姉は恐らく人をコントロールする才能がある。最初にそういう感覚を持ったのは私が高校の頃だった。

私には姉がいる、仲はいい
でも私は姉がちょっと怖い
長年の付き合いの上で思うのだが、姉は、おそらく人をコントロールする才能がある

最初にそういう感覚を持ったのは、私が高校の頃だった
些細なことで喧嘩して、それが拗れたんだ
きっかけも思い出せないけど、とにかくお互いすごく相手に怒ってる状態になって、そして姉は私を口撃し出した
姉は人の心の機微をよく読む人だった
そういう人が全力で人を傷つけようとしたらどうなるか、私は身をもって知った
姉はまず私の言ったことに反論し、その内容がいかに駄目か説明した
さらに否定された事によって私が思ったこと、沸き上がった感情を言い当て、
「今こう思ったでしょ、でもそれはあんたが…」とさらに否定し、それをどんどん重ねて追い込んだ
最終的に私は訳が分からなくなって、奇声を上げて2段ベッドの上から飛んだ
2段ベッドの上で向かい合って話してたんだよね
姉が凄く驚いた顔で見おろしてたのを覚えてる

十数年たってから、あの時のこと聞いてみたんだけど、なんかごめん、って言われた
あの時はなんかゾーン入ったみたいになって、するする言葉が出てきたんだって
私がベッド下に落ちて泣き喚いたの見て、なんかヤバいって思ったそうだ

そして、あれ以来私たちは喧嘩してない
お互い大学入って就職してと大人になったのもあると思うけど、それまではちょくちょくやらかしてたのに
少なくとも私は、意識して喧嘩を避けようとなんてしていない
でも思い返せばびっくりするほど揉めてない

あと、私たちの母親は、ちょっと独善的なところがある人だった
私たちを愛して育ててくれたとは思うけど、よくモラハラっぽい事言われたり、成人後も母が良いと思う行動を強いられる事があった
姉はそういう事を言われたり何かさせられそうになると、ほぼブーメラン的に反論し、最終的に母が悪い事になるのが常だった

姉は基本的に受け身だ
少なくとも高校卒業したあたりからは、自分から人を攻撃したことはないと思う
やられたら倍返ししてたけど

そして姉は結婚した
姉夫との仲も良好だ
喧嘩とかないの？って聞いてみたら、ほとんどないけど、一回だけ大きいのがあった、って姉は答えた
姉が友達と会って、予定より帰りが遅くなり、駅からタクシーに乗ると言ったのに、姉夫が迎えに行くと言い張った
そこへ雨が降り出して寒くなって、そんな中車を出した姉夫はすごく不機嫌になって、喧嘩に発展したそうだ
まあしょうもない事だけど、結構深刻になったらしく、姉が話し合おうとした
そうしたら姉夫は「君は俺が悪いと決めつけて引かない、話にならない」的なことを言ったそうな
「ほぼ初めての喧嘩で、今から話し合おうって時にこの言い草だよ？決めつけてんのはどっちだと思ったね」と姉
「その場は遅くなってごめんねって収めたけど、こいつはそういうやつなんだって分かったから、それなりに対応することにした」
このセリフにはぞわっとした
それ以降、喧嘩はほぼないそうだ

ちなみに姉は家事はけっこうダラだ
料理と掃除はまあまあだけど片付けが駄目で、遊びに行った時、よく夫さん文句言わないなーって状態の時もある
けど問題ないらしい
姉夫、姉にコントロールされてる気がしてならない