらしい
2千万円は俺への慰謝料として好きに使ってください、でも贈与税かかるから再婚してください、二度とあんなことしません、いっしょにいたい、もう一度暮らしたい
俺も嫁も地頭がいいってやつで、その血を引く長女があのタイミングで200万を俺に返そうとしたのは、俺なら絶対受け取らずに自分たち二人で山分けになるだろうと読んでいたはず、要するにずるがしこい、とても
俺もそういう駆け引きよくやるので嫌悪感はなく、ただただ上手いなと感心してしまった
余談で、これ書きながらもう一つ分かった、結婚式の招待手紙も義理堅い俺が出欠の返信を放置するわけがなく、連絡手段は嫁に電話してみるしかなかったことも長女の戦術だと思う
俺の気持ちとしては嫌いで別れたわけではない、今までずっと嫁も子どもも愛しているからこそ途切れることなく養育費を払い財産分与も放棄して、当時はとにかく嫁と家族を世間体から守るために逆転不倫にしたわけだけど、復縁は何か違う気がした
閉店後の片付けしていたらまた嫁が来たから言った
俺「再婚は想像さえ無理だけど一緒にいたいのは俺も同じかも」
嫁また号泣
俺「うちで働く？時給900円、1Rの社宅あるからあの家は次女ちゃんに家賃3万で貸せば？婿も姑と同居はしたくないだろうし、もう本気で稼がなくてもいいんじゃね？」
笑顔で涙振りまきながらうんうん言って、病院は1ヶ月でやめて本当にうちで働き始めた
ここまでが2年くらい前の話
新入りあるあるだけど、昼のラッシュになると席番号間違える、誰が何頼んだのかも覚えきれない、あたふたな失敗の連続だったけどAさんはじめスタッフのフォローと愛想よかったのでミスっても客受けが良い
嫁のおかげでじじい常連が増えて、ちょっと俺がジェラってしまい厨房に回したら包丁さばきがすごくて、包丁研がせるとネギの味が全然かわってカルチャーショックだったりした
職場が近く時々来ていた次女から長女が長女を出産したと聞いて、3ヶ月の孫を連れて店に来てくれて、カウンターではゆっくりできないので7年ぶりくらいにテーブルとの壁を取っ払ってゆっくり食ってもらって話もできた
そのままテーブル席も使えるようにほっといたら、土日のファミリー層がうちに来てくれるようになって、完全に人手不足じゃんと思って求人出そうとした時に過去の間違いに気付いた
近くにチェーン店ができて行列の待ち客や女性客、ファミリーも取られた、仕方ないと思ってスタッフを減らしてテーブルを閉鎖し、とにかく常連のために持ちこたえようとAさんと俺は必死だった
当時の俺は人手を増やせば回せる、だから時給を高めに、条件を良くすれば良い人材がすぐに集まり盛り返せると思っていたけど、実際には時給目当てのバイトはもっと高いバイトを探すし、なぜか学歴自慢したがるただのクズがいて他の学生バイトが萎えて長続きしない
じゃあこうかな？と、最低賃金が850としたら今までの1,000円じゃなくて900円で求人を出して、常識あれば学歴も年齢も不問、シンママOKで朝一連絡くれたらシフトは何とかする、障碍あっても動けて接客できるなら、前科あるなら事情を聞いてから、みたいにハードルをめちゃくちゃ下げた
もちろんハローワークにはそんなこと書けるかと怒られたのでインディード
言い方が悪いけど、そういう人たちは安い賃金でも必死に働いてくれて、不可抗力な遅刻や欠勤へも負い目がすごくて、いやいやそこまで頭下げなくてもって言うほど俺を頼ってくれて、簡単に強い信頼関係ができた
俺・・・ラーメン屋店長（雇われ、年俸300～700万、業績による）
嫁・・・元嫁、勤続数ヶ月（時給900円）
元ホスト・・・俺を親方と呼ぶ悪いやつじゃない系バカ（時給900円）
Aさん・・・勤続5年のベテラン兼業、俺より3つ上（時給1200円）
シンママ・・・DV男とマグネットする系な元看護師（時給910円）
BCDE・・・専門高大学生（時給920～990円）
令和になっても最低賃金はマジで850円くらいの田舎です
飲み会した時に嫁が女性向けなメニューはどうかと聞いて来たので提案を聞くと、メニューを少し増やして全商品にカロリー表示したいと来て、チャーシューと煮玉子を味付けサラダチキンと濃厚錦糸卵にしたいと言われてOK
するとホストがチャーハンやりたいという、でもコンロはあるけど俺はあのクソデカ中華鍋振る力も持久力もないし麺で手一杯と言うと、ホストが鍋振るというのでやってみろｗとしてOK
Aさんからは、テーブル席のファミリー層を増やして売上もっと欲しい、（嫁が薬味やれるので）自分はテーブル中心にホール仕切りたいというのでOK
学生はへーって笑ってて、捨て駒と従業員の違いを思い知った
さっそく嫁がカロリー計算してトッピングのサラダチキンと錦糸卵の味付けを任せるが、スープや麺は絶対に変更できない前提で
同時に次女の旦那がDTP系のデザイナーだったので、メニューをファミリーや女性向けとして小綺麗にわかりやすく写真入れて小綺麗に作ってもらった
常連はメニューなんて見ない、壁に貼ってる品書きの札しか見ないか、俺が注文知ってるので無言で水持って着席してスマホいじる人が多い
常連は水をセルフしてくれるのが目印
俺なら一度に2人前が限度、3連続6人前が腕つる限界のところ、ホスト元々土方だからか腕力があって足腰強い、最大4人前を超強火で一気に仕上げるからランチ用半チャーハンは2分で8人分やる
すぐに客単価上がったのでチャーハン手当として時給上げた
常連が家族を連れて来るようになったり、女性客がSNSで紹介してくれたり、ランチと時間外のメニューを組み立るのに必死な時期もあった
俺も余裕ができて、7年前から近くにある競合チェーン店が邪魔だと感じて数回食ってみてだいたいの素地やら出汁がわかった
これはさすがに店名フェイクだけど、仮にその競合が山小屋さんと一蘭さんだとしたら、メニューに海小屋ラーメンと蘭々ラーメンと表記して同じ値段でスープほぼ完コピして出した
パクりスープは一食分を冷凍して冷蔵で戻しておけば再現できるようにしておき、トッピングは当店オリジナル
ラーメン屋来るファミリーはパパが家族を連れて来て、パパはオリジナルが好きでも家族は「山小屋が～」「天一の普通が～」とか言うらしい対策で、ファミリーはトッピングにまでこだわらないか、うちのが旨いから美味しいという
1年経たず競合の1つはパン屋になり、もう一つはまだあるけど客の入りはかなり悪くなっていて、勝ったと喜ぶ気持ちよりも、俺が敵になってすみませんと申し訳ない気持ちしかない
ランチタイムの半チャーハンセットはホストが鍋振りながらの「しゃーあせー！！」から始まり「ランッセッ、ツー！アリャーッス！！！」に続き「アリャッシターまたのおこしゃーっせー！？！」みたいな2ちゃんコピペのGS店員みたいになって行った
これが功を奏して、ホストが鍋振るようになったランチタイムは回転率が高まる、のはうるさいから早く食って出ないとみたいな心理状態になっていると思われ、でも常連は慣れたものでまあいいかとほっといた
そして2020年6月の今に至る
ただ、この店を既婚主婦のAさんがやるわけないだろうし、ホストは親方（俺）がいなければ気合が入らないらしい上に学生たちは（辞めたり休みの）回転が早いからこのバカにシフトは組めないだろうし、有能シンママは子ども発熱で突然休むからやっぱあてにならないしDV男と再婚でもされたらいなくなるだろうし
俺は常連さんが好きだしこの店がどうなるのか最後まで見守りたいけど、これ以上改善の余地がなく変化のない毎日に手応えがない
嫁は飲食業を複数維持している本社のSVが適任だと思う
でも嫁は俺と一緒にいたいのが目的だから断るだろうね
子どもが手を離れたら、人生もう金じゃない
今の俺は後継者育てないといけないと気付いたところ
経営が得意、接客やクレーム対応のプロフェッショナル、飲食経験10年のラーメン職人、地元の人脈は広くて厚い、資金潤沢で銀行にも顔が利く、何なら地元最強周辺の権力者にも貸しを返してもらえる
何か新しいことしなければこれからの人生もったいない
余談だけど、この経歴から真っ先にピコーンになるのはラーメンのチェーン店だろうけど、あれはラーメンの旨さの基準を一定満たせば良いだけで、仕込や物流の仕組が完成していて、それでもFC（加盟店）は利益率一桁％みたいな地獄だから嫌
フェイクなしのぶっちゃけで、もしどうしてもラーメンFCをやるならラーメンショップさんで、あの焦がしネギは芸術だし、麺とスープの安定感すごいし、FCなのにオリジナルメニューOKなのは、ほんますごいチェーンと尊敬する
嫁がうちで勤続2年ちょい
仕事きつくても笑顔で手伝う、嫌な客も笑ってあしらう、従業員のことを常に気にかけ、仕込失敗で徹夜してベンチ席で仮眠していたら毛布をかけてくれて近くで寝ていて、6時に目が覚め毛布かけ返したら「手伝う！」と言われ・・・
俺のことが本当に好きなんだなと気付いて、俺もそうなんだなと確信した
本音を長女に打ち明けたら、うぐうぐ言って全然話にならなかった
何言ったかは、改めてママ（嫁）と結婚式したい、俺ら家族4人だけで、あの離婚は無かったことにしたいから、って同じ内容を次女にも相談してみたら長女みたいにうぐうぐ言った後に堰切ったように泣かれて同じく話にならなかった
嫁には結婚式当日にサプライズしようと思ったけど、そんなことしたら俺ら家族全員泣いて葬式みたいになりそうだから前もって伝えるべきだろうね
どこで道を間違えたのか、この作文読み返してもわからなくて草生えん
でももう過去のことだから、誰も何も間違えていないとも今は思う
うちの店知っている人は生暖かく見守ってやってください
娘らに説明する用
20年ぶりの2（5？）ちゃんなのでsageや鳥ミスらないかドキドキして草
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