草を抜いていると隣の爺が「その草が塀の下を通ってうちにも生えてるからうちの草もとれ」と言ってきた。そんなのうちに関係ない。

一昨年の夏に父親が土地付きの古い家を買った。 
その隣の家の爺が神経わからん人だった。 
全然手入れされてないのをそのまま買ったので敷地は草がボウボウだった。 
草を抜いていると、隣の家の爺が 
「その草が塀の下を通ってうちにも生えてるからうちの草もとれ」 
と言ってきた。 

見ると確かに隣の家も草ボウボウ。
そんなの父が買う前から生えてるんだろうし、そんなのうちに関係ない。
ていうか隣の家の草が塀を越えて父の家にも生えたかもしれないし、何よりそんな難癖はじめて聞いた。
絶対に爺が間違ってるとは思ったけど、せっかく買った家でご近所トラブル起こしたら父が暮らしにくくなるし……
と何を言うか迷ってたら裏の家のおばあさんが顔を出して爺をいさめてくれた。
後で聞いたら近所でも有名な変な一家らしい。
家を買ってから父はガーデニングに目覚めて、余計な草は全然生やさないきれいな庭を保ってるんだけど、隣はずっと草ボウボウで今でも時々
「お宅の草が……」と言ってくるらしい。
もうどう考えてもうちの草は関係ないのに。
父はしっかりした人なので
「うちにもう草はないし、お宅の草のせいで蚊が出て困る」
と言い返してるそう。