アントンは声がデカイのでよく聞こえた。
とりあえず、私とベテランさんと友近似の設計さんはアントンチェックを開始した。
アントンは、誰に言うでもなく自分についてたんたんと語っていた。
どこの会社にいっても部下から慕われる。
いずれは親の会社の経営に携わらなければならないので苦痛。
どこで働いても、自分の能力を活かしきれない。
とりあえず私はお金持ち。お金に困ったことがない。
有名俳優や歌手にプロポーズされた事がある。
今は、3人からプロポーズされている。などなど。
たった10分くらいの話で私達3人を満足させてくれるアントンってほんとうに凄い人だと思った。
この味付けは何か一味足りない。
このワインはなんでこんなに不味いのか。
この料理なら私は3分で作れる。
素材が悪い。もっと新鮮な物じゃなきゃだめだ。などなど。
これは大将の耳には入っていなかったので良かったが、ちょっとハラハラした。
でもベテランさんは「やっぱりアイツおもろいwww」って大爆笑だった。
それから私達は大好きなスルメの天ぷらを食べながら
今後の楽しい日々を想像して盛り上がっていた。
胃下垂だから大丈夫なんだって言ってた。デブなのに。
歓迎会ももうすぐお開きだという頃に、不味いと言っていたワインを2本半飲み、ワインしか飲めないといってたくせにビールも数本飲み、料理を食い散らかしたアントンがやっと大人しくなった。
皆ちょっと疲れてた。
それから30分程してその日は解散した。
理由は
「二 日 酔 い」。
やっぱりアントンは関っちゃいけない人だと思った。
でも『出来る女』を演じるのが好きだった。
35歳だから、それなりに事務仕事は出来るだろうと考えていたけど、
両面&縮小&拡大コピーが出来ない。エクセル・ワードもぼちぼち。
電話応対&敬語が変。
一度にコピーを撮ればいいのに数回に分けてバタバタ走り回る。
電話を取れば耳と肩に受話器を挟んで、何故か自分のスケジュール帳
みたいなやつにメモ。
皆アントンには急ぎの仕事や重要な仕事は廻さないようにしてた。
電話をとっても早口で乱暴。PCのキーボードはガンガンドスドス。
引き出しを閉めるのはバーンバーン。
いつもアントンの周りでは色んな音がしていた。
や ら か し た。
不貞腐れながらもFAXを送り、また喫煙室へ消えていった。
最近では、アントンの行動にも皆慣れてきて普通の光景だった。
しばらく経つと、FAXを送ったA社から電話がかかってきた。
私もそう思います。
苦情の電話。
そこへアントン登場。
設計さんが「電話番号にFAXしてるらしいからやり直して」と書類を渡すと、
「間違ってません。」と一言。
苦情の電話がきた事を話しても「間違ってません」とまだ引かない。
とりあえずもう一回送るようにと言われ、舌打ちをしながらFAXを送りにいった。
さすがに今度は喫煙室へは行かなかった。
電話番号にFAX送信してたんです。
設計さんもちょっとイラッとしてたし、周りも凍りついて
ガンガンドスドスだけが響いていた。
ベテランさんは私と目が合うとアントニオ猪木の顔真似をしてきた。
アントンは電話も取らず、ガンガンドスドスを続けていた。
仕方なしに友近さんが電話をとると、どうやらA社かららしい。
ひたすら謝っている。
そして、電話を保留してアントンに
「また番号間違えた?早く取り消して」と言うと
アントンはいきなりA社からの電話に出て
「何なん?私は間違えてないし!は?じゃ、番号言ってみなさい!
・・・え?最後が6?・・・そんなん電話とFAX似たような番号にするから
悪いんやろ!・・・は?とりあえず送るからもう電話せんといて!
私が怒られるんやから!」ガチャン!
慌てて社長がA社に謝罪の電話をしてた。
バカ社長、目を覚ませと思った。
普通なら即クビだなwwww
帰っていった。
が、すぐ戻ってきて友近さんに
「あんたな、私より年下や。口の利き方も知らんのか!
ちょっと設計できるからって調子のんな!」
と暴言を吐いて帰っていった。
ちなみに友近さんは27歳。
普通ならこの時点でクビ決定。
ベテランさんが皆に「嫌な事忘れる薬入れといたで」と
コーヒーを入れてあげてた。
やっぱりベテランさんは凄いと思った。
うちは幸せな環境だと思いはじめた
昨日の事がなかったみたいに振舞ってた。
しかも、何があったのか凄くご機嫌さんだった。
友近さんにもお菓子とかあげてた。
普段から浮き沈みの激しい性格だったけど、ちょっと怖かった。
何でクビにならないのかもわからなくて、色んな意味で怖かった。
>>1
一人でやってんの?
営業部は、営業さん3人です。
私は営業事務。
この時はまだユリさんがいたので、営業事務は2人でやってました。
設計部からはアントンを外してくれと社長にお願いするようになった。
辞めさせるは無理だろうから、製造の工場で使ってはどうかという話もでた。
でも、ワンマン社長は、知り合いの人の娘さんという事もあり困っていた。
アントンはとりあえずデスクワークがしたいらしい。
「よし!営業部で頑張ってもらうから」
その時の皆の反応をみて、アントンが居なくても凍りつくんだなぁって思った。
営業の方が電話・FAX・コピーや雑用が多いので絶対に無理だ。
しかもユリさんもまだ居るしベテランさんも手伝ってくれてるから、
充分だと訴えた。
けどそこはワンマン社長。聞いてくれるわけもない。
ってことで、次の週からアントンは営業部で仕事をすることになった。
ユリさんが何故か「何か・・・ごめんね」って謝ってきた。
私はちょっとお腹が痛くなった。
友近さんは明日から週末まで、製造の工場の方へ会議で行くことに
なっていた。
だから、今日でアントンとの仕事は終わり。
あんなウキウキした友近さんは久しぶりに見た。
そんな友近さんにベテランさんが猪木の顔真似しながらガッツポーズしてた。
顔真似がちょっと上手くなってた。
社長が営業部への異動を伝えるため、アントンを会議室によんだ。
しばらくしてバーンと会議室からアントンが飛び出してきた。
そして
「私はまだまだやり残した事があるんです!設計部も私が欠けると困ります!」
って、叫びだした。
皆が「え?何が?」って感じだった。
社長は悩んでた。
そして
「じゃ、これからも設計部で頑張ってもらおうかな」
って言った。
皆が「え?何で?」って感じだった。
週明けの友近さんの唖然とした顔を今でも忘れられない。
普段は引き締まった顔なのに、その朝は稲中に出てきそうなユルイ顔になっていた。
そんなこんなでユリさんも辞め、月日は流れ、設計部の皆が諦めと絶望を感じ、
アントンの扱いにも慣れてきた頃、
営業部に新しい事務員さんが入ることになった。
この人も重要人物なので、名前を付けます。
とりあえず今回も綺麗な人だった。
雰囲気的に滝川クリステルみたいな人。
なので、クリステルにします。
クリステルも35歳。
アントン、ベテランさんと同い年。
クリステルは、性格温厚で覚えが早くしかも仕事が丁寧だった。
余談だけど、社長は「女は35歳から」って言ってた。
だから35歳がこんなに集まったのか、たまたまなのかは謎。
私1人お子様みたいでちょっと寂しかった。
よかった。
でも予想通り、アントンはクリステルを嫌ってた。
常に先輩面して、クリステルに雑用を押し付けてた。
クリステルはアントンに理不尽な事言われても常に温厚だった。
私もこんな人になりたいと思った。
常に『出来る女』を演じてたアントンは、自分の方が仕事が出来て
上の立場だと思っていた。
アントンのポジティブさも見習おうと思った。
設計の修正箇所を電話で聞いていたアントンの連絡ミスで、
大慌てで修正することになったらしい。
今更アントンを責めても逆切れされるのは分かっているので、
皆何も言わなかった。
なので、クリステルの歓迎会は営業部だけでやる事になった。
もちろんお店はいつもの居酒屋さん。
とても楽しい時間を過ごしていた。
何か昔に戻ったみたいで嬉しかった。
が、なぜかアントンが登場した。
始まらないと言い出したらしい。
クリステルの歓迎会なのに・・・。
皆がバタバタしてるのに、「部下の歓迎会には出る!」と言い張ってたらしい。
部下ってなに?部署違うし。
『出来る女』の妄想が設計部の部長くらいまで出世したようだ。
でも、皆アントンが居ないほうが仕事が捗るので行かせたらしい。
こっちはいい迷惑だった。
素材を磨くより
不良品を取り除くことがまず必要なのだとこれを読んで思ってます
帰ればいいのにと思った。
クリステルは大人の対応で、「お忙しい所ありがとうございます」って
言ってた。
ベテランさんは、ニヤニヤしながらスルメの天ぷら食べてた。
アントンはまた不味いと言いながらもまたワインをがぶ飲みしてた。
ほんとに、とんでもない女の話だな
今日はクリステルの歓迎会なので、皆がクリステルを主役にするのは
当たり前なのに、アントンはそれが気に入らなかったらしい。
いきなりクリステルにあれこれ質問しだした。
前はどんな仕事をしてたのか。
実家は何をしてるのか。
出身はどこか。
結婚はしてるのか。などなど。
理由はクリステルが片親で育てられて、高校卒業後すぐ働き出した。
結婚はしているが、旦那さんは出張が多いということ。
その後のアントンは、今まで以上に本当に最低だった。
片親で育ったって事は貧乏だったんだろうとか、高卒でちゃんとした
知識はあるのかとか。
旦那は絶対ほかに女がいるとか、子供出来ないなら結婚してる意味ないから
離婚しろとか。
私は始めて人を殴りたいと思った。
こいつ本当に極悪人だと思った。
周りもいい加減にしろと止めていた。
そんな時でもクリステルは大人の対応をしていた。
私は何だか泣きそうになってきた。
ベテランさんはビールをピッチャーで注文してた。
自分の金持ち自慢や大学時代の事を話していた。
クリステルがトイレに立ったすきに、アントンが上座を占領してた。
アントンはずっとしゃべってた。うるさかった。
昔から、ブランド物のバッグしか持ったことがない。
クリステルが使っているようなバッグはスーパーの袋と一緒。
一回使ったら捨てるのが私の基本。
パリスヒルトンでもそんな事しない。ほんとバカだと思った。
ピッチャーのビールをアントンにあびせる。そういうのを希望
同時にちょっとづつ席を移動してた。
ベテランさんはピッチャーを受け取りながら私に、「飲み物来たぞー」と
助け舟を出してくれた。
アントンから離れピッチャーを受け取ろうとした瞬間ベテランさんが
アントンの方へビールをぶちまけた。
さっそくきたなw
は神
ベ「ごぉめぇーん。私酔ってるみたいやわぁ」
ビショビショになり喚くアントン。
急に酔っ払いになったベテランさん。
トイレから帰ってきて呆然とその光景を見詰めるクリステル。
私とほかの人はキョロキョロしてた。
拭いていた。
その後、お店にモップ借りて床とアントンの靴を拭いてた。
私たちも大将に布巾をかり、テーブルとか拭いた。
さすがのアントンもビショビショのままで居るわけにいかず、プリプリしながら
帰っていった。
「ビショビショにしてごめんなさい。飲み物粗末にしてごめんなさい。」と
ひたすら謝っていた。
大将が笑顔で「気にせんでええよ」と言ってた。
ベテランさんはクリステルや私たちにも謝ってきた。
私は結構飲んでたせいか、何故か号泣してた。
アントン以外の人が良い人すぎて涙が止まらなかった。
大将にアイスを貰って、皆がタクシーに乗せてくれてお家に帰った。
モップでアントン
こっちでいってほしかった
昨日の事を言ってた。
ベテランさんは素直に謝ってた。
謝ってるベテランさん見て、ちょっと心苦しくなった。
この日のアントンはいつも以上に不機嫌だったけど、営業さんが
買ってきたケーキを食べたら機嫌良くなった。
人数分のケーキなのに、外出してた営業さんの分まで食べてた。
それから数日間アントンはちょくちょく問題を起こしたけど、皆普通に過ごしてた。
皆大人だと思った。
でも俺ならモップでアントンだわ・・・
結婚してほしいは!
経理や人事・総務などオールマイティな人だった。
ベテランさんと凄く気が合うらしく、2人は仲が良かった。
よく私と友近さんも誘ってくれて、4人で飲みに行ってた。
ベテランさんとクリステルは「ほんと私たち不良主婦だねぇ」って言ってた。
何回に一度は社交辞令でアントンも誘ったけど、「彼氏と会うから」と言って来なかった。
しかも皆に聞こえるくらい大きい声で言ってた。
ブスでデブで性格悪いうえに難聴かと思った。
如いて言うなら、親が金持ちって事だけ。
この金持ちっていうのも嘘かと思ってたけど、社長曰くこれは本当らしい。
そんなアントンにある朝一番「飲みに行こう」と誘われた。
しかも二人きり。
助けを求めようと周りを見るとベテランさんが口パクで「行って来い」って言った。
クリステルは何故か指でOKサインしてた。
友近さんはニヤニヤしながらPCの画面に向かってた。
基本、女性陣はお弁当持ちだったので休憩室で食べてたんだけど、
金持ちアントンだけはいつも外食してた。
4人になった時、あのOKサインと「行って来い」の意味を聞いた。
すると、友近さんがとんでもない事を言い出した。
「アントンは営業に好きな人おんねんで」
全く意味が分からなかった。
>>1
がワインデキャンタをアントンにぶちまけ希望
3人からプロポーズをされてるはず。
100歩譲ってそれが嘘だとしても、今までの醜態を見せてて
好きになるも何もないもんだ。バカかと思った。
しかも、なぜ私がアントンと2人で飲みに行かないといけないのか。
全く意味が分からなかった。
どうなんですかね?
でも、結構頼みますよ。
あれ大好きです。
スルメの件はいいよ、この際w
これといって芸能人に似てる人がいないので、「営業男」ってよびます。
営業男は32歳、独身。まぁシュッとした感じの人。
どうしてそれが分かったのか聞くと、皆が「見ればわかる」と言ってた。
大人だなぁって思った。
ベテランさんとクリステルは、アントンもきっと一人で寂しいはず。
自分達にはあまり話しかけてこないけど、晴美(私です)は気に入られるようだから、
ちょっとでも歩み寄ってやろうじゃないかと、他人任せだけど大人な考えを言ってきた。
>>1
の事を好きなのかと思った
もしそうだったら、今頃生きてません。
という結論を出していたけど、どう考えても生贄になる営業男が可哀想だった。
どうしても営業男を生贄にするのかと聞くと、
「片思いでもいい。好きな人が側で仕事をしてるだけで落ち着くかもしれない」という。
とりあえずアントンの相談を受けて、適当に立ち回れ。もちろん力は貸すからと。
友近さん1人張り切っていた。
人の恋愛感情を弄ぶのは禁止とも言われた。
でも私は友近さん命令で生贄となった。
アントンは本当に金だけはあるらしく、結構高そうな店に連れて行ってくれた。
まずはビールとワインで乾杯。
料理を注文しようとメニューを見てみると、本当にお高い。
ふとアントンを見ると、キモイくらい目を細めて煙草に火を付けてた。
結局、スルメの天ぷらはなかったから適当に頼んだ。
「晴美、あんたにちょっと相談があるねん」
キタ!と思ってアントンを見ると、遠い目をしていた。
クリステルがやると、絶対見惚れるくらいキレイな表情だと思った。
でも相手はアントン。バカにしか見えない。
しかも口から煙草の煙が出て微妙に鼻の穴に吸い込まれてた。
心の中で「ザキ」って呟いた。
営業男が好きだ。
今までの男は飽きたので振った。
お前は営業男と仲が良いんだから、なんとかしろ。
って事だった。
たったこれだけの内容を2時間に渡って話された。
でも、私と営業男の話の中で一番盛り上がるネタは
アントンのガンガンドスドスだったり、アントンのクリステルいじめだったりする。
営業男も本当に可哀想だなぁって思った。何の特徴もないけど良い人なのに。
早く帰りたかった私は「じゃ、協力しますよ」と言って話を終わらそうとしたけど、
アントンは営業男の良い所を延々と話続けた。
「どうでしたか?帰ったら電話下さい」
どうでもいい情報だけど、友近さんはメールになると、標準語&敬語になる。
しょうがないので、電話して報告した。
友近さんは「あんたの今後にかかってるんやで。頑張ってや」って他人事だった。
とにかく大好きな皆のために頑張ろうと思った。
バーン!という音と共にドアが開いてご機嫌アントンが出社してきた。
私「昨日はありがとうございました。ご馳走様でした。」
ア「ええよええよ。」
(営業男出社)
ア「晴美は妹みたいに可愛いから、また飲みに行こうなぁ」
もちろん最後のは営業男に聞こえるくらいのデカイ声。
『出来る女』スキルに『年下に慕われる女』が加えられた。
今日中に好きな人はいるか、どんなタイプが好きか聞いてくれという。
「好きな人はいるか」はまぁいいとして、
「どんなタイプが好きか」を聞いてどうするのかと思った。
今更どうあがいても、アントンはアントン。変われない。
でも昨日奢ってもらったので素直に「了解です」って返事した。
角刈りで太った女の人が好み
って言ってあげたらよかったのに
って笑ってた。
知らぬが仏って言葉の意味がこれほど理解出来た瞬間はない。
営業男も外出し、アントンには帰りまでに聞いときますと報告した。
友近さんが、「よく食べる人がタイプって事にしろ」って言った。
アントンの良い所を金持ち以外で探したらそれだったらしい。
するとベテランさんとクリステルが「でも、アントン騙してちょっと可哀想」とか言い出した。
ベテランさんはまだしも、クリステルはアントンにすごく意地悪されてた
のにどこまでも優しい人だ。
アントンから晴美に勝手に相談してきただけだし、どちらにせよアントンは振られる。
その期間を延ばしてるだけという事だった。
私も賛成した。
私が頑張ればアントンも幸せ、皆幸せ、万歳だという事。
とりあえず、続けようということになった。
私は見積もりを作るよう頼まれた。ちょっと溶けたミルキーを貰った。
ミルキーを食べようとすると、アントンに呼ばれた。
アントン第一声「ミルキーちょうだい」。
もちろん渡した。
これ以上アントンに呼ばれたくなかったので、AKO会議で決まった事を報告した。
「営業男は良く食べる人がタイプらしいです」
アントンがニンマリした。キモかった。
もちろんどっかで買ってきたお弁当やパン。
ベテランさんが「ほんとよく食べるなぁ」というと
「うん。私食べるの好きやねん」ってキモイ笑顔にデカイ声で答えてた。
クリステルをあれだけいじめといて、よく相談出来るなと思った。
しかも、アントンは私にとんでもないミッションを言ってきた。
その日のアントンの食べた量を営業男にそれとなく報告しろという。
ましてや、本当は何の関わりもない営業男に聞かせるのは酷すぎる。
しょうがないので、適当に「了解しました」と返事した。
すると、何故か営業男から突然
「最近、アントンと一緒に食ってんの?アイツ何食べてんの?」
と聞いてきた。
アントンの昼食摂取量を報告した。
もちろん本当に大食いだったので、営業男も驚いてた。
「マジで?アイツ何になるつもりやねんwww食いすぎやろwww」
こんな反応アントンに報告出来ないので、唯一のAKOメンバー友近さんの指示を仰ぐことにした。
これまでの経緯を話すと、「ちょっと嬉しそうな顔してたって言ってたら?」と
危険な事をいう。
それでアントンが本気になったらどうするのかと聞くと、
「アントンはあぁ見えても、ほんまに好きな相手には奥手やから大丈夫や」との事。
心配しながらも、アントンに報告した。
「ム」の時にいつも以上に顎が出てた。
でも、本当に営業男を好きになった頃から、アントンは暴れなくなった。
恋の力って凄いって思った。
ベテランさんとクリステルには、いい加減にしろと言われていたけど
AKOは解散しなかった。
最初は嫌だったが、アントンミッションを友近さんが答えを出してくれ、
私はそれを実行するだけだので、結構楽だった。
が、事件は起きた。
久々にワンマン社長が「皆で飲みに行こう」と言ってきた。
私は暇だったのでOKした。
ほかの人も営業男もOKした。
もちろんアントンもOKした。
いきなりの集合でも、集まりの良いメンバー。和気アイアイと飲んでた。
そしたら何故か結婚の話になった。
独身組は結婚願望があるのかとか。
私はハッキリ「あります!」と答えた。彼氏居なかったけど。
営業男は「したいですよぉ。でも良いと思う人は皆結婚してたり、
彼氏居たりするからなぁ」って言ってた。
聞かれてもないのにアントンが「私は今フリーだし」って言ってた。
無視されてた。
するとワンマン社長が営業男に「どんなんがタイプやねん。」って聞いた。
>営業男は「したいですよぉ。でも良いと思う人は皆結婚してたり、
>彼氏居たりするからなぁ」って言ってた。
>聞かれてもないのにアントンが「私は今フリーだし」って言ってた。
>無視されてた。
【無視されてた。】
糞ワロタwww
営業男「クリステルさんみたいな人がいいです。何で結婚してるんすかぁ」
怖くてアントン見れなかった。
そしたら、トイレのドアをトントンされた。
絶対アントンだと思って開けたら、猪木の顔真似したベテランさんだった。
アントンは帰ったらしい。
帰る前にクリステルを思いっきり睨んで帰ったらしい。
クリステル・・・ごめんなさい・・・。
クリステルを守ることにした。
ここで営業男がある告白をしてきた。
聞くところによると、
アントンが営業男を好きなことは営業男も知ってた。
でも、気づかない振りをしてた。
自分のせいで、こんな事になって申し訳ないので何か出来ることが
あれば言ってくれという事だった。
無茶苦茶すぎる。
営業男はもちろん「無理です。嫌です。」って断ってた。
そりゃそうだ。
とりあえず、問題が起こらないことを祈りつつ、その日は帰った。
アントンのいじめ方は、内側からズンズンくる。
人の心をボロボロにして喜ぶタイプのいじめ方だった。
何かある毎に、「高卒のくせに」とか「貧乏人は金稼ぐの必死やな」とか。
仕事と全く関係ない事でズンズンくる。
こないだまで恋の相談してたくせに、記憶障害なのかと思った。
酷すぎ…
あいかわらずヘンテコな『出来る女』で
「部下に注意して何が悪い!」とキレる。
クリステルも人間なので、100回に1回は計算ミスしたりする。
そういう時のアントンは「高卒、足し算教えたろか?」とか口出ししてくる。
そんな執拗なイジメが続いて、クリステルも皆も限界だった。
普段ベテランさんが金庫の管理やお金を合わせてたけど、帰りが遅くなるので
社長もベテランさんも、その日はクリステルに任せてた。
社長はともかく、ベテランさんには居てほしかった。
何か不安でしょうがなかった。
私が入れそうなくらいの大きさ。
銀行印とかも、その金庫に入れてたんだけど、金庫を開けると銀行印が無い。
焦って探すクリステル。
皆も一緒に探した。
アントンだけは知らん顔してる。
金庫を隅々まで探しても見つからなかった。
証拠はないけど、私も友近さんも犯人はアントンだと思った。
ちょっと泣きそうになってるクリステルを見て、友近さんが強行突破に出た。
アントンの机にいき、横の引き出しを開けようとした。
もちろん抵抗するアントン。
必死の2人を見て、どうしていいか皆分からなかった。
もう会社の事務所じゃなかった。修羅場だった。
その時、社長とベテランさんが帰ってきた。
ベテランさんは何となく分かったみたいだった。
アントンと友近さんと所へ行って、理由を聞いてた。
そしてまず私に「あんたの机の中、探していいか?」って聞いてきた。
もちろんOKした。
ベテランさんは一人一人に承諾を得ながら、社長の机まで探して廻った。
最後にアントンの所にいって、「探していいな?」って言った。
ベテランさんの顔には、何の表情もなかった。
一つ一つ引き出しを開けていくベテランさん。
途中で動きが止まった。手には銀行印があった。
無表情のまま金庫へ直した。
そしてアントンに「どういう事?」って聞いた。
あんな怖いベテランさんを始めて見た。
テラコワス
「私じゃないし。クリステルが入れたんやろ?」ってクリステルを睨んでた。
コイツ本当に凄いと思った。
事務所の空気は重くて真っ黒で、耐えられなかった。
アントンが来るまでは、とっても楽しくていい会社だったのに。
悲しくて悔しくてちょっと泣いた。
社長はずっと黙ってた。
ベテランさんが
「社長、ここまできたら今後何が起きてもおかしくない。
誰が必要で誰が不必要な人材なのは分かってるはずですよね?」
って言っても社長はずっと黙ってた。
社長www
やっと社長が口を開いたけど、ビックリする内容だった。
「ベテランが言うことも分かる。でもアントンさんは俺が世話になった人に
頼まれたから辞めさせるわけにはいかん」
その言葉を聞いたとたん、アントンは普通に「おつかれさん」って帰っていった。
みんな辞めちゃえ
クリステルも辞めていった。
その後もどんどん辞めていって、新しい人が大半になりアントンが
ますます調子に乗った頃、
私と友近さんも辞めた。
クリステルは専業主婦になった。
友近さんも別の会社に就職した。
私は派遣登録をし、ボチボチ働いた
今でもクリステルとベテランさんとは年賀状のやりとりはしている。
友近さんとは、お互い忙しくなってだんだん連絡を取らなくなった。
ベテランさんとクリステルと同じ35歳鬼婚小梨生活してるけど、
あの2人みたいに、素晴らしい人にはなれなかった。
仕事もそれなりに頑張って、常に笑顔でいるように心がけてるけど、
やっぱりあの2人には適わないと思う。
会社は?潰れた?
ベテランさん情報です。
アントンはどうしてるのかわからないけど、3人からプロポーズされ続けてるんだろう。
おしまいです。
グダグダ文章読んでくださりありがとうございました。
オチなくてごめんなさい。
でも、こんなとんでもない女が居たって事を聞いて欲しかったんです。
も周りの人もよく頑張ったな
ベテランさんは、何か知ってるみたいだけど教えてくれないんですよ。
会社の存亡に関わる
やっぱり管理職って仕事ができるとかの問題じゃないんだよな
ある意味人に対して冷酷さがないとできない
かといって情がないと下がついてこないし、本当に難しいよ
>>1
は素敵な女性になってると思うよ
そうだといいです。
ありがとうございます。
でもダメ見本と良い見本で、あの頃の事は色々学ぶことがありました。
愛人の子一択
ともあれ、お疲れ様でした。
おもしろっかった。
ぜひその後に関してサグリを入れて欲しいw
では、昼食作りにかかりますので消えます。
潰れてもしょうがないと思う!
1が営業男と結婚してたらいいのに
清々しいくらいとんでもない女だな
仕事ができるってやっぱ学歴とか関係ないんだなと思うわ
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・私「要介護の父を引き取りたい」夫「ダメ。窮屈な生活をしたくない」→義父が半身麻痺に。夫「親と同居したい」私「!?」
・【うざい】彼女「半年記念日を忘れるなんて酷い!もう別の彼氏探す!」俺「わかった」→2年後の彼女「また付き合ってもいいけど?」
・【復讐】襲われた友人が自ら命を絶った。→私は復讐を決意。→犯人達の生活が次々狂っていた。まだ許さない…
・【その③】幽霊とか信じてなかったけど、兄が呪いの刀を持ち帰ったせいで家族が大変なことに…
引用元: http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1347065517/
愛人の子で妙に納得
お世話になったのは社長の息子か
長かったー!
確かに愛人の子なら納得やな
大人の対応ってのは、キチが好き勝手やるのを黙って耐えることではない
この会社の人間一人残らず馬鹿だろ
漏れはむしろアントンちゅわんと結婚したいって思った。
漏れの人生の全てを、アントンちゅわんを幸せにするためだけに
捧げたい♪
これ昔も読んだ時面白い文章書く人だなって思って記憶に残ってた
さくらももこっぽい
会社がこれとちょっと似た感じになってる
うちのアントンはコネがないから多少は猫かぶったりするけど
営業男に惚れて、それを察した営業男が部署全体に聞こえる声で彼女がいる発言して牽制してた
とりあえずアントニオ猪木と山田花子と井上晴美に謝れ
※3
無意味な批判ご苦労さん。
社長が容認したらキティがのさばるのは仕方がない。
その結果会社が潰れても社長の責任だ。
長かったけど普通に読めたわ
文才のある人だな
ずっとアントンがブルゾンで脳内補正されてた。
※10
俺はゆりやん
この話すこ。今生きてたら晴美も42か~。
オチが無くても全く文句が出ないほど、簡潔で読みやすく軽妙な面白い長文だった。
この人、物書きになればいいのに。