朝方に彼と砂浜を散歩してたら遺体が打ち上げられていた。パニックになってる私の後ろで彼は歌い出した。「あったまデカデ～カ、禿～げてピカピ～カ」

20年以上前の話。(ちょっとグロ入ります)
大学時代つき合ってた当時の彼と、朝方砂浜を散歩してたんだ。
前夜、お互い初めて同士って事で頑張ったんだけど、
彼のがどんなに頑張っても機能せず、結局未開通のままになっちゃった。
そんな事もあるよ、って言う気晴らしで砂浜を二人で歩いていたら、
どう見ても「それ」っぽいのが打ち上げられてた。
もちろん私も初めて見たそれは仰向けになっていて、
生きていないと言うことは一目瞭然だった。
本当に脚が震えてきて、どうしたら良いのかわからなくなっていると、
「あったまデカデ～カ、禿～げてピカピ～カ」
と、ちょっと後ろに居た彼が歌い出した。
何をふざけた事やってるのと振り返ると、
目が点状態で虚ろになって、脚を震わせてる彼が歌っていた。
パニックになった自分を落ち着かせる為に歌っていたらしい(後日談)。
そんな彼を見て冷静になった私は、彼がケータイを持っていた事を思い出して、
「はやく110番して」と言ったところ、彼がごにょごにょ言い出して
一向に110番しない。
こっちもいらだって「なんで110番しないのよ！」と強く言うと、
「これ、ピッチ(PHS)だから110番できない」と言い出した。
それまで、「俺ケータイ持ってるんだぜ」と自慢してたんだけど、
実は、持っていたのは携帯電話ではなく、料金が安きPHS。
当時のPHSは、110番とかできなかったんだよね。
なんか、前夜肝心なときに出来なかった事や、
肝心な時に頼りにならない(私よりパニック)、
おまけに肝心な時に使えない(PHS持ち)なのが混ざって、
この人は肝心な時に駄目な人だと思えてきて、すーっと冷めて、
1ヶ月後くらいに分かれた。
分かれてから15年くらい経ち、こちらも別の人と結婚して上京し、地元を離れた。
数年前実家に帰る用事があり、たまたまテレビを見てたら、
議員選挙期間だったらしく、政見放送をやってて、そこに元彼の名前があった。
あー、あんな事もあったなぁ～と思い、チャンネルを変えずにそのまま見てたら、
元彼、テレビ画面越しでもわかる程緊張しまくっていて噛みっぱなしだった。
政見放送って何度も撮り直しが効くと思うんだけど、
このを放送してるって事は、よほど酷いんだろうなとわかった。
当然、選挙は落選したみたいでその後はしらない。
本当、肝心な時に使えない人だった。
見てくれは良いんだけど、肝心な時に使えない人はだめだ。