「ウス、俺です。よろしく」
「あー3組さんだった人だよね?嫁ですよろしくねーふふふ(ニコニコ)」
普通に自己紹介だった。
~小学生編~
当時(小学5年生)の俺は、ビン底メガネなのに勉強はできず、
大きくて肉付
俺も女子は苦手、そんなタイプの男児。
俺には幼馴染と呼べる友人が2人いて、そのうちAは団地・そろばんが一緒。幼稚園が違
った。もう1人Bはそろばんが一緒で、Aと同じ幼稚園に通っていた。
AとBと嫁は幼稚園が 一緒。しかもこの3人、結局幼稚園から小学校、中学の途中までずっと同じクラスだったらしい。
Aは馬鹿で細くて軽い運動のできないチビ、BはAよりチビだけど頭は良かった。
俺たち3人は スクールカーストしては大体下の上くらいでよくつるんでいた。
いつからかAが、自分のクラスの可愛い女子として、嫁の話をするようになった。
Bも「うん、いい子だよ」とのお墨付き。
Aの口ぶりから、Aが嫁を好きなのはすぐに知れる。
よくBとからかったりした。3年生くらいだったと思う。
多分運動会の演習だか本番だか、かけっこで走り終わったBが俺のとこまで来て
「ほら俺、あれがAの好きな子。嫁さんだよ。何番目に走る」と耳打ちしてくれた。
指されて見たのはほぼ見当のついてた子。
当時の嫁はショートカット。ややぽちゃでいつも友達ときゃっきゃ遊んでる普通の女子。カーストでは中の中から上。
目を引くタイプではないが確かに可愛いんだが、その可愛さにちょっとクセがあって小学生が可愛いと思うタイプではない。
そっちを見てるBと目が合うと、嫁はニコーっと笑って嬉しそうに手を振った。嫁は当 然だがAとBと友達だったんだ。
Bと顔を並べて嫁を見てた俺は、完全に勘違いだと解ってるけど俺に向けられた笑
顔にドキっとした。無邪気な笑顔を女子から向けられることなんてなかったから。
自然に手を振り返すB。俺よりチビでAなんかハナタレのくせに、あんないい子と友達でいることにムカついたりした。
それから俺は嫁を見かけるたびに「あぁ、Aの…」とAをからかったり、あの笑顔を思い返したりしてた。
俺はイニシャルがM、嫁はHで席が隣だった。マジでびっくりした。俺より後ろのAの目が痛いw Bはクスクス笑っている。
ちなみに正確に言うと、俺は3-4年生のときは3組さんではない。そのとき3組さんだったのは嫁のほうだ。
俺が3組だったのは1-2年のとき。嫁にとってそっちの印象が強かったらしい。
入学式のとき、幼稚園が一緒だった仲良し2人(AとB)と小学校も一緒で、嬉しくて 話そうとしたらその2人と俺が遊んでたから
嫁は俺のことを覚えていたんだとか。
それから半年間、嫁とは2度隣の席、席が離れても班はいつも同じくらいの近さで過ごした。
元々Aから(Bからも)聞かされていた嫁の良いイメージしか持ってなかった俺は、 どんどん嫁を好きになっていった。
嫁はいつも楽しそうに笑っている。男子と仲良くなれる性格の女子で、一部の女子には毛嫌いされて友達は多くなかったけど、本人に気にした様子はなかった。
男子に友達は多かったからだ。
俺やABみたいな底辺男子にも優しくて屈託がなく、男子特有のう○こ連呼にも笑ってくれたり、宿題ができなくて困ってると
「いっしょにやろー」って言
俺は嫁が好きになった。でもAも大事だったから、その気持ちを表には出さなかった。Bは気付いてたと思うが、何も言わなかった。
嫁は嫁でABと遊
ぶ俺をよく見かけたせいで、俺と友達になれそうだって嬉しかったらしい。俺と嫁はすぐに仲良くなって、俺の家や団地の公園で4人(とクラスの友達、女子も含めて数人)で遊んだりすることが多くなった。
この半年間は俺にとって天国だった。今でも小学生の中で一番楽しい思い出だ。
俺はいつも嫁を目で追って、その笑顔にどきどきして、Aに申し訳なくなったりしてた。
しかしある日、親父の転勤が決定、3つほど離れた県に引っ越すことが決まった。新しい学校は10月から。
嫁とも仲良くなれたのに、何で引っ越さなきゃならないんだ。引っ越すときは家を買ったとき、って言ってたのに。
でも小学生の子供の気持ちに意味はなく、荷造りは始まる。次の日に団地を去ると言う日、俺は鬱屈としてた。
そんな中、AとBがお別れ会を開いてくれた。と言ってもAB持ち寄りでお菓子とジュースを用意して公園で遊ぶってくらい。
3人で「お前、行くなよ。俺んち来いよ」「俺だって行きたくねぇーよ」「お前んちってのは無理だよね」なんていいながら菓子を食ってると、
何と嫁が嫁母と
嫁が俺らを見つけて「何してるのー?!」って手を振ったら、Bが「俺のお別れ会してるんだ!嫁も来いよ!」って叫び返した。
したら嫁、嫁母とちょっと話して俺らのとこに来てくれたんだ。
ここからの記憶はちょっと抜けてる。補正が入ってるのかも知れない。嫁にもABにも確認したことはないし。
気がついたら公園で2人で遊んでた。でももう風景がオレンジ色で、嫁が「帰らなきゃ」と言った。
俺はまだ遊んでいたかった。でもこれ以上引き止めると暗くなっちまう。だから「そっか」としか言えなかった。
お別れとお礼を 言うためにそばに行くと、嫁が俺を見て「俺、転校なんかしないでよ。あたし、もっと俺と仲良くしたいよ」と言った。
そのとき湧き上がった気持ちは、当時は説明できなかった。苦しくて、すごく衝動的な気持ち。
今なら俺は嫁を抱きしめたかったんだと解る。でも早熟でもなく、女子に対してビビリ だった俺はそんな真似できるはずもなく。
なのに口は「俺ももっと嫁と遊びたい」と口走っていた。
嫁は笑って「仕方ないよね」と言うから、俺も「仕方ないな」と返して、そして別れた。
ばいばい、元気でね、 と言いながら走り去っていく嫁にばれないように、半泣きになりながら見送った。
これで小学生編は終わり。この後、ABからそれとなく嫁の近況を聞いたりしてたけど
、次第にABとも連絡を取らなくなっていった。最後に聞いたのは中2のとき嫁も引っ越して、嫁の詳細も不明になったことくらい。
続きはこれから書きます。
ちなみに一気に何というか醜くなるぞ。
~社会人編~
普通に普通の高校に入り、同じく大学を卒業した俺は友人たちと会社を興し、特許をいくつか取ってそこそこ運営していた。
当時はバブル景気真っ最中(年がばれるな)で、俺の取ったけちな特許の製品でも良く売れた。
いわゆる不動産とはあまり関係のない職種だったけど確実に羽振りが良くなって、勿論ロールスロイスに乗ったりしてた。
ワンレンのボディコン女と遊んだりはしたけど、忙しかったからアッシーやメッシー は出来なかった。
非モテだった俺が金目当てとは言えそこそこモテた、色んな意味で変な時代だったな。
仕事が楽しかったから使う暇があんまりなかったのもある。けど、いつも派手な女に囲まれてたから
初恋のことなんてすっかり忘れていた。
やがてバブルも終息、会社を興したときの借金がそれなりにあったせいで手堅い運営をしていたうちの会社は
何とか倒産せずに崩壊の波を乗り切った。
その後もちょこちょこと特許を取ったりして信用が増し、業界の中では中堅クラスになっていた。
20世紀も終わろうかというその頃俺も結婚。今の嫁とは違う女だった。
逆プロポーズされて一緒になったが、今思えばバブルも崩壊して年食った自分の行 く先が不安になったんだろうな。
中堅とはいえ儲けも社員も減って俺は忙しく、あんまり家に帰る暇がなかった。
元妻は広くはない賃貸で一人で子供を産み、一人で子育てをし、先に結婚して行った女たちとの生活の差をしょっちゅう愚痴っていた。
その女たちの旦那連もバブルで一緒に倒れたんだがな…。借金がないだけ、仕事 があるだけうちのほうがマシだったんだが、聞きゃしなかった。
気がつけば元妻は女たちの旦那と不倫。
「あんたなんか大っ嫌いこの不細工。ずっと生理的に受け付けなかったんだ」という暴言と、
署名捺印した緑の紙をおいて、800万入った俺の通帳と子供を連れて消えた。
やがて送られてきた領収書と空になった通帳を見て緑の紙を出した。結婚期間は3年。
3ヶ月の長い休みをくれた友人にまで「会社を乗っ取るつもりだろうな」などと思いながら、それでも休むことにした。
何となく「自分のルーツを探る」みたいな目標を設定して旅に出て、大学時代の友人や恩師、高校時代の友人に会いに行ったりした。
馬鹿やって騒いだ友人たちと呑んだりしてるうちに、俺は少しずつ回復していった。
正門前の公園のベンチに座ってぼんやり学校を見ていると、後ろから肩を叩かれた。Bだった。
気がつけば夕暮れで、 Bは仕事の帰りだった。Bの実家は学校の正面、公園の横だったんだ。本当に忘れてた。
「俺じゃん、ひっさしぶりーどうしたん?」と笑うB。途端に嫁のこと、公園での 別れ、Aのことを思い出して失ったものに気付いたような気がして苦しくなった。
Bはそのまま俺を呑みに誘ってくれた。気遣いで聞き上手なBは自分のことを話しながら、口の重い俺の話を聞きだしてくれた。
Bは未婚。体の弱い母と二人暮らし、2つ下の弟は大学で家を出て、そこで結婚して家も買っている。
俺もぽつぽつと小学校の前にいたいきさつを語る。元妻の捨て台詞にBが顔色を変えたのを見て、俺は泣きたくなるほど嬉しくなった。
思えば、大学の友人にも高校の友人にも、離婚のことは言ったけどどういう経緯で、とかは
Bにぶちまけて、酒の力を借りて泣くことで、俺は癒されたんだと思う。
Bは辛抱強く、ただ聞いてくれた。
目が覚めたら知ってる気がする天井だった。Bの家だ。
泣いて泥酔、
Bの母は俺を覚えていて、久しぶりねと笑っていた。Bはシフト制の仕事でその日は休みで、
俺のせいで仕事休ませてゴメンと詫びると、休みだから呑みに行ったんだよと言ってくれた。
その日、Bとはたくさん話をした。Aは大学を出た後就職した会社がバブルで倒産、転職して給料はがた落ちしたけど
そこで見つけた気立ての良い嫁さんと仲良く暮らしてる。子供がひとり。
その女子とBはまだ付き合いが続いていた。
嫁は大学で看護を学び、卒業と同時に趣味のバイク友達と結婚、働きながら子供を3人産んだが、旦那は早くにタヒんでしまった。
実家のそばに家を建てていたので実家の力を借りながら、それでも1人で3人を育てているらしい。
それを聞いた俺は、嫁に今すぐにでも会いたいような二度と会いたくないような不思議な気分になった。
複雑な顔をしていた俺を見てBは、「小学校の連中、結構マメに同窓会とかしてるみたい。俺(B)は行ったことないけどw
俺が行く気あるなら、女子に連絡して嫁も呼んでもらうか?」と聞いてきたけど、俺は返事できなかった。
そんな俺を見て電話のダイヤルを回しながらBは「嫁のこと、好きだったんだろ?」と言った。
「女がイヤになってるのは解るよ。でもそれも直るかも知れん。俺(B)は聞いてるだけだけど、嫁ちゃんは嫁ちゃんのままみたいよ?
会うだけ会ってみるのも俺はいいと思う」って。
俺が混乱してどうこう言う前に、電話は件の女子に繋がってしまった。「Bだけど、嫁 ちゃんと連絡取れる?じゃーちょっと頼まれてくれない?」と
さくさくと話は進んでいく。電話を切って女子が嫁に連絡してる間、俺はBに詰め寄ったりしたけど、Bは「まーまー」と軽く流して取り合わなかった。
結局その翌々日、4人で食事がてら呑みに行くことになる。
ただひとつ条件がある。嫁は22時には帰る。子供が待ってるからだ。
「嫁ちゃんは嫁ちゃんのまま」というBの言葉の片鱗だった。
ゴメン、何とか書いてきたけどもう出る時間だ。また夜(朝?)来る。
でも結局、逃げることも帰ることも出来なかった。
Bに「俺、逃げんなよ」と予め釘を刺されたことは、多分あまり関係がない。
やっぱり俺は嫁に会いたかったんだ。
当日待ち合わせたのは、嫁に伝えたのよりいくらか早い時間だった。
「あ、マジで俺くんだー!ひっさしぶり!!顔変わったねー言われなきゃ気付かないよ!」と
会うなりまくし立ててきた女子は、小学5年生当時俺もよく遊んだ子。
「嫁ちゃんは今日、仕事帰りなんだよ。食事だけしてお酒はナシで帰るから、飲
「子供をすごく大事にしてるから、自分を犠牲にしてるとか我慢してるとか思われたくないんだって」
「子供ちゃんたちもすっごくいい子なんだよ!嫁ちゃん似で可愛い子ばっかし!」
「嫁ちゃん、すっごく色っぽくなったよ!俺くん、イッパツで参っちゃうよ!」
とがんがんまくし立ててきたあと、女子はじっと俺を見てこう言った。
「嫁ちゃん、私
とBとご飯いこーって言ったときは断ってきたんだよ。俺くんが帰ってきてるよ、Bが連れてくるって言ってたよ、って教えたら散々悩んで、でも来るって決めたんだよ」
「俺くん、嫁ちゃんのこと好きだったよね?嫁ちゃん、すっごい苦労 してるからちょっとヘン。でも俺くんが好きだったところはそのままだと思う」
俺は女子に言われたことを反芻して考えてみた。その間、Bと女子が色々教えてくれた。
ずっと嫁が好きだ、付き合いたいとか解らないけど、手をつないで帰ったりずっと一緒にいたいんだ、って。
嫁はきちんとお礼を言って、ごめんね、好きな人がいるんだ。Aくんは大好きだけど友達なんだ。ってきっぱり断ったらしい。
この時の嫁が言う「好きな人」は俺のことじゃないらしいw
でも嫁はさすがに男を見る目があったんだと思う。
嫁の言ってた「好きな人」Hは、解り易いかっこ良さはないけど芯が強くて、誰にでも本当に優しい男だった。必要であれば必要なだけ
人に厳 しくもできて、公平な見方と解決法を提示することの出来る、男人気の高い男。
AもHなら仕方ない、と思ったらしいが、結局嫁が転校後も長いこと引きずってたらしい。15歳の人生の半分以上片思いしてたんだから仕方ないけど、
それでもAは自分を奮い立たせて高校入学と同時に「吹っ切った!」と宣言したんだそうだ。
というか、Aが嫁を好きなのは(嫁以外には)周知の事実だったけど、俺が嫁を好
きだったのが嫁とA以外みんな知ってたって俺どんだけ…俺必タヒにAから隠そうとしてたのはみんなわかってて、協力されてたのに気付かないとか俺本当鈍すぎ。
嫁の来る時間が近づいてきて、俺はそわそわしだした。また逃げたくなってくる。
なのに逃げるためではなく入り口をちらちら見て、入ってくる客に神経を尖らせたりしてBに「さすがに落ち着け」と呆れられたりした。
そして嫁が店に来た。俺は一目でわかった。
その瞬間俺は嫁から目をそらして、そして再び見る。女子を探してるらしい嫁を観察
嫁はスタイル的には確かに良くはない。年相応にふっくらしている。だがすらっとした長身とそれに見合う手足、
ぴっと伸ばされた背筋と身のこなしが目を引くいい女だった。
じっと嫁を見る俺に嫁は目を留めると、「本当に俺くんだ!」と遠くから笑った。
その笑顔が3年生のあの日、Bに手を振ったあの時そのままで、俺はまた苦しくなった。
こざっぱりしたシンプルな服、ゆるく上げられた長い髪、薄い化粧。消毒液とキンモクセイの匂い。それらが醸すしっとりとした色気。
小学生にはクセのあった可愛さが軒並み良いほうに転がっている。本人がそれらに気付いてなさそうなのがまたいい。
きらびやかなブランドスーツ、前髪の立ち上がったワンレン、ピンクの口紅とプアゾン の演出するわかりやすいアピールに慣れ切ったままの俺なら
嫁の存在に気付きもしなかっただろうと思う。
なのに「嫁久しぶり」とか月並みなこと言う俺に「俺くんも、久しぶり。元気だった?」とか言って子供の顔で笑うんだぜ?
二十余年の時を経て、 俺は再び嫁に出会った。女子の予言どおり、俺はイッパツで嫁に参ってしまった。
食事の間、嫁は聞かれるままに子供のことや仕事のことを話したが、愚痴は一切言
わなかった。特に子供に関しては苦労のかけらさえ見せない。ただ「大変だけど、楽しいよ」って。
話してたのは主に女子で、Bはニヤニヤ俺を見てたと思う。
俺 はただぼんやりと、瞬きするときにわかる嫁の長いまつげや、するすると動く薄い唇、笑うと動く頬なんかばっかり見てた。
22時前、俺はぼんやりしすぎて嫁とほとんど話せなかったことに気付いたが、嫁はもう「ごめんね、楽しかったぁ」とか言いながら帰り支度を始めてた
。ちょっと待て、まだ何も話してない。連絡先さえも聞いてない、俺はまた嫁に会いたい。
おろおろしだした俺を察してか、Bが「俺、嫁ちゃん帰るってよ。送ってやりなよ」と助け舟を出してくれた。
「いいよ、これから3人で飲むんでしょ。悪いよ」と遠慮する嫁に、「女の子なんだからwww夜道は危険でしょwwwww」とさらに押して、
俺が送ることを了承させてくれた。
「俺くんはいい男になったね。眼鏡はやめたんだね」
「俺がいい男に見えるならお前は目が悪すぎだ」
「えーとね、女子ちゃん結婚まだなんだよ。いい子だよ、可愛かったでしょ?狙うなら今だよ?」
「何?何の話?」
「え、だって俺くん昔は女 子ちゃんのこと好きだったでしょ?女子ちゃんも、俺くんが帰ってきたの最初は秘密にするくらいだから
実は俺くんが好きだったのかなって。私とばっかり話してたのも俺くんをまともに 見れないからかと」
はああああああああああああ?
脱力。もう脱力だよ。確かに俺は昔女子と仲が良かったよ。
でもよく話したって言っても嫁の次の次くらいで、俺は嫁しか見てなかったってのに、嫁は俺が女子を好きだと思ってたのか。何故。
「俺が好きだったのは嫁、お前だよ」「えっ」
「俺はまた嫁
「ご飯はいいけど、2人はダメ。子供も一緒ですよー。ダメならダメ」
子供か…と思ったけど、俺は嫁の子供にあってみたいとも思ったので「おけ、じゃ5人で。いつならいい?」と返すと、
「え?あー、うーんごめん…」と謝り出した。
「どした?5人でもダメなん?」と聞いたら「違う、そうじゃなくて」
「今のは、何 ていうか誘ってくる男の人に対する断り文句なんだ。結果的に試しちゃった。そんなつもりなかった、ごめん」って。
旦那が亡くなってから、嫁はよく男に誘われたらしい。さもありなん。
こんないい女が未亡人で近くにいたら誘いたくなって当たり前だと思う。
嫁はそういう遊び半分の男たちに、「自分を誘うなら子供込みで!」と断
「ごめんて思うならまた一緒に飯食って。勿論5人で」と再度押すと、嫁は携帯番号を教えてくれた。
大
きい通りに出ると、嫁は頑なに「ここでいいから」と同行を拒否した。家まで送りたいのはやまやまだったけど、嫁があまりにも嫌がるので俺は素直にBと女子のところに戻った。
またね、と走り去ってく嫁はやっぱり昔のままに見えるのに、きちんと女だった。
実際、俺は必タヒだったんだ。俺が嫁を好きだったことを知らないだけならともかく、女 子を好きだったと思われてたなら
はっきり言わないと仕方ない。
店に戻ると、Bと女子が興味津々で迎えてくれた。
連絡先教えてもらった、子供たちと一緒に飯の約束もしたっていったら「おーっ」って。
約束はまたも翌々日、休日前の夜だった。
再び支援
なんかすげえいい話だな
いいなあ
もうちょっとあっさり書いたほうがいいだろうか。
読み応えがあるからそのままでお願い
俺もそのままに一票!
嫁に次会うまでの日、俺はもう少しうじうじするかと思ってたけど、そうでもなかった。
腹が据わったというか、何でも来い!みたいな度胸。
ただ嫁に関してはそうでも、嫁の子供たちに対する不安はあった。
ろくすっぽ名前も呼ばなかった自分の息子より年上の子供なんて、どう接したらいいのかわからん。
お母さんとお付き合
答えは出ないまま、当日夕方、待ち合わせ場所に嫁と子供たちが来た。
長女は中学生。切れ長で涼しげな目元が聡明そうだ。
次女は小学生。大きな明るい目が嫁にそっくり。
長男も小学生。そのままだと長女似だけど、笑った顔が次女と同じだ。
3人とも嫁が「俺
後になって知ったんだけど、これって結構凄いことなんだな。
後々になってこの頃の長男と同じ年になった息子と友達に会ったけど、みな上目遣いで 見るばっかりで
初対面のオッサンにきちんと挨拶できた子なんていなかったよ。
食事はおどける次女、突っ込む長男、嗜める長女、笑ってる嫁とそれらを見ている俺って
感じで滞りなく進んだ。これが普段の風景なんだろうなぁ、ってくらい馴染んでて、手に入れもしなかったのに失った感のある団欒を思って呆然としたりした。
食事を終えてデザート待ちのとき、長男が「母さん、トイレの場所が解らんから着
いてきて」と嫁に声を掛けた。嫁が「トイレはあっちだったよ」と指し示すも、「いいから」と嫁を引っ張る。
「でも…」と困ったように俺を見る嫁に、長女が「だから、あたしから俺さんに話があるから。お母さんは席外して」と言った。
俺はやっぱり敵だったか?中学生女子の罵倒がどんだけキッツイもんか、俺は身をもって知ってる。
ガチガチになる俺をよそに、長女が「俺さんて、お母さんのことが好きなんだよね?」と聞いてきた。
「お母さん、凄
「不景気に看護婦だもん、強いよね。まだ若いし。でもいっつも私たちに遠慮して断ってるの」「うん」
「どれだけモテてるのか、教えてくれないから知らない。でも会わせてくれたのは俺さんが初めて」「うん」
「私たち、何度も話し合って決めてたんだ。お母さんが再婚したいって思った時反対しないでいようって」「…」
「お母さん、ああいう人 だから、私たちに会わせるってことはかなり前向きに考えてると思うの」「…」
「本人はあんまり解ってなさそうだけどw」「そうだね」
「でもお母さん、自分の幸せは私たちも込みだと思ってるから」「うん」
「それでも会わせてくれたってことは、俺さんは私たちも大事にしてくれそうだって思 ったんだよ、きっと」「…」
「その辺は、私たちもお母さんを信用してるってのもあるけど」「…努力します」
「だから私たちを幸せに出来ないならお母さんには近づかないで、って言 うのはやめとく」「…ハイ」
「でも私たちを幸せに出来ないと思ったら、多分お母さんは誰とも付き合わないよ」
俺は何言ったか覚えてないんだけど、俺の返事に長女がクスクス笑ってたのは覚えてる。(長女は未だに教えてくれない)
長女は次女と顔を見合わせてぽそぽそと相談、「ま、頑張って」と言うと、次女に嫁さんたちを迎えに行かせた。
次女は椅子から降りると「私、俺さん嫌いじゃない」と言ってくれた。(長女は「次女!」と止めてた)
次女が行った後、 長女に「滅茶苦茶びっくりした、凄くしっかりしてる」と言ったら、「ほとんど旦那姉ちゃんの受け売りだよ」とバラしてくれた。
嫁は自分たちの分は自分が払うと言って聞かなかった。俺は俺が誘ったんだし、勿 論出すつもりで店を選んでたから断ったんだけど、
嫁はやっぱり頑なだった。結局俺が譲った。
「次は俺が出すから。お店は決めといて」
「出さなくて良いです!次はファミレスで!」
俺の誘導にあっさり引っかかった嫁と次の約束をして、その日は別れた。
俺は嫁さんにマメ
に連絡して、仕事の合間の食事(ほとんどランチだったけど)の約束を取り付けた。嫁さんはコンビニ飯だったりマックだったり弁当だったり色々だったけど、どれでも美味しそうに嬉しそうに食べるんだ。見てて楽しい。
これも後で知 ったことだけど、嫁のいた病院にはちゃんと食堂があるんだけど、俺に付き合うためにそこを利用してなかった。
でも「好きだ」とか「一緒にいたい」っていう言葉に、嫁の反応は凄く薄いんだ。
手を握れば、最初は驚いて引っ込められても、何度かチャレンジすればそのまま握らせてくれる。
でもキスとか、それ以上の接触は雰囲気すら漂わせてくれなくて、俺は焦 っていた。会社に戻る日が近づいていたからだ。
人手の少ない中、友人が何とか捻り出してくれた休暇だった。延長はできない。
でも確約のない遠距離は俺が無理だった。嫁を1人にしたらいつ誰に掻っ攫われるかわからん、という強迫観念があった。
相手は子持 ちなんだから、じっくり行ったほうがいいのは解っててもだめだった。
プロポーズのタイミングをうかがっても、嫁さんはスキを見せてくれない。俺は焦れて、途方に暮れていた。
嫁が頑なに 自宅を教えてくれないのもこっそりショックだった。
ある時、俺は決心した。スキを見せてくれないなら、作るしかない。
スキを作らせてもくれないなら、タイミングなんて考えずにぶつかるしかない。
昼間なら嫁は
嫁の仕事明け、俺は嫁を迎えに行った。一度車(レンタル)で迎えに行ったら滅茶苦茶警戒されたので
(仕事明けに車に乗ると寝てしまうので)徒歩で。これそのものは珍しいことじゃなかった。そのままデート、ランチして嫁を帰すのがいつものパターン。
おれはいつもの公
「嫁、俺もうすぐ会社に戻るんだ」前置きを入れるとかわされるので、俺は座るなり言った。
「会社
誤魔化されないように、はっきり大声で言った。回りに聞いてる人がいても構うもんか、と決めていた。
嫁はびっくりして俺を見て、俯いてしまった。ダメか、と思ったと同時に「ごめんなさい」と言われた。
嫁は「今まで、誰にも言えなかったけど」と話す。
嫁は今でも、亡くなった旦那を好きだった。
会社でデスクワーク中に支援
支援
>>449 の「旦那姉ちゃん」ってのは
亡くなった旦那さんのお姉さんってことかい?
若いだけに進行が早く、2年の闘病で旦那は亡くなったらしい。
その旦那が、今でも忘れられない。
俺のことは好き。プロポーズも、本当は凄く嬉しい。
でも旦那を忘れたくない。
俺を受け入れるのは、旦那を忘れるみたいでできない。
旦那に愛されて大事にされ、幸せだった記憶だけでも自分は生きていける。子供 たちもいる。
でも子供のためじゃなく、自分が旦那を忘れたくないから誰とも再婚しない。
もし俺と結婚 したりしたら、旦那の残した家を離れなきゃいけない。それもできない。
自分はそういう勝手な女なんだ。俺くんの気持ちも自分のそういうところも知ってて付き合ってた。本当にごめんなさい。
これを言われた俺の気持ちを諸兄は解ってくれるだろうか。嫁は解っていなかった。
そんなことで俺が絶望するとでも思ったのだろうか。俺はもっと深い絶望を、かつての妻からもらったのに。
どういえば良いのか解らないけど、めぞんの五代の気持ちは良く解る。
嫁の旦那を好 きな気持ちも忘れられない気持ちもひっくるめて嫁なら、それごと嫁が好きだと思った。
だって嫁、俺への好意を基本にモノを考えてる。俺と再婚することを夢想した、って言ってるんだ。
俺は嫁を抱
きしめた。いつかに覚えた衝動のままだった。昼間の公園でいい年した大人が何やってんだ、と思われただろうがやっぱり構わなかった。
初めて嫁を抱きしめて、俺はぐぅっと苦しさを覚えた。嫁が好きすぎて苦しい。 ぎゅうぎゅうと力を入れそうになるのを何とか止める。
嫁は「ちょっと、俺くん?!」と俺の腕を叩いたが、やがて大人しくなった。
(正直に書くと、気持ちも爆発したが下半身も爆発しそうだった…)
「嫁、俺婿に
入る」「え」「こっちに転職する。違う、支店をこっちに作る。お前はここを離れなくていい」「ええ」
「半年待ってくれ。ここに新しい会社を作る準備をする。俺がここに残る」「えええ、 それはちょっと違うよ」
「違わない。俺が勝手にすることだからお前は困らなくていい。俺が嫌いなら嫌いって言ってくれていいんだ」
「嫌いなんかじゃない」「じゃ待ってて」
そう。子供にとっての従姉妹さんたちもいる。
嫁も子供も今でも仲良し。嫁義兄(旦那姉のご主人)と俺は呑み友達。
Bの機転GJだな
この直前、俺は愛し愛されて結婚したはずの女に、存在を否定されてたんだ。
回復した、癒されたといっても、時折ふっと訪れる哀しみや苦しみ、
虚しさなんかはどうしようもなかった。
そんな時に、タヒしてなおその存在を思い続ける女が現れたんだ。
好きになるしかなかったのかな、と思う。
何
じゃ、また明日。
長女すごいなー。
お父さん、娘さんを僕にry
その日はそれから普通に昼飯を食べた。嫁はずっと「アレ?」と首を捻っていた。
「嫁は他人を舐めすぎだ。子供たちも旦那姉さんも、俺のことも甘く見てる」「…」
嫁と別れた後、俺はBに会いに行った。Bは家にいた。
「嫁ちゃんとうまくいってるな?今までで一番いい顔してるぞ」
俺を見
支店を作る、っていう話は別に突然じゃないんだ。実は前々からあった。
嫁たちのいたところは俺がもといたところより大きな街なんだ。俺会社との取引
会社がそれなりに大きくなってきたし、窓口的な事務所は置いておこうか、という話は以前からしていた。
こっち方面には「俺が小学生まで過ごした」以外に縁がある奴がいなかったのと、
俺の私生活が ゴタゴタしたせいで、経営者間でその話が進まなかっただけで。
友人に電話を掛けて、「支店の話進めよう。俺がこっちに残る」と伝えたら、友人は大層びっくりしていた。
「連絡もないなと思ったらいきなりどーした?でもまぁ、お前がそう思うならそれもいい
「可及的速やかに支店を作りたい」「えええええ」
友人は翌日の昼に時間を取ってくれた。俺はそれから、こっちで取引のできそうな会社にアタリをつけたり
いくらかの見積もりを出したり書類をそろえて、翌朝の新幹線に飛び乗った。
2ヶ 月ちょいぶり、約束より早く顔を出した俺に戸惑うでもなく、友人は笑ってくれた。
「別れ際のときを考えたら、今までで一番いい顔してるな。大丈夫そうだ」
Bにも言われたな、と思いながら友人と話した。(この後親にも言われた。よっぽどいい顔してたんだろうな)
友人は俺の提出した書類をじっくり検討して他の奴らにも相談し、俺の予想より早く嫁のいる街に支店を出してくれた。半年かからなかった。
俺は実は技術屋なので営業とか苦手だったし、友人も心配してくれたが、何とか頑張って支店を支えた。
この辺にはB、Aも凄い協力してくれた。しかしスレ違いなので割愛。
結局嫁と結婚したのはこの3年後。支店の足場固めと嫁の気持ちと身辺整理。
ハラ括れば嫁とも子供ともじっくり関係を育てることができて、必要な期間だった。
プロポーズは半年に一回はしてた。言っとかないと嫁はすぐに諦めそうでさ。口下手だったのにな。
いつもの通り「俺はいつでもいいから、決心できたら結婚して」って言ったら「…はい」って。
それまでなら「えへへ、アリガト。でも無理しないで、私のことは気にしないで」 とか言ってかわされてた。
その後俺の息子が来たりしてやっぱりゴタゴタして、今は6人家族として幸せに暮らしてる。
こっちの支店は安定してるから、俺は嫁の出勤に合わせて時間が取れるようになってるよ。
長女は結婚が決まったからオマエラにはやれないw来年嫁ぐよ。
次女は今大学生。ある専門職目指して頑張ってる。
長男は受験生。判定はAでひとまず安心。
息子はもう中
嫁は職場でそれなりの位置にいるようだ。いっつも忙しくて心配してるけど、嫁自身はジーンズを穿いたらハラ肉が乗ることのほうが重要な悩みらしい。
読んだよ。 >>45 氏、よくぞ書いてくれた。
支店を作ってまで結婚を実現するとはすごいもんだ。これからも幸せであるように祈る。
お互い人生紆余曲折あって、初恋の相手と結婚か
色々あったからこそお互いを大事にできる部分もあるんだろうな
やはり男に必要なのは覚悟だな
http://engawa.2ch.sc/test/read.cgi/tomorrow/1348317392
【昔を】みんなの馴れ初めをおしえて【思い出して】 その6
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