そのメッセージが今、俺の手にある。
俺の写真の裏に「先輩、大好きです! 後輩より」
ツーショット写真の裏に「いつかまた会えるといいな……日付」
俺も彼女に渡す写真の裏に何か書いたハズなんだけど覚えてない。
思い出せないということは、たぶん恥ずかしいことを書いたハズ。
できれば一生見たくない気がしないでもない。
彼女「たぶん無理です……遠いから……」
俺 「そっか……」
この時点で相当落ち込んだ俺。涙目に涙声だったと思います。
そしたら彼女がカバンからゴソゴソと何か出してきたんだ。
俺 「何?」
彼女「ちょっと早いけどバレンタインのチョコです……
だから……次に会うのは10年後のホワイトデーとかどうですか?」
俺 「う、うん、そうだね……」
彼女「はぃ……では10年後のホワイトデー、この時間にあの公園で……約束ですね」
というか…
彼女はそう言うとツーショット写真のメッセージに「20xx年3月14日xx時」と書き足した。
でも、その頃の俺には10年なんてとんでもなく遠い時間に思えたんだわ。
だから体よく拒否られた上に気を使ってフォローまでしてもらったと思いました。
そんなわけで写真もチョコも部室に放置したまま家に帰ったと……
ヘタレでした。
結局その日以降、中学には一度も行かなかったけど、高校受験は婆ちゃんや先生に説得されて
なんとか地元の底辺私立男子校へ潜り込んだ。
当時の俺は制服女子の姿を見るだけで彼女のことを思い出して涙ぐむようなトラウマ状態
だったから男子校は思ったよりも居心地がよかった。
というか免疫不全で重症化したんだろうね。
そんな俺も最終的には彼女を憎むことで状況を克服したと。
なんでそういう結論に達したのかわからないけど、きっとそれが一番楽だったんだと思う。
写真やネガは全て焼却、カメラやレンズは婆ちゃんに頼んで売却。
カメラは爺ちゃんの形見だったけど婆ちゃんは何も言わずに処分してくれた。
ごめんよ婆ちゃん。
記憶も封印したから二度と思い出すことのない思い出だったんだけど……
ところが3枚の写真がこうして俺の手元に戻ってきた。
部室に放置されていたものを顧問が見つけて俺の代わりにカプセルに入れてくれたから。
丁寧な手紙を添えて。そのおかげで大事な思い出が蘇ったということ。
忘れてしまっていたんだ。
だから当然約束の日に約束の場所になんか行ってない……完全に消えてたし。
今から思えば10年なんてあっという間だし拗ねたりせずにちゃんと覚えてればよかった
と後悔。というより、引越し先の住所くらい聞いておけばよかったんじゃね?
と激しく後悔。
まさに後悔先に立たず……
その辺りまで思い出したところで手紙が2通だったことに気づいた。
小さい方の封筒。女子が好んで使いそうなレターセットだ。
ひょっとしてこれは……
ちょっと早いけどバレンタインのチョコです。
ちゃんとバレンタインの日に渡したかったんですが、できなくてごめんなさい。
先輩と一緒に部活ができて楽しかったです。いろんなところに連れて行ってくれて
ありがとうございました。
私は先輩が大好きです。
新しい住所は_________です。連絡もらえると嬉しいです。
後輩より
じゅううううしょょょ!
10年以上前のです。
チョコと一緒に入ってたと思われる手紙でした。
当時の俺がこれを読んでいたら不登校にならずにすんだかもしれない。
手紙のやり取りをしてればそのうち携帯やメールで頻繁に連絡ができるように
なったのかもしれない。
俺は千載一遇のチャンスを放置したようでした……無念です。
トライはしました。
俺はすぐにその住所に手紙を出してみたんですが、宛先不明で戻ってきました。
そして去年。
たまたま出張でこっち方面に来ることになった。
期間が2週間もあったからホテルを取らずに婆ちゃん家から通うことにした。
その方が落ち着くし会社も経費が削減できる。それに婆ちゃんも喜ぶし。
ちょうどホワイトデーが出張中に重なるという偶然。これも運命か?
くだらん夜の長時間会議とかないから。
婆ちゃん家へ帰ろうと車で走ってた時にラジオから昔の曲が流れてきた。
ああいうのって当時を思い出す。特に運転中とか頭の中でイロイロ呟いたりしてるから。
時計を見るとちょうどいい時間だし何となく学校のあった場所、公園の方へ向かって
みようとか思った次第。土地勘はあるんで道に迷うことはない。
暦は春だけど実際は冬の最中に名所でもなんでもないこんな辺鄙なところへ来る奴なんて
犬の散歩にくる近所の奴くらいか。犬の散歩だとしても寒過ぎだろ?
とか考えながら車を降りて撮影ポイントへ向かう俺。いったい何を期待してるのやら。
街が見渡せるということは吹きさらしになってるということ。
こんなところに10分もいたら確実に風邪をひくと思う。
やっぱり誰もいないじゃん。
それだけ確認すると急いで車に戻る俺。
さっさと帰ろうと思ってエンジンを掛けたところで携帯が鳴る。会社からだ。
ものわかりの悪いやつだったから時間がかかってしまい気づいたら30分くらい話してた。
止まってる。
ん? さっきまで居なかったよな?
おや? タクシーに向かって小走りに走る人影?
思わずクラクションを鳴らしてみると人影が立ち止まってこちらを凝視してる……
コートを着たシルエットだから男女の区別がつかない。
俺は車のドアを開けて駐車場に出てみた。
暗がりでお互い相手を判別できないけど、ジーっと見つめ合ってる状態。
俺 「」
おいおい、まさかですか?
言葉というか声が出ないよ。
??? 「先輩? なんですよね? そうですよね?」
女性の声はもう叫び声になってる。
俺 「後 輩 さん?」
やっとのことで声が出た。震えてるよ。カッコ悪いけど。
次の瞬間、悲鳴とも絶叫ともいえない声で人影がこっちに向かって走ってくる。
思わずちょっと後ずさり。
俺の手前2メートルの位置で女性が止まる。暗くてよくわからん。
後輩さんかどうかは判別がつかなかった。俺が持ってる写真から10年以上経ってるし。
でも俺の名前を知ってるし、なにより今ここにいることがその証明だろうと。
ホワイトデー、奇跡の再会ですわ。
この時点で俺、有頂天。
まさか本当に会えるなんて思ってなかったですから。
しかも彼女が感動して泣いてるのとか見るとなんか嬉しくなっちゃいましたし。
ひょっとしたらこのまま二人は……とか一瞬でイロイロと考えてしまいましたよ。
現実は厳しいんですけどね……
彼女がここに来た本当の理由は……
今日は遅いんで、続きは明日でお願いします。
彼女がここに来た本当の理由は……
彼女が転校してから音信不通だった事が原因で、悪い結末しか想像できない…orz
みなさん保守いただきありがとうございます。
そろそろ書いていきたいと思います。
ありがとうございます
では後半です。
再会した二人は、タクシーに料金を払うとお茶でもということになって国道沿いの
ファミレスへ。そこでは長い時間、話をしました。
実は彼女もここへ来たのは今回が初めてだったらしい。
当時は遠いところに住んでたし引越し以降、俺から一度も連絡がなかったから
再会は諦めていたそうです。
そんな彼女が今年になってここに来たのは理由があったんです。
その人とは1年くらい前からつき合っていて、お互いそろそろかなと思っていたらしい。
でも彼女は10年以上前のこの約束がずっと胸に引っ掛かっていたとか。
だからそれを断ち切るためにここに来たという。
せっかく再会できたのに……俺、涙目。
目の前に座っている彼女は普通なら俺なんかとは接点がないくらい美しい女性。
そんな年頃の女性がフリーなわけがない。
対する俺は29年間彼女ナシの地味男。
ステルス化が進んでしまい最近は世間の女性から俺は見えなくなっているらしい。
だから昔話を打ち切って現実の世間話モードへ移行。
天気の話とか天気の話とか天気の話とか。つまり、どうでもいい内容。
昔はヒッキーでしたけど社会人になってからは一応世間話くらいはできるくらいまで
進歩してましたし。
俺はこれでお互いイイ思い出で終われると思ったわけです。
美しい女性と再会ができた上に二人でお茶をして少しだけ懐かしい話ができただけでもう十分。
はい…
完全に諦めた俺は、なんとか無傷で撤収しようと全力で後退中。
好感度とまでは無理でも最低限、思い出を壊さない状態でお別れすることを目標に頭を
フル回転。先に続くような話は一切しない。
話をすべて今日でオチがつく方向にもっていこうとしてました。
そんな逃げに入ってる俺を彼女が悲しそう表情でのぞき込むわけです。
俺 「そんなことはないけど……」
彼女「私……わからないんです」
俺 「なにが?」
彼女「私……あの時、先輩のことが大好きでした……
だから今どうしたらいいのか……」
ん? 完敗かと思ったけど、微妙に脈が残ってるような発言。巧妙なトラップか?
でもこうなったら無謀と言われようが全力でトラップに突っ込みます。
俺 「じゃ、とりあえずオレと、でぇ、デートでもしてみる?
そしたらなんか分かるかもよ」 噛んだし……
恥ずかしい。でも無事にデートの約束ができました。
というわけで、この時にお互いの連絡先を交換しました。
なんか嬉しかったですよねぇ~ 携帯に女性のアドレスが入るとかスゲー嬉しい。
これで遂に俺もリア充の仲間入りとか思いましたね。
ちょっと間男っぽくて微妙ではありますけど。
それ、ずっと考えてたんですけど、いつも泣きそうな顔をしてるんで
かなり贔屓目に見て志田未来かな?
「今日は○○へ行ってきました。先輩さんはどんな一日でしたか?」みたいな。
こんなメールがピロロンと入ってきたらテンションが上がって眠れなくなりますよ。
たった三行の返信を作るのに1時間近くも考え込んだりして。
これじゃ無愛想、これじゃ盛り上がり過ぎでドン引き、これじゃキモイとか悩みまくり。
高速利用で1時間程度だからなんとか射程圏内。
俺的には例え片道100kmあっても通う気満々なんですけど。
さて初デートはドライブ。
厨坊の頃に自転車であちこち行ったんで同じところを車で巡ってみようとなったんです。
結婚を申し込んだ輩に対する俺のアドバンテージはあの頃の思い出だけ。
だったらそれをフル活用してやろうという姑息な考え。
思い出話なんかしながらいい雰囲気でグルグル廻って最後に例の公園へ行ったわけです。
昔はそこから校舎が見えて町が見えたよね……
なんて話をしてたら自分がグッときちゃってさ。策士策に溺れる。
気づいたら涙ポロポロ。
俺の黒歴史なわけです。
それがその原因となった女の子に再会してデートまでしてもらってるとか思ったらなんか
感動したんですよ。ああ恥ずかしい。
リア充ならここでキスでもできるんでしょうけど俺には無理でした。
でも十分じゃないすか? 手を握ってくれたんですから。
そして寒くなったんで食事へと。
揉めたとだけ……
ネットで探した店で普通に食事をして普通に会話をして1回目のデートは
そんな感じで無事終了。
って、終了させてどうする? 次の約束もできずに……
帰り道は車を運転しながら一人で色々と考えるわけですよ。
その話は最初に会った時以来、一言も言ってくれないけど確かに『つき合ってる』と
言っていたし。しかも結婚を申し込まれているとも。
逆の立場ならそうなりますよね。
かもしれませんね。
今日のデートは彼になんと説明したのかなあ?
内緒にしてあるのか?? とか。
もし俺が逆の立場だったら絶対に行かせないけどなあ……
それとも二人で俺を生暖かく観察してるのか?
「あのキモオタ本気でヤバイよぉー」とか。
ホテルに入った瞬間に強面のお兄さんが出てくるとか。
そんなのだったら悲しいけど、ありえない話じゃないし……みたいな。
もう少しでキツい現実を直視することに……
後輩だってその気がなければ結婚申し込まれてるのにデートなんかしないし。
自分の気持ちに正直になって、相手の気持ちも考えれば、取るべき道は一つのはずだ。
いろいろと迷いますよね
ずっとそんな事を考えてたら、いつの間にか自宅に着いてました。
すると彼女からメール着信。
「今日はありがとうございました。とても楽しかったです。
また誘ってくださいね(はぁと)」
おいおい、一体どうなってるんだよ?
こうなったら行けるところまで進むしかないのか?
たとえ美人局トラップでも全力で掛かる覚悟を決めました。
この時の俺、非常に前のめりの前傾姿勢。転びそうなくらい。でも全力プッシュです。
ちょっとオシャレ系の居酒屋で軽く飲みながらの食事。
仕入れたネタで一生懸命に話を盛り上げようと涙ぐましい努力。
とりあえず食い物ネタが多かったですかね。
彼女が興味を示せば「今度、食べに行こうよ」と言えますから。姑息です。
盛り上げるための会話は頑張ったんですが、肝心のことが言えません。聞けません。
現在の彼氏とのことを聞きたくて仕方ないのに。
結局2軒目も行かずにあっさりと終わってしまいます。
ここで車でも高速1時間の距離が足かせに。
デートのお礼メールを送ってみたり、何気なくおやすみメールを送ってみたり
するんですけど反応ナシ。
そりゃ2回も続けてデートすれば彼氏にもバレるでしょうし、やっぱりダメかな
とか思うわけですわ。
辛いです。
所詮、間男。自分にそう言い聞かせてました。
そんな諦めモードの休日、俺は同期の披露宴に招待されてホテルへ。
正直、全然行きたくないんですがこれもつきあいなんで仕方なく参加。
何が悲しくて食べたくもない冷めた料理に3万も払わなきゃならんのでしょうね。
退屈なスピーチとつまらん余興が続く中、トイレに立ったついでにロビーで寛いでると
前方から見覚えのある顔……
なんと後輩さんが彼氏とその両親のような人と歩いてくるではないですか?!
ホテルスタッフが先導してることから、これは式場の下見というやつじゃないのか?
,231 田舎は狭いですからね
もうね、目が点。口はポカーン。
その場をやり過ごそうと思ったんですけど無意識にズバッと勢いよく立ち上がって
しまいました。
一瞬にしてロビー中の注目を浴びる俺。当然、彼女と彼氏もこちらを見ます。
これはマズイ。
激ヤバですよね
俺は急いでトイレ方面へダッシュします。
彼女たちの視線を感じますがそちらへ目を向けることなく一目散。
個室に入ってガクブルしながら声を上げないようにヒックヒックと泣きましたよ。
その後のことはよく憶えてません。抜け殻でしたから。
悶々とした日々を過ごしてたところにメール着信。
話がしたいと彼女から。
言い訳なんて聞きたくないし、結婚の報告なんて絶対に聞きたくない。
だから返信をせずに放置してたんです。
そしたら音声着信。これも無視しました。というか何を言われるのかと
考えると怖くて電話に出ることができませんでした。
LOVE LOVE LOVEが頭から離れんですたい
オレはユーミンの卒業写真が流れてます
ありがとうございます
翌朝、またメール着信。
「あの公園で待ってます」
それだけのメッセージ。
日付も時間もなにも書いてない。いったいいつのことだよ?
また来年のホワイトデーにでも会おうとか言うんじゃないだろうな?
もし今日のことだったら平日で仕事あるし。
あなたはわたしの青春そのもの
まさに…そのままやんかいさ
泣けてきますよね。
朝から普通に仕事をするわけですが気になって仕方がない。
ついつい何度も携帯を取り出して見るわけです。
そしてとうとう我慢し切れなくなって、上司に早退を申し出るとあの公園へ向かうことに。
って、車を飛ばしても2時間以上かかるんですけどね。
でも、気になったまま放置したら同じことを繰り返すだけだと思ったんです。
せっかく恩師が作ってくれたワンチャンスなんですから。
白黒つけてやろうじゃないの!
>>1
さんカッコイー!!
実際は半べそだったんですけど
到着したのは夕方、ちょうど中坊の俺が彼女を夢中で撮影していた時間帯。
ところがその日は土砂降りの雨。いくらなんでもこんな中で待ってないよなぁ~
と半信半疑ながら例の場所へ……
横殴りの雨の中、全身ずぶ濡れで。
「後輩さん! 何してるの!」
「ぅん……ぐすっ、ぐすっ……」
慌てて彼女を抱きかかえると、何も言わずに車へ押し込みます。
とりあえず服を替えて体を温めないと大変なことになると思って
気づいたら婆ちゃん家に向かってました。
着替えは俺の古いスウェット上下があったのでそれを渡すことに。
肌着は……とりあえずナシで我慢してくれ。
まさか婆ちゃんのモノを渡すわけにはいかないから。
婆ちゃんは俺の説明を聞く前にもう台所に立って暖かい豚汁を作り始めてるし。
俺はその背中に向かって事情を説明するけど、聞いてるのか聞いてないのか
黙って料理を続けている。
体が暖まって落ち着いたのか、ポツポツと話し始める彼女。
それによると……
婆ちゃんには頭が上がらんです。
ところがそんな状態が現彼にバレないハズがなく問い詰められて事情を話したとのこと。
現彼は怒るどころか彼女の返事を待つことなく強引に結婚の段取りを進めていき
その勢いに流されるうちに式場の下見や衣装合わせまでしてしまったらしい。
招待客の数合わせとか主賓を誰にお願いするかとか具体的な話になってきた。
そんな状況にとうとう堪らなくなって俺に連絡を取ったのが、あのメール。
そこまで話して俺の方を見つめる彼女……
決めるのは彼女本人だし。
長い沈黙……黙って座っているのが辛い……
このまま彼氏に押し切られちゃうなんて嫌だぞ
そうなんですよ。断るのが苦手らしく。
そこにお茶菓子を持った婆ちゃん登場。
耳が遠いから二人の会話は聞こえてないと思ってたんだけど、しっかりと話に
ついてきているようだ。地獄耳だな。
婆 「おやおや、難しい顔をしてどうしたんだい? ちょいとお茶にしようかね」
もうとっくに90歳近いのに元気だわ。
婆 「じゃあ、そろそろ寝ようかね。お嬢さんは婆といっしょでいいだろ?
それから、お前は自分の部屋で寝ろ。一晩寝てよーく考えな」
俺 「いや、婆ちゃん、考えるって何をだよ……」
戻っていきました。
また、婆ちゃんに助けられた気がします。
あのまま二人で黙っていても何も進まなかったと思いますから。
しばらくは居間でボーっとしてたけど、することがないんで自分の部屋に戻ることにした。
ベッドに横たわり天井を見つめていたら引き篭もってた頃のことが頭に浮かんできます。
後輩さんがいなくなって辛くて、悲しくて、やるせなくて……
彼女ともう一度会いたい、話をしたい、笑顔を見たい、そして色んな場所へ行ってみたい
そんなことばかりを毎日毎日考えてました。
そしてなんともいえない焦燥感が襲ってくるんだわ。
じっとしていると歯が浮いてくるような感覚。
この感じはまさに厨坊の俺が悩まされたあの感覚。
今、彼女が手の届くところどころか同じ屋根の下に居てくれるというのに。
いったい何が気に入らないと言うんだろう?
あれだけ会いたいと思ってた人に会えたのに……必死の願いが今、適ったのに
俺は何に拘ってるんだろう?
立ってました。
そして声を掛けようと思ったら中から話し声が聞こえてくるわけです。
両親のいないオレにとっては何よりも大事な婆ちゃんです
婆 「……そうかい、後輩さんはあの子のことを考えてくれてるんだね。
ありがとうね」
彼女「でも……私、先輩に酷いことしてしまったのかと……だからもう
嫌われてしまったんじゃないかと……」
婆 「大丈夫だよ。あの子は後輩さんのことが好きで堪らないんだよ。
だから悩んでるんだと思うよ。あんなんだけど優しい子だからね」
そうかもしれません
俺 「あのさ……ちょっといいかな」
婆 「おやおや、そこに居たのかい。入って来るかい?」
俺 「いや、それはマズイでしょ」
彼女「……」
今、きちんと話さないと、また後悔すると思ったから。
俺 「あのさ、うまく言葉にできないんだけど……俺、中学の頃に後輩さんが居なくなって
悲しかったんだよね。だから、後輩さんと再会できただけで凄く嬉しかったんだ。
でも、もうそれだけじゃ満足できなくなってしまってさ……」
それは彼女に渡した写真。そして裏に書いた文字……
あの日、俺は顔を真っ赤にしながら一文字一文字丁寧に書いたんだよ。
『次に会えたらボクの彼女になってください』ってね。
もう厨二病全開。恥ずかし過ぎ。
彼女「……はぃ……ちゃんと持ってます……」
俺 「その裏に書いた言葉も覚えてる?」
彼女「…………はぃ……」
彼女「はぃ……」
俺 「だったら……ボクの彼女になってください」
次の瞬間、襖が突然開いて彼女は泣きながら飛び出してくると俺に抱きついてきました。
彼女「先輩、先輩、私、ずっと不安で、先輩は私のことなんかもう忘れてるんじゃないかって。
私は、私は……先輩が大好きですっ!」
そして、その夜は彼女と一緒に寝ることになったんです。俺のベッドで。
俺は何とか理性を保とうと一生懸命耐えたんですよ。
でもねスウェットの上下だけで肌着を着けてない女性が隣にいるんですから。
冷静になれって言う方が無理。
俺 「うん……なんか眠れないよね」
彼女「私も、です。もっとそっちへ行ってもいいですか?」
そういうと俺の左腕を枕にして体を寄せてくる彼女。
彼女の胸が直に体に当ってるし……これはもう理性の限界か??
でも、気になることがあるんですよね。
でも問題がひとつ……
この時の俺は彼女がまだ婚約中だと思ってました。だから間男になるわけにはいかない
という思いだけが辛うじてブレーキになってる状態。でもそれも、もう限界に近い。
俺 「あのさ……後輩さんって一応まだ婚約中なんだよね?」
とりあえず彼女に冷静になってもらおうと現実の話をしたんです。
頑張れ
>>1
でも最後はわかってくれましたから……
そして『幸せになってくれ』って……」
これを聞いて一瞬複雑な気持ちになったんですが、それは一瞬だけ。
もうね、元彼と今朝別れたばかりだとか、婚約までしてたとか関係ないです。
一生会うことができないと思ってた女性が今自分の腕を枕にして寝てるわけですから。
もう何があってもこの機会を逃すわけにはいかんのです。
それは……本当に申し訳なかったです……
全力でもげましたです。
なんか俺、必死でした。ムキになってました。
元彼の痕跡を消したいというかなんというか、そんな感じです。
でも不登校とか経験してますよ
というわけで寄り道はあったんですが後輩さんは俺の彼女になった次第です。
それだけじゃないですよ、お互い引越しして一緒に住んでるんです。
だから彼女が寝た後、深夜にしかここに書けないんですよ。
もう少し落ち着いたら籍を入れようと思ってます。
彼女の方は別の男性と婚約までしてましたから、あまりに早く相手が変わるのはちょっとね。
悪い噂が立ちそうですから。
ずっと一緒に生活してると喧嘩することもあるけど、
その時は壁に掛けられたあのモノクロ写真を見て落ち着くことにしてます。
こうして二人で居られることが奇跡に近いんだと。
喧嘩できることすら奇跡なんだぞと。
***** 終わり *****
ありがとうございました。
そしてありがとう!
では、おやすみなさい。
公園で彼女と出会ったのってすごい確率だよね。
会社からの長電話に感謝しないと。
誰か俺を抱いてくれ!
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引用元: http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1364486904/
くっさきっもなっがうっざ
サブイボが…
熱が40度越えtるけど泣いた
気持ち悪い。
創作の中では割といい部類なのでは
なろうで書いたら人気でるよ頑張れニート
面白かった
どこがいい話やねん
文体から素朴な人柄が伝わってくるね。不器用だけど最後の最後で男見せたじゃん。
ずっと約束覚えていてくれて婚約まで解消して飛び込んできてくれたんだから、末ながく添い遂げてくださいな
泣けた
※3大丈夫かwお大事にな
おもしろかった
めぞん一刻みてぇだ
いいなぁ…
さすがにハッピーエンドは無理があるわ
10年も会っていない男をいまだに好きなわけないやん
羨ましいなら羨ましいと素直に告っちゃいなよ
空想だけではちょっとしんどい。
女ってのは運命的なのに弱いからな
是非映画化してほしい。
重なる偶然、冴え渡る記憶力そして日本昔ばなしにそのまま出てきそうな喋りの婆ちゃん
最初から転校する時に住所教えてればよかったじゃん
10年後~とかいかにも結果ありきの話で凶鮫
3年前の話かぁ、良い話でした
なんか中盤まですごく支持してたんだけど最後の後輩さんの「実は今朝彼を振ってて〜」あたりからなんかちょっと「ん?」ってなって冷めた。
これは彼氏の立場だったらブチ切れますわ
アホw
よく覚えてないだらけで、彼女との会話だけは細部まで明確
そんなわけあるか、この下手くそ
MVPは婆ちゃん。
名言頂きました。
喧嘩できることすら奇跡なんだ。
この言葉を心に刻んで僕も彼女を大切にしようと思えた。
ありがとう。
泣いた。
せつねー
比較的よく出来てるけどもうちょい細部を詰めた方がいいね。
あと設定年齢はもう少し若い方が現実味が出る。
おいおい、婚約者が理解してくれたって、見方を帰れば単なるねとられ。
こんな女嫌なんだが