もう大分前の事で、地元でも忘れられてきたんで投下してみる
長いんで長文嫌いな人は無視してくれ。
登場人物
俺 ヘタレ、全ての争いに戦わずして負ける男、当時23歳
DQN達 今回の被害者、当時高校生
その他多数 愉快なモブたち
前提として、俺は本物偽物問わず血が極端に苦手で、見ると場合によっては失神する。
病院の採血検査で倒れて大騒ぎになったり、保険体育の教科書で気分が悪くなって運び出された事もある。
俺が地元で就職したばかりの頃、普段から利用するスーパーで事件は起こった、その日もいつも通り仕事帰りに買い物して店を出たんだが、そこでDQNに捕まった。
5人くらいに囲まれて、スーパーの陰側に連れて行かれ、「金を貸して欲しい、財布に札が沢山入ってるのを見た」と言われた、どうやらレジで俺の財布を覗いていたらしい。
当然拒否したけどDQN達は俺を取り囲んで返してくれず、手下げ鞄を抱えて死守しようとする俺に業を煮やしたのか、ついに一人がナイフを出して来た、ナイフと言ってもコルク抜きだのがゴチャっと付いてるおもちゃ見たいな奴だが。
ナイフの刃をチラつかせながら鞄を渡すように迫ってくるDQNが、慌てて逃げようとした俺を捕まえようとした時、ナイフの刃が俺の手の甲にちょっと接触した、DQNは「あっ」とか言ってたと思う。
小さな切り傷が出来て、そこからじわじわと滲んでくる血を見て俺は失神した。
ここからは後から色んな人に聞いた話。
遺体の第一発見者は、通りすがりのおばちゃんだった。
俺が突然ぶっ倒れた事で、DQN達はマズいと思って逃げようとしたらしい、駐輪場に置いてた自転車で逃走を謀ろうとするも、慌てた様子のDQNをおばちゃんが発見、様子がおかしいとDQN達が出て来たスーパーの陰側を覗き込むと俺の遺体が!!
驚いたおばちゃん、「人56しぃぃぃぃ!!」と叫びながらDQNを鞄でバシバシ。
ここまでがスーパーの店員さんから聞いた話。
おばちゃんの叫びは警備員のおっさんに届いた、尋常では無い叫び声を聞いたおっさんがDQN達を抑えるも、野次馬までは抑えられず。
周りの店からも何事かと人が飛び出して来て、おばちゃんが指差すスーパーの陰側を覗き込む、怖いもの見たさに集まった野次馬達が見た物は、ナイフを使った無差別サツジン事件の最初の被害者となった俺の遺体だった!!
当然現場はパニック、勇敢な男達と警備員のおっさんの手により、凶悪なサツジン犯は(圧倒的な数の暴力で)ボコボコにされて取り押さえられた、乱闘騒ぎで自転車数台が被害に遭ったらしい。
その後『スーパーでサツジン事件が発生』との24を受けて本気モードで駆けつけた警察に、ガチガチに手錠を掛けられたDQN達は「56すつもりなんて無かったんでずぅぅぅぅ!!」「なんでぇぇぇ!なんでぇぇぇ!!」等々虚しい叫びを残してパトカーに詰め込まれて行ったそうだ。
これがスーパーの向かいに店を構え、乱闘時には自転車の一台を破壊したオジサンから聞いた話。この騒ぎが解決した後、スーパーで買い物中の俺を捕まえて目を輝かせながら語ってくれた。
ちなみに、DQNのナイフは毒ナイフ扱いされ、厳重にお持ち帰りされたらしい。
警察が来たなら、当然救急車も駆けつけてくれる、外傷無し意識不明の俺を乗っけて向かった先は、俺が以前に採血検査を受けて失神した病院だった、本当に地元を離れて無くて良かったと思う。
当然病院には記録が残っており、それ以前に廊下でぶっ倒れて大騒ぎを起こした俺の事を覚えていた。
タンカの上で寝息を立てながらうなされていた俺は、状況を察した看護師の手によってあっさり叩き起こされた。
毒ナイフで切りつけられ、生死の淵を彷徨っていた男奇跡の復活である。
普通の状態ならこの程度の怪我で失神などしないだろうが、カツアゲされてる最中で血が滲み出る様子を間近で見てしまい、緊張が限界に達して失神したそうだ。
その後は早かった、俺に付いてくれていた警官に当時の状況を説明すると、パトカーで警察署まで連れてってくれた。
そこでも詳しい状況説明、ここで俺と対応してくれた警官のおっさんがDQNの高校のOBと判明、何も無かった事にする方針に決定。
対応も高校の先輩後輩のノリになった。
地元から通える高校三つくらいしか無いからな。
息子が人56しを犯したと聞いて、次々と駆け付けるDQNの親達とその場でご対面するも、真相を話すとあまりのショボさに来るそばから順々に唖然。
話し合いは警官のおっさんが仕切ってくれた。
壊れた自転車をDQN達で分担して弁償する事と、乱闘騒ぎのおっさん達に怪我の治療費などを求めない事を条件に何も無かった事に。
24に関しては勘違いって事になったようだ。
DQN達はその後学校で噂になり、校長室に呼び出されて校長直々のお説教。
ただの喧嘩って事になってたので、特にお咎め無しで終わったそうだが、内容が内容だけに卒業まで散々からかわれたらしい。
警官のおっさんには、勘違いでしたで片付く段階で良かったよ、目を覚ますのがもっと遅かったら明日の新聞の表紙だったよ。と言われた。
以上が、たった一日で解決したサツジン事件の全て。
どう考えても俺の武勇伝では無いので、俺の遺体を発見したおばちゃんの武勇伝って事で。
・スーパーの店員さんはいつも買い物する俺を覚えてたレジの人、後日寄った時に「大変だったねえー」と声を掛けられたので俺が倒れた後の話を聞いてみた。
・自転車被害は、乗って逃げようとしたDQNを逃すまいとスーパー向かいのオジサンが将棋倒しに蹴り倒したらしい。DQNは確保したけど、踏まれたり蹴飛ばされたりで数台壊れたようだ。
どう考えてもオジサン達が壊してるがDQN達のせいになった。
・病院に付いて来てた人と、警察署で対応してくれたおっさんは別の人
スーパーには結構な人数が駆け付けたようだけど、俺が関わったのはこの二人だった。
病院について来たパトカーにもう一人乗ってたけど特に会話も無かったな。
でも無事でよかったね
ありがとう、俺寝てただけだけど。
まだ何もしてなかったのに、勘違いでボコボコにされ、パトカーに詰め込まれ、家族にサツジン容疑でタイーホされたと連絡され、何故か自転車まで弁償する事になったDQN達も今はもう20代後半か、ちょっと会ってみたい気もする。
怪我人を助けようとするとは思うけど、好き好んで遺体に近づこうとは思わないよな。
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