715: 名無しさん@おーぷん 2014/09/23(火)08:31:26 ID:h1hl4cvCm
俺の祖父はT県、祖母はY県のK府で生まれ育った。
祖父は親族から将来を嘱望されて上京してきて鉄道技師として働いていたらしい。
いきつけの食堂で働いていた祖母を見初めて結婚に至ったと聞いている。
ただ今と違って昔は見合い結婚が主流で恋愛結婚って
特に田舎では遊び人のする事みたいに捉えられていたんだって。
それ故実家とは絶縁状態になってしまったんだそうだ。
まあ捨てられた許婚の親族としてはとんだ赤っ恥をかかされたという事なんだろう。
今では考えられない話だが。
でも結局、祖父と祖母は親族の反対を振り切って一緒になったわけ。
それから二児をもうけて幸せな夫婦生活を送れるはずだった。
しかし、残念ながらそうはならなかった。
第二次世界大戦が始まってしまったんだ。
整備要員として国内に留まっていたらしい。
でもいよいよ戦況が危うくなって、最終的には祖父も戦闘員として徴用される事になってしまった。
派遣先はオーストラリア付近ににあるソロモン諸島という所で、そこは二次大戦の中でも1、2を争う激戦地だったんだって。
祖父も生きては帰れないと思ったんだろうな。
船が出港する前に祖母に宛てた手紙が今も長男の実家に保管してあるんだが、俺もそれを読ませてもらった事がある。
まず、御国の為に見事命を捧げてみせるという内容からはじまって、たぶん生きて帰れないだろうから
息子二人をくれぐれもよろしく頼むという内容が書いてあった。
そして最後に女手一つで二人の子供を育てるのは厳しいだろうから、君が好いと思う人が見つかったらその人と一緒になって下さいと綴ってあった。
これからの人生の方が長いのだから、私の事に捉われる事のないように、
という内容だったと記憶している。
しかし物資輸送船がことごとく撃沈されてしまって、完全に孤立無援状態になってしまったんだそうだ。
おかげで周りはバタバタと餓死しはじめるし、弾薬も尽きかけてジリ貧状態に陥った。
当時その作戦に参加した兵隊の9割が戦死ではなく餓死か疫病死だったんだって。
正に地獄だな。
祖父の部隊も多分に漏れず、何もできないまま全員餓死する寸前になっていたんだそうだ。
部隊長が自決するか、米陣営に突っ込んで総員玉砕か、
どっちが良いか多数決で決めようという事になって、
どうせしぬんなら一人でもアメ公殺して死のうって事になったらしい。
夜半にジャングルの中からアメ公の陣営に飛び出していって
残った弾薬すべて使い果たそうという事になったんだって。
ワ~!っと威勢よく飛び出していったは良いが、向こうだって馬鹿じゃない。
最初から来るの分かってて、出てきたところを集中砲火喰らって文字通り総員玉砕してしまったんだそうだ。
祖父も砲弾に吹っ飛ばされてそのまま気を失ってしまったらしい。
明け方になって気づいたら誰も居なくなっていたんだって。
死んでいると思って放置されたか、大量の砂塵を被っていたから気づかれなかったかはわからないけど、そこに一人取り残されてしまったらしい。
ただ祖父はその砲撃で右の視力と聴力を失って頭部にも大きな裂傷を負ってしまった。
祖父は瀕死の重症を負いながら、食料を分けてもらっていた原住民のところに逃げ込んで難を逃れたそうだ。
もともと祖父はインド人みたいに堀が深い顔立ちだから原住民に成りすまして暫くそこで暮らしていてもばれなかったらしい。
そうこうしてる内に終戦して祖父も祖国に帰れるはずだったんだけど、小野田上等兵と同じで完全に洗脳されちゃってるから、米軍に捕まるぐらいなら自決せよが絶対命令だったから、なかなか投降できなかったんだな。
でも何となく戦闘がなくなったという事は気づいていて、一年ぐらいしてから原住民を装ってマレーシア行きの貨物船に乗せてもらったんだって。
ところがマレーシアは東南アジアの中でも華僑が多い国だろう?
ますます自分が日本人だと言い出せなくなってしまったらしい。
サモア系のふりして荷下ろしの仕事手伝っている内にすぐ2年3年の月日が経ってしまったんだそうだ。
また食堂で働き始めたはいいけど、そんなんで息子二人を育てていける訳もない。
実家に帰ることも検討したけど既に男兄弟が疎開したまま住んでいて、とても自分が帰って食べさせて貰えるような状況ではなかったそうだ。
その当時はみんな凄い貧しかったんだな。
丁度困っていたときに、その界隈の世話役みたいな人が来て、祖母を嫁に貰っても良いと言ってる人が居るんだけどどうだという話があったらしい。
子供二人も引き受けると、そんな良縁めったにないけどどうだ?と迫られたんだって。
写真で見る限り祖母は美人だったから子持ちでも貰い手があったんだろうな。
祖父の遺言で息子をくれぐれも頼むと言われていたし、ちゃんと学校にも行かせてやりたいし、祖母は結局その縁談を飲むことにしたんだ。
仮にその相手を義祖父という事にする。
義祖父は先天的に右足が不自由で、それで兵役を逃れる事ができた。
呉服屋の倅で幸い店も焼けずに残っていたから稼ぎもそこそこあったおかげで、俺の親父(次男)も長男も食うに困らず生活することができたんだそうだ。
そういう意味で祖母の選択は間違ってなかったと思う。
祖母が義祖父との間に一児をもうけたあと、祖父が大陸から密航という形で帰って来ちゃったんだ。
町の誰かが祖父を発見して世話役のところに飛び込んできたんだと。
大変だ!祖父男さん戻ってきちゃったよ!って、そりゃ町中みんな大騒ぎになっちゃったらしい。
幽霊じゃないのか?とか、だって死亡通知が来たのに何で!とか阿鼻叫喚。
親父は覚えてないそうだが、長男がそのときのことを覚えていて、幼いながらどうなるのか凄くドキドキしたと言っていた。
祖父は世話役の家に通されて、そこで俺が前述した戦場での事の成り行きを話したというわけ。
世話役も自分が祖母の再婚を勧めた手前、ばつが悪くてなかなかその話を切り出せなかったんだそうだ。
結局、祖父が事情を知ったのは祖母が乳児(三男)を抱いて現れたときだった。
祖母は泣くでもなく悲しむでもなく、ただ淡々と
「ご苦労様でした」と一言いって深々と頭を下げてたって。
祖父も動揺することなく
「恥ずかしながら死に切れずおめおめと帰って参りました!」
と言って祖母に敬礼したらしい。
長男はそのときの二人を凄く奇異に感じたって俺に話してくれた。
普通ならお袋(祖母)は泣いてしかるべきだし、親父(祖父)は怒ってしかるべきだろうって思ったって。
命懸けて戦ってきたのに、これかよ!って普通は思うよな?って言ってた。
でも祖父は瞬時にそれを受け入れたみたいだったって。
「大きくなったな」って親父(次男)と長男を抱き上げてくれたらしい。
でも祖父の右の顔がケロイドになってて怖かったって言ってた。
世話役は怒らない祖父の気骨をえらく気に入って、働き口がなければ俺に任せろと言ってくれたらしいけど、祖父はもう一度鉄道技師の働き口を探してみるからって断ったんだって。
長男は父親(祖父)と義祖父が意気投合して酒酌み交わしてるのをみて子供ながらに心底ホッとしたと言ってた。
でも結局祖父はその夜、書置きだけ残して二度と祖母の前に姿を現さなかった。
自分が居ると要らぬ気を使わせてしまうから自分は故郷に帰ることにする
しかし絶対に私の事を気に病んでくれるな、君の選択は正しい
義祖父さん、くれぐれも元妻と子供をよろしく頼みます
そう書き記されていたんだそうだ。
祖母はその後、義祖父との間に二人の子をもうけた。
つまり上の二人が祖父の子、下三人が義祖父の子で計五人兄弟になった。
それから暫くして同じように東京で嫁いでいた祖母のお姉さんが尋ねてきたんだって。
上野の高架下で祖父男さんとよく似た浮浪者がいたんで声かけたら逃げてしまったんだそうだ。
多分、顔に裂傷を負っていたから間違いないだろうという事だった。
祖母は姉に向かって、何で黙ってお金を渡してくれなかったのと責めたそうだ。
あの人にだってプライドがあるんだから親族にそんな姿見られたら逃げるに決まってるって。
でも言い終わった後、「しょうがない」って言ってそれっきりその話は口に出さなかったらしい。
片目片耳が不自由でしかも顔にケロイドじゃ働き口が無かったんだろうなって親父が言ってた。
ちょうと署員の知人で写真に映った場所の周辺に住んでる人が居たんでわざわざ探してくれたらしい。
祖母は長男と一緒に汽車に乗って大阪まで行って、遺体を確認したそうだ。
祖父の死因は窒息死。
真冬の寒さと衰弱していたのとで食べ物がうまく喉を通らず、そのまま窒息してしまったんだろうという事だった。
長男は翌日の汽車で帰って来たが祖母はそのまま留まり、遺体を焼いてもらって遺骨を親族に渡してから帰ってきたそうだ。
長男は、その時も涙を見せない祖母を見て何て冷酷な人だと思ったらしい。
一方、義祖父は酒飲みである事を除けば確かに自分たちを公平に扱ってくれたし、よく寄席や相撲に連れていってくれたりして血が繋がっていなくても分け隔てなく平等に可愛がってくれたと二人共言っている。
実を言うと俺自身も生前義祖父に寄席に連れていってもらったり将棋を指したりした記憶がある。
とても人懐こいひとで人望も厚く、町内会でも顔役としてよく自治会長を引き受けたりしていたらしい。
義祖父には姉が一人いる。
姉の旦那は戦死してしまった。
子供もいなかったので祖母同様再婚の話がありそうなものだが、何故だかそういう話はなかったそうだ。
親父の話によると姉は多分不妊症だったんじゃないかって。
だから貰い手がなかったんだろうって言ってる。
それで儀祖父の姉が自分の遺産を下の三人
つまり自分の弟と血の繋がっている三人に少しずつ渡しだしたのね
血の繋がってない長男と俺の親父(次男)には内緒で
それで祖母が激怒して、私が嫁に行くとき公平に扱ってくれるという約束だったはずと抗議したらしいんだけど、姉は私の遺産をどうしようが私の勝手だと突っぱねたんだと。
そっから上の二人と下の三人の間がギクシャクしだした。
金っていうのはつくづく魔物だと思うわ。
それで金銭的に余裕があるから自分達が祖母の面倒みるって長男と次男に何の相談もなく同居しちゃったもんだから関係は最悪になった。
おかげで長男と次男(俺の親父)は俺達は捨て子みたいなもんだって不貞腐れて、祖母にまで怒りをぶつける険悪なムードになってしまった。
そっからの空気は俺も鮮明に覚えてる。
わざわざ祖父の本家まで尋ねていって、
事情話してまだ辛うじて健在だった祖父の弟と養子縁組して義祖父の姓抜いたんだから。
俺まで名前変わっちゃって参ったわ。
本家も、だから言わないこっちゃないって元々祖母は変な女だと思ってたんだと哀れんでくれて、縁組までの経過は実にスムーズだったらしい。
ただ遺骨はこっちで引き取ってないよって言われたんだって。
でも祖母とも険悪になってしまったんで事情を聞けずに月日だけが過ぎていった。
長男は、一番手がかかる状態になって厄介払いされたんだろうと思ったそうだが、拒否するのも癪だから引き受けたんだそうだ。
祖母は長男の家に引き取られると、次男(親父)を呼んでくれと頼んだらしい。
ボケる前に言っておきたいと前置きしてまず、公平にするという祖父との約束を果たせなかった事は本当に申し訳なく思っているということ
下の三人に和解するよう何度も説得を試みたが叶わず自分の力不足を痛感してるということ
しかし下の三人も自分が産み落とした子だから分け隔てすることが出来なかったということ
だから足腰が丈夫な内は三男に世話になることにして、最後は二人(親父と長男)に看取ってもらいたいと思っていたこと
そして四谷のお寺に祖父の墓を立ててあるということ
自分が亡くなったら分骨して半分はそこに埋葬してほしいということ
隣に二人の土地も買ってあるから自分で墓石を立てなさいということ
しかし自分と祖父の墓には他の人の骨は入れないで欲しいということ
墓碑にも他の人の名前は絶対に刻まないで欲しいということ
墓石代と墓守代として一千万用意してあるから二人で分けて使いなさいという事を伝えられたそうだ。
実の母親から裏切られたと思っていた長男はそれ聞いて号泣したらしい。
結局その一千万は下の三人の知るところとなってしまい、没後弁護士たてられて綺麗に五分割されてしまったが。
親父も長男も不思議とその件について怒ってる様子はなかった。
先日、親父と墓参りに行ってきた。
親父は線香をあげながら
「お袋はしょうがないっていうのが口癖だったけど、ずっと自分にそう言い聞かせながら生きてきたのかもしれないなぁ」
と感慨深げに言っていた。
何かそれを聞いて不覚にも泣けてしまった。
理不尽だけどどうしようもないことは
「しょうがない」で諦めるしかなかったんだよ。
自分の力ではどうにもならない事を理解するのが理性だそうで。
その理性は教養の土台が無いと培われない事で。
お祖母さまなりに、その時そのときの筋を通そうとした姿勢は、今は遠い「大和撫子」の生き方だったのでしょうか。
・【黒歴史】私服警官に職務質問を受けた。→私「私を襲う気なんじゃないですか!?」警官「ほら、ちゃんと警察手帳も持ってます」→それでも私は怒鳴り散らして…
・【冷め話】私「実は、中学の時イジメられてたの」彼「でも、俺もその時期にいじめしてたから人の事言えないや~。」私「え…?」
・【ドン引き】父と私、彼で白地図テストをやってみた結果。→父は45問正解。私は44問正解。彼は…
・アメリカの教会でピアノを借りて「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」を披露してみた結果。
・【可哀想】皆でお昼にマックにへ行ったんだけど、小姑の子供だけが持参したお弁当を泣きながら食べていた。私「なんでお弁当食べてるの!?」
・【秘密】夫が家に女を連れ込んで、私のことは「家政婦のババアだ、気にするな」と女に言っていた。→ある日、女と夫を引きずりながらチンピラがやってきて…
・【スカッ】A「お前の嫁が着てる服300円くらいだろw」→俺ら夫婦が貧乏人であるとバカにしてくるが、世帯収入2000万越えている。それを知ったAは…
・【衝撃】女性社員A子「B男に襲われました」→B男はクビになった。→A子「あの件は嘘でした…」
・【復讐】母「余命が短いんだって…」私「やったー!いつ?今日?明日?」母「酷い…」→手拍子しながら私が肺炎になった10歳の時にかけられた言葉をそのままかけてやったら…
事故に遭ったモラハラ父が奇跡的に生還して、退院してからは大人しくなった。あんなに毎日大喧嘩していた両親は…
・【ほっこり】祖父が認知症を発症して施設に入った。→介護員「ちぃちゃんが居ないと眠れない、と泣くんです」→祖母はそんなあだ名ではない。昔の愛人!?
・【いい話】祖父が亡くなった数日後、俺は若返った祖父と会った。祖父「どれだけ苦しく悲しい思いをしても、諦めないで欲しい」そして…
・【いい話】母「あんたの小さい頃の写真どこだったかなぁ」俺「再婚前の写真は持ってきてないと思うけど…」母「…あ…」→母が記憶を捏造してたwww
・【素敵な復讐】彼女の実家に挨拶に行ったら優しそうなご両親だった。だが、自己紹介を始めた途端に豹変。「娘を騙して奴隷のようにこきつかうつもりだろう!」
・【秘密】小学3年の時に私を苛めてた同級生を川に突き飛ばした。その子は…
・【言えない】両性愛者の旦那がイケメン男性を連れてきた。旦那「俺の元カレなんだ。この人との間に子供を作って欲しい」私「!?」
・【凄い!】同僚の子供と目が合った途端急に泣きだしてビックリ!→後日…→同僚「うちの子が貴方を心配して夜になると泣いて困ってる」私「えっ?」
・【奇跡】余命半年と言われたのに、旦那と離婚して義理両親の介護を辞めたらガンが無くなった!!
引用元: http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/kankon/1407507980/
後半もう関係ないやん
長すぎ。
興味深い
実祖父と祖母かなしいなあ。
ソロモンって言ってけどこれガダルカナル島のことだよな?
ソロモンから外国で働きつつ帰国できる人が国内ではホームレスなのか(無粋)
※6
(無粋)ってつけたら許されると思ってる所が本当に無粋で下種だわ
自分が文句言われるのは嫌、でも他人に文句をつけたいから()ってつけておけばいいかな
って感じが心底さもしい、キョロ充すぎてキモい
戦争って、何一つも良い事が無いね。
戦後何十年も経ってるのに、ご健在の戦争経験者が今尚「戦争はしてはいけない!」と力強く発言し、涙を流されるのをテレビで見ていると、地球上で起こっている戦争などが一刻でも早く終わる事を願うばかりです。
お国のために戦地に入っても、補給も増員も満足にされずに最後は見捨てられる。これが戦争のリアルだよ。
悲しい。
戦争は誰も幸せにしない。
お祖父さんは素晴らしい人格の持ち主だと思うんだけど、せっかく戦場から必死で戻ってきたのにホームレスにならなきゃならなかったのか。何とかならなかったのか。悲しすぎる。
お婆さんも子供を守る選択をして、表には出さずにいたけどどんなにかたまらない気持ちだっただろう。戦争はいけない。
>実の母親から裏切られたと思っていた長男は
>公平にするという祖父との約束を果たせなかった
どのへんが裏切りなのかわからない
問題の不公平って儀祖父の姉の遺産でしょ? 儀祖父の遺産じゃなく
しかも子供がいる年齢にもなって「俺達は捨て子みたいなもんだ」って不貞腐れて怒るとか・・・
実父の事で怒るならともかく、原因は儀祖父の姉の遺産のくせに
しかも「儀祖父の遺産」は5人で公平に分けたくせに、「祖母の遺産」はバレなきゃ独占する気だったようだし
おかしいのは長男と次男だろ
本当なら新聞に載ってそうやけどな